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背骨から観るあるひとりの人間

ここにある男性がいる。

この男性の大脳はいつもクルクルと回転し、あれこれと妄想をしている。

本、というよりも活字を読むのが好きでカバンの中にはいつも本を忍ばせている。文庫本ならまだましな方でハードブックの本や雑誌までも入っていることがある。

どうしてこの男性のカバンはそんなに重たいのだ?と周囲の人に不思議がられ、中身を明かして呆れられる、というのはこの男性のいつものパターンだった。

休日になると読書をしていることが多い。
休みの日にはドライブだのスポーツなどアクティブに動き回る人もいるが、この男性にそれは当てはまらない。
休日にアクティブに動き回ると、とても疲れ果てるからだ。

何のために動き回るのかわからない。
トレンド情報などの知識として見たり聞いたりすると「ああ、そうか。休日には平日にできない遊びをやったり、普段いけないところに行ったりしてレジャーというものを楽しむものなのだ」と思い、やろうと思うあいだに行った気に、やった気になってしまう。

仕事は忙しくたいていが疲れ果てて、帰宅したとたんに食事を摂る間もないまま倒れこむように眠ってしまう。

寝落ちというのが常なのだ。
夜中に起き出して何か適応なものを胃袋に入れる。

ほんとうなら休日は好きな本をじっくりと読みたい。
本を読んでいると元気になってくるから不思議なものだ。

本を読んで健康になる、という人種は自分だけなのだろうか?と男性は考えている。

そこからしばらくは妄想がはじまるのだが、それは割愛しておく。

通勤時間に会社へ向かう道すがら、いそいそと歩く人の波に置いて行かれる。
ほんとうにみんなはどうやって歩いているのだろうか?
どうしたらそんなに早く歩けるのだろう?
自分としては急いでいるつもりなのに追いつくどころか、他の人に置いて行かれるばかりだ。

そういえば昨夜は足がつることはなかった。
最近よく足がつるのだ。
アキレス腱がかたくなるのは昔からだった。
特に運動をした、ということもないのにどういうことだろう。

またそこからいろいろな妄想ははじまるのだが割愛する。

早口言葉も苦手で最近のテレビ番組はテロップが入るからようやく内容が理解できる。
音声だけだとうまく聞き取れないことが多い。


この男性のようにたえず大脳が活動している人は腰椎1番が上方に転位している人が多い。

整体の体癖という面から観ると上下型といわれるタイプの人だ。

こういった人は頭痛を持っている人が多く、活字や言葉に対する感受性の強い人である。
本を読んでいると健康になり、運動すると弱ってくる。

旅行の本やグルメの本などを読んでいると、もう行った気になってしまう。人から褒められることに喜びを感じる。形式や順序を重んじ、伝統的なものを好む傾向にある。

上下型の人の健康にとって大事なことは眠りである。
食事よりも眠ること。
運動よりも眠ること。
眠りが足らないと身体がこわれてくる。

整体の観点からすると上下型には上下型の健康法がある。
上下型特有の感受性とリズムがある。

そういったものを度外視してしまうから苦しいのだ。

上下型が大脳を使ってぼんやりしているときは放っておいた方がよい。
逆に上下型がせわしなく動き出したら注意が必要である。
しかし、それはとてもわかりにくいのだ。
なぜならこの上下型という人は急いでいるのがわからないくらいゆっくりなのである。

背骨は正直なものでそういったときは腰椎1番が上下転位ではなく前後転位していることが多い。
腰椎1番が上下転位してくると自分のリズムに戻るところも興味深いところである。

自分を知る、という観点だけでなく他人を理解する、という観点からも整体の知識は有効であるといえる。


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