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映画レビュー(日本映画)

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日本映画のレビューをまとめました。
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2023年6月の記事一覧

日本映画史上に残る傑作『雨月物語』~溝口健二の映像術~現実と霊的世界がワンカット…

©KADOKAWA1953 日本映画史上に残る傑作、溝口健二の『雨月物語』を「大映4K映画祭」の1本と…

ヒデヨシ
1年前
8

溝口健二の『赤線地帯』の群像劇

©KADOKAWA1956 赤線や娼婦たちを描いた映画は多い。同じ溝口健二は『夜の女たち』(1948年)…

ヒデヨシ
1年前
4

増村保造の戦争映画の傑作『赤い天使』

©KADOKAWA1966 暴力と生と死、エロスとタナトス。凄まじい映画だ。増村保造の強烈な情念の世…

ヒデヨシ
1年前
2

『刺青』情念の増村保造の世界~映画史に残る悪女

©KADOKAWA1966 「大映4K映画祭」より増村保造を続けて2本。溝口健二が計算され尽くした映像…

ヒデヨシ
1年前
1

時代劇『大菩薩峠』ダークヒーロー机竜之介のニヒリズム

©KADOKAWA1960 これまで時代劇はわりとスルーしてきたので、有名なものも見逃している。今回…

ヒデヨシ
1年前
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時代劇『斬る』虚無のなか堕ちていく孤独

©KADOKAWA1962 柴田錬三郎の原作を新藤兼人が脚色。冒頭、侍女(藤村志保)が側室を刺し殺す…

ヒデヨシ
1年前
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是枝映画『怪物』~森のトンネルを抜けて「銀河鉄道の夜」の少年の二人旅

(C)2023「怪物」製作委員会 <ネタバレ注意> やっと『怪物』を観ることができた。もっとイジメのイヤな話かと思っていたが、とてもいい気持ちになれるいつもの是枝映画だった。ただ坂元裕二脚本が、ミスリードも含めていろいろと仕掛けているので、それが脚本的には企みに満ちており、台詞でいろいろいろと重ねている。そして作為的に興味を引っ張っているので、見やすいし面白く見られる。一方、やや余白がなく、いつもの是枝らしい間合いがなかったような気もする。 言うまでもなく、これは『銀河鉄