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20年分の想いと恋愛観 その②

彼女との別離から

あっと言う間に2年が過ぎていった。
その間何人かと付き合ってもみた。

でも「好き」になれても前のようにこの人となら未来が見てみたい。

という程の衝動にはかられない。

そんな17歳の夏目前だった。

友人から夜に花火しようよ。と誘われた。

悩む僕に

分かった。〇〇ちゃんも呼ぶからと僕の目の前でその彼女に電話をかける友人。

この2年にこの友人(彼女の同じ中学校の女友達)からずっと彼女の近況を聞いていた。

好きな人が出来たみたいよーとか、結局その恋は実らずに終わったことなど…。

ずっと未練たらたらの僕にいい加減、自分の気持ちを伝えなさいと背中を押してくれたのだ。
相手も電話番号変わってないねんから自分で電話しなよ、とずっと言ってくれていたが
どうしても電話をかける勇気がない僕を横目に

「今日花火するけどこーへん?(俺)君とかもおるし久々に会いたいんじゃない?」

といった内容を隣で話してくれていたと思う。



友達に自分の感情がバレないように精一杯、冷静なフリをしていたのだけを今もはっきりと覚えてる。


内心、ホントに会えるんだろうか…会えたとて、上手く話せるのか…期待と不安とが交互に押し寄せる中で
会える嬉しさだけが大きく心の中で渦巻いていた。


一旦解散して夕方、花火を買いに行く手筈になったと思う。


ここで、事件が起こる。
花火を買いに行くのに集まる時に

携帯でメールを打ちながら自転車に乗っていた僕は
縁石に引っかかり顔から落ちて
血だらけになってしまった。

花火や再会どころではないくらい血だらけになった。
今でも薄く傷跡が残るほど
鼻と目の間位のところから出血していた。

ただ、会える嬉しさでアドレナリンが出まくっていたんでしょうね。


今まで電話さえ出来なかったのに
主宰の女友達の方ではなく
何故か無意識に彼女に電話をかけていた。

事故で行けない。

とだけ伝えた。

これで結局会わずに終わるんだと思った。人生ってそんなもんだよね。

帰ろう。

そう思って電話を切ろうとしたときに



どこに居るの?と聞かれた。

待ってて。すぐに行くからと。
飛んで来てくれた彼女に思わず見とれていたと思う。
2年ぶりに会う彼女は少し大人びてキレイになっていた。

ティッシュと消毒液を買ってその場に来てくれた彼女に
ありがとうと何度も伝えた。

心の中で何でまた優しくしてくれるんだろう
とそのような事を考えていたのを覚えてる。


今考えたら、そりゃ知り合いが事故で出血してるし、近くにいるって聞いたら心配して当然よね。笑

自分の怪我の度合いなんかより
花火に彼女を参加させなきゃと思い
もう大丈夫、花火みんなとしておいで

と精一杯強がった。
勿論、心の中では行かないで。一緒に居てよと思っていた。


バカ。花火に行きたくて来たわけじゃない。あなたに会えると思ったから来たのに。

と言われ、とりあえず着替えにうちへ戻る。

彼女の言葉の意味を隣でずっとずっと考えていた。
2年離れて尚、助けに来てくれた意味を…。



すぐに着替えてしっかり止血して、家の救急箱にあった眼帯をつけて
またすぐに家を出た。

彼女を家まで送っていかなきゃと思い
二人、自転車を押して歩く。

……


ものすごく長い沈黙だったように感じた。
話したい事は沢山あったのに何一つ言葉が出てこない。

もしくはありきたりな当たり障りない会話をしたのかな。深くは覚えていないけど
すぐに彼女の家に着いた。

二年前と同じように、お茶だけ飲んで行ってと
家に上げてもらった。
お茶を一気に飲み干すと「もう行くね」と言う僕に


「うん」

とだけ返事をした彼女。
玄関まで見送られて靴を履いて振り返ったときに

不意に



「ごめんなさい」



と自分の思いが溢れた。
初めて彼女に漏らした自分の本心だったように思う。


傷つけて、裏切ったってしまったこと。
2年間ずっとずっと大切に思っていたこと。

何一つ上手に伝えれたとは、今でも思わない。
拙い言葉で1つずつ伝えた。

そんな僕にそっとハグをして

「どれだけ好きやったと思ってるん」

と一筋だけ涙を見せた彼女。弱々しくハグを返したあと、そっとキスをされた。
この日のことは一生忘れないと思った。
僕の人生の中で唯一「正解」があったなら
この日、彼女に素直になれたことなんだろう。

「どれだけ好きやったと思ってるん」

このたった一言の言葉が20年経った今でも僕の中で彼女が

「大切」な理由なんだ。


まだ続くんですけど
このあと僕はもっと最低な事をしてしまいます。
人生で一番の「間違い」です。人として。

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