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人が来なくても時間は円環する、檀山

檀山(だんやま/豊島)にある「さいごの家」、今頃はショウブに紫の蕾が見えているでしょうか。春先から鳴き始めたウグイスも、美しい声を輪唱していることでしょう。

春の息吹を感じる頃から、豊島へ行けなくなりました。檀山へ続く山道に、ある方が一人でコツコツと植えたという桜の木が並びます。ある時、豊島の長老がその方へ、桜の木がもらえると言う話をしました。それを機に桜並木が続くようになっていくのですが、最初に植えた方は美化運動でも島おこしでもなく、淡々と植えていたということを、きちんと記録しておかなければと思います。その桜を、今年は見逃しました。

4月22日はアースディ。豊島事件をきっかけに支援団体の「豊島はわたしたちの問題ネットワーク」(通称/豊島ネット)が生まれ、アースディ豊島を開催。20年続けて2016年に最終回を迎えました。豊島を環境と学びの島にという構想の元、わたしはラスト3回、事務局を担当しました。その後、移住された方々が、豊島でアースディを続けたいとマルシェイベントを2年開催されましたが、今年は実行委員会の声を聞くこともなく資金難と人の手配と手弁当の意思決定のゆるさが、コロナで堂々とフェードアウトです(高松市も8月の高松祭りを中止決定しました。コロナという免罪符をえて。最初から祭りの予算はなかったと聞こえてきました)。

豊島ネットが事務局のアースディでは、毎年豊島事件を視察していました。2017年は、産廃等が完全撤去したと言われていましたが、その後も産廃等が見つかりました。産廃の処理を豊島でしていた時は、気圧を下げた完全密閉という施設で中間処理していたのですが、2017年以降その施設は解体されました。有害物質を含む産廃の処理、中間梱包施設がない今、どのように進めていくのでしょうか。
産廃処理が続いていた頃は、処理施設のある直島と豊島を結ぶ専用船「太陽」に専用トラックが乗り込んで、作業に当たる人が有害物質の被害に合わないよう細心の注意が払われていました。

そんな産廃処理が終わりに近づいた頃から、見て来たことを書かなくてはと思っています。豊島の処理協議会を夏と冬に傍聴して来たのだから。今は豊島へ行けないけれど、j代表選定人である石井亨さんに聞くことはできます。豊島事件は終わっていなくて、まだまだ水処理が続きます。


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◎豊島・檀山(だんやま)とは
豊島のほぼ中央に位置する、標高300メートルの檀山(だんやま)。
山頂付近には樹齢100年から250年前後のスダジイ群生林があり、山の麓から湧き出る水は「唐櫃の清水」と呼ばれ、島の貴重な飲み水として、田畑を潤す水として、大切に使われています。
かつてこの場所は、戦後の食料不足から農地開拓の国策事業として実施された、檀山開拓団の人々によって拓かれた地でもありました。
現在、檀山に住む人はおらず、廃屋となった「さいごの家」が残っているだけです。


檀山にある「さいごの家」(一般公開していません。2019夏、数日間一般公開します)。 ◾️「FINAL HOME PROJECT」とは 香川県豊島の檀山頂上の戦後開拓団の最後の家である石井家とその景観とその暮らしを再現、保存し、未来の「人間の暮らし」を考え、共創していけるエンカウンター・スペースへと再起動を目指すリヴィング・アート・プロジェクト。


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