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わたしが街を歩く時

いつも私の旅支度は、服を選ぶところから始まる。

月末に退職を控えた3月、私は残った有給を使って大阪中之島と京都を訪れることにした。
これまで4年間この会社で勤めた自分へ慰労の意味も込め、好きな場所をゆっくりひとりで巡ろう。

まだ寒さはあるが春めいてきたこの季節、最近買ったJOHNSMEDLEYの上品な水色のセーターを持っていこう。
大好きな中之島のクラシカルな街を歩く日は、A.P.C.のスカートにこのCROCKETT & JONESのローファーを合わせよう。

気温や、訪れる場所、どんなコーディネートでその土地を歩きたいか。
あれこれと頭の中で考える時間が一番楽しい。
あれこれと言っても、お気に入りの服は数着しかない。それを毎年大事に着て、ときどき色違いのシャツを買い足したりする。
大事なものは多くなくて良い。

お気に入りのコーディネートでその土地を歩く時、何にも代えがたい豊かな時間が流れ、自分が自分であることに自信を持つことができる。
身に付ける物にはそうさせてくれる力がある。

だから、私はファッションが好き。
身に付ける物に妥協はしない。
荷物が重くなろうとシューツリーを入れた革靴を持っていくし、繊細なニットも丁寧に畳んで鞄に詰める。

なんとなく流行っぽい服をたくさん買い集めているあの人も、誰が見ても分かるハイブランドでバチバチにキメて通り過ぎていくあの人も、別に関係ない。
私は、私の大切にしているものを時間をかけてじっくりと愛して身に付けるだけだ。

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