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『茶の味』みんな世界の中心で、みんな世界の端っこ

『茶の味』という映画を15年以上ぶりに観た。

内容はなんとなくしか覚えていないというか、全く覚えていなかった。
ていうか内容と呼べるほど明確なストーリーがない。

観ていたらたまに覚えているシーンがあった。

浅野忠信が語る、幼い頃の思い出話。
女の子がもう1人の大きい自分に悩んでいること。
床に座ってワンピースの裾をつま先にひっかけている女の子に、我修院さん扮する祖父が「なんであなたは三角定規なの~なんでなの~」と歌うシーン。
土に埋められた人が出てくるシーン。
『山よ』のレコーディングシーン。

今見てみると気が付くが、松山ケンイチ、加瀬亮、草彅剛、高橋一生、庵野監督とかがちょい役で出てきて面白い。私的には高校1年生役の高橋一生の短髪で太い眉毛が非常に良かった。

この映画との出会い

この映画を初めて観たのは中学1年生だった。
当時の同級生に勧められ、その子からDVDを借りて観た。

その子とは出席番号が近かったのもあって仲が良かった。最初はハリウッドスターの話などをよく一緒にして盛り上がっていた気がする。私は姉の影響で詳しくなりなんとなく知っているスターを好きと語っていただけなんだが、きっとその子もそうだったと思う。お嬢の雰囲気もあったがたまに抜けてて可愛かった。こういったら怒られるかもしれないが、その子のうさん臭さが大好きで中高6年間でもトップ10に入る気になる存在だった。

好きなものが何となく似ていてシュールなものをネタにしてはいつも笑い合っていて、きっと「なんであなたは三角定規なの~」も一緒に歌っていたに違いない。なぜ私に貸してくれたのか、他の子にもおすすめしていたのか、DVDを持っていたのはなぜか。つかみどころのない不思議な子だった。

なんとなく「今何してるんだろう。」と気になることはあったが、中高6年間その子とずっと同じ距離感でいたわけではないので卒業後は全く連絡などは取っていなかった。

ちなみに今その子が何をしているかは知らない。他の仲のよさそうだった同級生に聞けばすぐ分かるのかもしれないが、行動するほど気になっているわけではないって感じだ。

以下 感想文

肝心の『茶の味』だが、一言で言えば変な映画だ。
作中に出てくる「知らない世界の変態」という表現が妙にしっくりくる。

12歳の私が気に入ったように28歳の私も結構気に入ったわけだが、大人になって再会したらこの映画の登場人物の各々が抱えているものが手に取るように分かるようになっていた。

一般的には経験したことのない描写が多いが、(この感覚ってみんな感じているんだなあという安堵に似た共感)と(なんじゃこりゃ!が説明されないまま進んでいくカオス感)が半々くらいのバランスで存在している。

すごく絶妙な描写で、
全員が世界の中心で、全員が世界の端っこだった。

絶対に見たほうがいいよ!みたいなおすすめの仕方はしないが、もしこの映画を見たことがあって心に残ってる人がいたら、私と気が合うんだろうな〜と思う。

夫はすすめても鑑賞してくれなったがストーリーやシーンの話をしたら「シュールすぎるだろ、君らしさ満載だな」と一言つぶやいた。

雑まとめ

彼にとって私はシュール
という事実だけが世界の端っこにいる私の中心に、ドーンと大きな顔をして座っていた。

見た後にくねくねこねくり回したこういう表現をしたくなる映画でーす。

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