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映画レビュー(外国映画)

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外国映画のレビューまとめです。
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記事一覧

アクション活劇の名作『ダーティハリー』ドン・シーゲル~爽快感よりもやり場のない怒…

久しぶりに見た。あらためて見ると、こんなに暗い映画だったかと驚く。爽快感が全くない。クリ…

『スペル』サム・ライミ~飛び出すお化けと真っ向対決~

『スパイダーマン』シリーズの大ヒットでメジャー監督となったサム・ライミだが、私はあまり見…

『国境ナイトクルージング』アンソニー・チェン~どん詰まりの氷の世界で~

(C) 2023 CANOPY PICTURES & HUACE PICTURES <ネタバレあり。ご注意ください。> 北朝鮮の…

『太陽はひとりぼっち』ミケランジェロ・アントニオーニのミューズであるモニカ・ヴィ…

アラン・ドロン追悼上映と言うことで、劇場でかかっていて観た。昔のようにミケランジェロ・ア…

『リリー・マルレーン』ライナー・ベルナー・ファスビンダー~戦争と流行歌に引き裂か…

画像(C)1980 by ROXY / CIP 第2次世界大戦中のドイツの流行歌「リリー・マルレーン」を題材に…

『ペイルライダー』クリント・イーストウッド~黙示録的なガンマン~

1985年製作のクリント・イーストウッドの西部劇。オープニングは、勇ましい男たちがやって来る…

『ナイト・オン・ザ・プラネット』ジム・ジャームッシュ~愛しき多様な人間たち~

画像(C)1991 Locus Solus Inc. ジム・ジャームッシュの映画の魅力を言葉で伝えるのは難しい。とりわけ、この映画の魅力は「この世界が好きだ」としか言いようがない。トム・ウェイツの音楽がまず好きなのだ。何年かぶりで観た本作は、やっぱりいい。多様な人間たちがそれぞれの都市の夜に生きていて、その存在自体が愛しく、もうそれだけで心が温かくなる。人物造型が魅力的だし、その造型された人物を演じる役者たちが、またく魅力的なのだ。2024年8月14日に亡くなったジーナ・ロ

『帰れない二人』ジャ・ジャンクー監督の変わりゆく中国での壮大なメロドラマ

画像(C)2018 Xstream Pictures (Beijing) - MK Productions - ARTE France Cinema 中国の名匠…

『熊は、いない』イランの不屈の映画監督ジャファル・パナヒ~虚構の希望と抑圧と現実…

画像(C)2022_JP Production_all rights reserved イラン政府から映画制作を禁じられながらも…

『青春シンドローム』セドリック・クラピッシュ~仲間と過ごした懐かしき日々

現代フランスの映画監督セドリック・クラピッシュは、『猫が行方不明』と『パリのどこかで、あ…

『リュミエール!』ティエリー・フレモー ~映画の原点と言えるワンショットの感動~

画像(C)2017 - Sorties d'usine productions - Institut Lumiere, Lyon 50秒ワンシーンワンカ…

「夜の外側 イタリアを震撼させた55日間」~複層的な視点で虚構と現実が交錯するマル…

画像(C)2022 The Apartment - Kavac Film - Arte France. All Rights Reserved. 前後編合わせ…

『ピストルと少年』ジャック・ドワイヨン~姉弟と刑事3人の車の旅~

刑事をピストルで脅しながら、生き別れた姉に会いに行き、再会した姉と弟、そして刑事の3人の…

『アンストッパブル』(2010)トニー・スコット監督の遺作~シンプルなサスペンス・アクション映画の傑作~

画像(C)2010 TWENTIETH CENTURY FOX この映画はまぎれもないトニー・スコット監督の傑作である。暴走する無人列車の圧倒的な運動感。凝縮された時間のなかで、緊張感のあるサスペンスがリアルタイムで持続し、暴走列車を止めようとする様々なアクションや駆け引きや人間模様が描かれ、そして何よりもデンゼル・ワシントンとクリス・パインの二人の機関士によるドラマが見事に凝縮されている。大仕掛けな特撮やSFXなどなくても、彼らの命を賭した身体的な躍動と身振りのアクション