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豊島らしい気遣い

1周15Kmぐらいの幹線道路を対向車や自転車とすれ違う時、さりげなく目礼する島の方を見習って、私も頭を下げます。いつから始まった気遣いでしょう。トリエンナーレの瀬戸内国際芸術祭(以下、瀬戸芸)が始まった2010年以降、移住してくる人が増え、その気遣いは一層新しい人たちに広まったように思います。

瀬戸芸以前に、豊島へ移住するケースはありました。豊島事件を島の外から応援する人たちの中に、豊島へ移住してくる人がいました。大学のゼミなどで豊島事件を研究支援しながら、通い続けたのがきっかけと聞きました。若い人が故郷を出て豊島に越してくる決断の時、豊島の長老は親代わりのような引受人になりました。長老の後ろ盾は、豊島の暮らしがスムーズに始められたろうと推測できます。

団地ができた時、コミュニティ独特の区分に「新住民」「旧住民」という言葉が用いられました。時は移り、「移住者」と「地元住民」という区分があります。何年住んでも、そこで家族を構えても「移住者」。いったい何年たてばその区切りが溶け合うのでしょう。「○代前は移住者」という古老の言葉も聞いたことがあります。

道ゆく人とすれ違うときに目礼する。豊島らしい気遣いです。

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