見出し画像

絶望と不安と後悔

2022.02.17(thu)
THE ORAL CIGARETTES
Hall Tour 2022 "SUCK MY WORLD"
@神奈川県民ホール

※そこまでガッツリではないけど、普通に曲名出してるのでネタバレ要素ありかと。

泉大津フェニックスでの野外イベントぶり。
だから実に約2年半ぶり…?
かなり久しぶりにオーラルのワンマンに行くことができた。

前回見たのがJAPANJAM、その前が泉大津と、かなり広い会場で見ていたこともあり、ホールの1階はかなり近く感じた。
物理的にはもちろん、違う意味でも存在を近く感じた。
言葉で表すのが難しいけど、なんかすごく等身大に感じたというか。

オーラルのライブって演奏やパフォーマンスがバチバチに格好良くて、一瞬で場の空気を変える力もあって、いわばカリスマ的な雰囲気を纏っているなという印象がずっとあった。

でも、今回のライブはなんだか隙が見えるような、背中をどーんと預けているような、余裕があるように見えた。
拓也さんの言葉そのものとか、話し方からそんなようなものを感じて、凄いおこがましいことを言うようだけど、ファンのことをすごく信頼してくれてるんだなというのが伝わってくるようだった。

「フェスでまた口悪くなるかもだけど、あなたたちだけは『山中口悪ぅ〜』とでも思っててください。」とか、「(TikTokの話で)あなたたちにさえ深く愛してもらえれば、俺らの音楽が消費されてもなんとも思わない」っていう言葉から、バンドマンとファンという関係ではなくて、一緒に上を目指す仲間、チームの一員と数えてくれているような印象を持った。

「大きいビルを建てるっていう夢があって、お世話になってるクリエイターの人とかみんなと語らう場所にしたい」と、夢を語ってくれたのもなんだか嬉しかったなぁ。
おかげでわたしは、そのビルに出資するという夢が出来ました。

SUCK MY WORLDというアルバムはリリースされてから時間が経っているけど、最近でも飽きずに聞いている。
むしろリリース直後より、今の方がお熱かもしれない。
一番最初に聞いた時は自分的に大ヒットな曲がなかったけど、何回か聞いていくうちに素敵なところがたくさん見つかって、今では大好きなアルバムだ。

CD音源として何回も聞いた曲でも、ライブで聞くと全く違って聞こえたり、歌詞がすっと心に入ってきたりするのはよくあることで。
その時の感情をストレートに乗せて歌う歌い方にヒリっとしたり、身体に響く重低音に気持ちが高ぶったり、歌詞に心打たれたりと情緒が忙しかった。

音楽が好きだからライブに行く、というのが一番だけど、オーラルのライブは迷っていること、悩んできることの答えが欲しくてライブに行っている節がある。
就活が上手くいかなかった時は武道館公演のリコリスの前奏で言っていた「自分を活かせ」の言葉に勇気をもらい、人生で一番どん底にいた時は横アリのカンタンナコトを歌っている時にふと放った「弱くていいんだよ」という言葉に救われた。

今回もそうだった。なぜかいつも、このバンドはわたしが一番欲しい言葉をくれるんだ。
redoneバージョンとも少し違う、女性(というより女の子?)の声が入った"LOVE"を歌っている時最中だった。
「失って後悔して、人生ってそんなんばっかやろ。それでも自分を大事にしてあげて」という言葉と、スクリーンに映し出された「1人で笑うことはできない」という歌詞が忘れられない。

「失うって悲しいけど、もしかしたら失うべきだったんじゃないか。いっぱいいっぱいだったから、これ以上抱えたらパンクしちゃうから手放すべきだったのかもしれない」「何も失えない人は何も得ることができない」ということを話していて、何だかとても響いた。

つい数日前に愛犬が空に旅立って、「もっとたくさん世話してあげたら良かった」「帰省した時に大好きだよ、うちにきてくれてありがとうって伝えれば良かった」と後悔してもしきれずに、泣きながら眠りにつく日々を過ごしていた。
そんな時に、「失って後悔して、人生ってそんなんばっかやろ。それでも自分を大事にしてあげて」と声をかけてもらって、世話を十分にしてあげられなかった自分やありがとうを言ってあげられなかった自分が許されたような気がして涙が止まらなくなった。

その後の"The Given"の「いつか鼓動が止まる頃に 思い切り笑顔で入れたら 弱ったり嘆いたりしてあなたを 困らせてばかりの僕には」という歌詞が、死んでしまった愛犬からの言葉のように聞こえて、色んな感情がごちゃごちゃになってしまった。
背中を叩いてくれる、というよりも共感してそばに寄り添っていてくれるような感じがして、"LOVE"と"The Given"の演奏中はボロボロと泣いてしまった。

"The Given"という曲を改めて聞くと、オーラルの曲やライブで言っていた想いが散りばめられているなと思う。
「絶望と不安で あなたに寄り添って 生きていけるなら」という歌詞からは「あなたを救う歌に変わるのなら、絶望も味わって構わない」といういつかのMCを思い出す。
「いつか鼓動が止まる頃に 思い切り笑顔でいれたら」という歌詞からは、今日話していた「死ぬ時は大好きな人に囲まれて死にたい」という言葉や"What you want"の「きっと願い事ひとつ叶うなら ずっと愛される人であること」という歌詞に繋がるものがあると思う。
想いを込めて歌う一言一言が、すっと胸に沁みた。

「生きるのが下手でも良い」とか「やりたいことはやった方が良い」とか、わりと一般的に聞くようなことでも、真っすぐで素直で、嘘を言わない拓也さんの口から聞くと説得力が違う。

全部ひっくり返しててっぺんまで登っていく姿や、新しいこと、楽しそうなことを見つけて挑戦する姿、負の感情や自分の弱さを受け止められる力、弱さを強さに変えていける力、その生き様が本当に格好良いし尊敬している。
わたしも拓也さんみたいな人になりたいな。

「また格好良い姿で、ここで再会しよう」
"ONE'S AGAIN"を歌う時に必ず話す。
"ONE'S AGAIN"をあまりライブで聞かなくなってもこの約束をずっと守っていたら、いつかは素敵な人になれているかな。

「しんどくなったりまた遊びにおいで」という言葉に頼りながら、「大丈夫」という言葉を信じながら、約束を守りたいな。
「明日からまた頑張れるか?」という言葉に大きく首を縦に振れるくらいのものをもらってきた。

………これで〆ると、完全無欠の感動ライブって感じだけど、もちろん人間味溢れるお茶目な部分もたくさん見れました。

チョコ(バレンタインの)1つしかもらえなくて、マウント取りたくて会場にいる男性陣にいくつもらったか聞いていたのは男子高校の日常を見ているようだった。
自分から聞いたくせに「3つもらった人は今日だけ死んでくださ〜〜〜い。お金払ってきてるのにこの後ライブ見られませ〜〜〜ん。」とか拗ねてるのも面白かった。

「重大発表聞きたい?………絶対教えなーい」という典型的な煽りに「ムカつくー!」と怒ったり、お得意のキラーチューンに操られたり、"Red Criminal"の冒頭のギター回しが格好良すぎて痺れたり(5000円出すのであと3回やってほしい。女子の前でこれやったらバレンタイン100個は余裕だと思う。というかわたしが100個渡す)、とにかく色んな方向に感情を大きく揺さぶられたライブだった。

いつも通り格好良く、ほっとするようなあったかいライブだった。
それでこそ、THE ORAL CIGARETTESのライブだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?