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まなざしを重ねる、MIMOCAのランドスケープ

1日の駅の乗降人数7,930人という丸亀駅の前に、丸亀市猪熊弦一郎現代美術館(竣工 1991年/通称MIMOCA)ができて30年。丸亀駅前の人の流れは変わったのでしょうか。

乗降人数の推移をみると(wiki/丸亀駅 )、瀬戸内国際芸術祭が始まった2010年以降も大きな変動はありません。MIMOCAの来館者数は公表されていません。運営ビジョンにも予想来場者数はありません。

丸亀駅の地下は駐車場です。駅前から続く商店街はシャッターがしまっています。駅はセブンイレブンと観光案内所が併設されているものの閑散としています。そんな駅前が、よもやランドスケープ構想の元MIMOCAと一体だったとは!

建築家谷口吉生の代表作「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館」(通称 MIMOCA)を、ランドスケープの観点から眺めてみます。参考図書は建築を見る 谷口吉生「丸亀市猪熊弦一郎現代美術館・図書館」

谷口が母校、ハーバード大学キャンパスにあるピーター・ウォーカー(Peter Walker)の代表作の1つ、タナーファウンテン(Tanner Fountain)をみて呟いた時が、「ピーター・ウォーカーとその作家性に魅せられた最初にきっかけではないかと記憶する」と三谷徹が記していますP202。

美術館建設が駅前再開発の先導的な役割を果たすために、駅前一帯をひとつづきのランドスケープとしてデザインすべく、アメリカからピーター・ウォーカーが招かれた。P33-40

丸亀市の人口は10万9千人(2021年2月1日現在)。丸亀駅の乗降人数は7,930人、これは香川県内で第5位です。丸亀市に関する基本情報が不足したまま続けますが、いつ行っても人の乗降が少ないと感じる丸亀駅前に、MIMOCAがあること、それは猪熊が「現代美術という同時代に生きている芸術を扱う美術館は、静かな場所にひっそりとあるのではなく、常に動き続けている日常的な場所の中にあったり、人々の憩いの場、ふれあいの場となるものでなければならない」P20という強い希望が反映されてのこと。


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猪熊弦一郎 《Landscape Green A》 1976年


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ハーバード大学タナーファウンテン(1984年、マサチューセッツ州ケンブリッジ) /ピーター・ウォーカー(Peter Walker)

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◎豊島・檀山(だんやま)とは
豊島のほぼ中央に位置する、標高300メートルの檀山(だんやま)。
山頂付近には樹齢100年から250年前後のスダジイ群生林があり、山の麓から湧き出る水は「唐櫃の清水」と呼ばれ、島の貴重な飲み水として、田畑を潤す水として、大切に使われています。
かつてこの場所は、戦後の食料不足から農地開拓の国策事業として実施された、檀山開拓団の人々によって拓かれた地でもありました。
現在、檀山に住む人はおらず、廃屋となった「さいごの家」が残っているだけです。


檀山にある「さいごの家」(一般公開していません。2019夏、数日間一般公開します)。 ◾️「FINAL HOME PROJECT」とは 香川県豊島の檀山頂上の戦後開拓団の最後の家である石井家とその景観とその暮らしを再現、保存し、未来の「人間の暮らし」を考え、共創していけるエンカウンター・スペースへと再起動を目指すリヴィング・アート・プロジェクト。
NPO法人 アーキペラゴによるアーキペラゴゼミ 豊島編から抜粋



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