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大事な必要事項で豊島住民を置き去りにしてきた

一般傍聴の「豊島廃棄物処理協議会(以下、処理協議会)」で大川真郎弁護士を見かけていました。豊島住民と共に歩む弁護団の副団長を、わたしは豊島の精神的な柱のように思っていました。中坊公平弁護士亡き後、豊島住民の不安に解決策を与えてくれるかのように思い違いをしていました。豊島の長老や豊島のおかあさんは、弁護団へのねぎらいを欠かしません。

大川弁護士 最新のインタビュー   2020-6-4 朝日新聞デジタル

「わしの島じゃありませんで。あんたらの島でっせ」
中坊弁護士が、豊島住民に自律を促した言葉です。
後に大川弁護士は豊島住民の運動を「自主的、主体的存在と行動するという『大輪の花』であったように思われる」と回想しています(出典:豊かさを問うII ー調停成立5周年を迎えてー豊島事件の記録 P25)。

大川先生何を成し得たか

豊島事件の産廃跡地に、住民手づくりの「こころの資料館」があります。そこに掲げられた大川弁護士の言葉。そして、2017年2月4日。

豊島公民館の2階会場は、流れにかたずを飲む住民でいっぱいです。

香川県の担当者が答えます
「副生物の再利用は原則。可能なかぎりという解釈は技術的な面、期限内に処理を達成する、この2点から、条項に抵触しない」。
これに対し豊島弁護団の大川弁護士から「県の発言は、県当局のもの。まちがっています。(担当者の名前をあげて)さんは罪深い。県を誘導している」と断言。

大川弁護士は「見解の相違でおわらせる話ではない。田代弁護士にお聞きします。どこに書いてあるんですか?」。
香川県は技術検討委員会の出発の姿勢を流用している、そこがまちがっている。
「私はまちがっていない。それは見解の相違です」と県側の発言は、田代弁護士。

大川弁護士「では、言いましょう。調停条項の内容に違反するだけでなく手続きも違反した」。
さらに続けて「あなたがたはこれまで4回5回も勝手に読み替えて、いろんな理屈をつけてきた。大事な必要事項で豊島住民を置き去りにしてきた」と、静かに語ります。

産廃の持ち込みを香川県が許可したのは、形式脱法行為でした。
いかようにも解釈できる表現で、問題をあいまいにして長引かせた記録があります。

過去の発言や出来事と同じように、今も繰り返されているすり替えの論法。残された課題を精査し、これからの課題を豊島住民の中へ取り戻す時期がすでに始まっています。公害調停成立から20年は、すでに経過してしまった討議すべき時間だったのです。
その一端はわたしにも負荷があります。長老の講義録「よっしゃ、やらんかい」をまとめた後、公害調停成立後を体系立てて学んでいないことです。メディアの視点がいつも同じで、県政担当の若手記者が洗礼のように豊島事件を取り上げる。そこに継続的な視点はあるのですか、と独り言を言っているだけですから。

幸いに長老はお元気で、石井亨さんは豊島の新しい住民自治をデザインできるかもしれなく、大学院へアーカイブを学びに行っている友も力を蓄えています。豊島を学びの島に、ビジョンを描いていくのはこれからです。






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