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13歳 胸郭の手術


■13歳になりました

息子は13歳になりました。
この4月から中学2年生です。

マルファン症候群という遺伝性の難病を持つ彼は、身長は180cm超。

マルファン症候群とは
マルファン症候群は、眼、骨、心臓、血管、肺、中枢神経系などに異常が生じるまれな遺伝性結合組織疾患です。

MSDマニュアルより

この1年で10cmくらい身長も伸びた気がします。

中学の入学式の写真と比べると、顔つきもだいぶゴツゴツしてきました。

制服のズボンが短くなり、丈を伸ばさなくては!

ジャージのズボンも短いのですが、もう規格が見つからないので、クロップド丈ということで我慢してもらいたいです。

しばらく色々と大変で、あまり記録に残す気持ちになれていませんでした。

でも、気持ちは時が経つと忘れてしまうもの。

Facebookで過去の記録が出てきて、すっかり忘れていることに驚きました。

やはりその時々の思考は残しておこうと思いました。

■胸郭の歪み

1)現状

目下の悩みは胸郭の歪み。
この1年でかなり強くなりました。
服の上からもわかるくらい。
鳩胸というか漏斗胸というか・・・。
凸の方が強く、心臓や肺を圧迫してはいないので、鳩胸ということになるようです。

学校で友人に「それ何?」と言われることもあるそうです。
私自身もママ友に「うちの息子が家で心配してたの。」と言われることもあり、よそ様のお茶の間で話題になるほどになったか・・・と、なんとも言い難い気持ちでもありました。

本人も気にし始め、受診してみたいとのことだったので、定期的に受診している小児専門病院で改めて相談してみることにしたのでした。

2)今の病院の形成外科の見解

主に循環器内科で受診している小児専門病院では、年に1回、脊椎の側弯についても整形外科でもチェックしてもらっています。

胸郭の歪みについては形成外科の範疇らしく、2年前に気になり出した時点で受診していました。

気になってきたらいつでも再診予約を入れていいと言ってくださったので、改めて受診しました。この先生は親の不安をわかって心強い対応をしてくださる方です。

患者家族として色々な先生に出会ってきて、信頼できる方というのは、治せる治せないではないことを痛感しています。

できること、できないことを明確にした上で、自分の専門外のことはちゃんと繋げてくれること、自分の見解をちゃんと述べてくれる先生が最も信頼できます。

なんというか、自分のテリトリー以外のことに関わること、発言に責任を持つことのリスクがあるのはよくわかるのです。そこを一歩踏み越えて、人として正直に率直に関わってくださると本当にありがたい…。

今まで出会った先生で2人です。

私も医療機関で難治性の痛みのある方のケアをする職に従事していますが、そうあろうと努めています。

話は戻りますが、そこでの診断は、「この病院では手術できない。でも胸郭外科を専門にしている先生がいるから紹介状を書きます。」とのことでした。

私の懸念は、一度胸の手術をすると癒着などで将来起こりうる心臓血管手術をする際に不利益がないかということでした。

この先、小児科を卒業して成人科に移行していきますが、同じマルファン症候群の夫がかかっている大学病院になるかと思うので、そこでの見解も聞きたいとお願いしました。

紹介状を2通書くことを快諾してくださり、次のアクションとなりました。

3)紹介先の病院

紹介された病院は隣市にあり、私も入院したり手術をしているし、息子も保育園時代には肺炎などで入院した事のあるところでした。

胸郭外科という専門の科があり、全国から手術を受けに来られるようです。最寄りの総合病院にあるのは幸いでした。

これまでの術式ですと、肋骨の内側に金属プレートを入れたり、胸骨を裏返したりなど、かなり体への負担も大きく、再度の手術や運動制限や痛みが強いのがネックでした。

リスクとベネフィットを天秤にかけた際に、心臓や肺を圧迫してどうしようもないという状況でないと踏み切れないものでした。

正直、この手術を受けさせるのは、親としても、痛みの専門の仕事をしている身としても考えてしまいます。

ですが、プレートを使わず、肋軟骨や胸骨を切って縫い縮めるという術式であればまだ期待できるのでは!と説明を受けて思いました。

この術式によって、心肺機能への影響がなくても、シンプルに胸郭の歪みに対して治療に踏み切りやすくなったとのことでした。

それでも退院後1ヶ月の自宅安静、3ヶ月の運動制限はありますが、夏休みを利用すれば学業への負担も少なく、なんとかなるような気がしました。


4)セカンドオピニオン

小児科にかかることができるのは基本は15歳まで。
成人科への移行も慢性の病気を持つ子どもたち共通の課題です。
そろそろ見えてきたこの先の転院。

父親が心臓外科手術を受けており、息子も遺伝子診断などで受診していた大学病院の小児外科でも診断を仰ぎました。

実はこちらの先生は私の大学時代のサークルの先輩。
9年前に病院の売店で入院中の患者家族として再会しました。

不思議なご縁です。

ざっくばらんに相談すると、一度胸の手術をして癒着があると、将来心臓の手術をする際に、外科の先生には抵抗があることもあるが、今は医療が進んで再手術を受ける人も多いからとのことでした。

呼吸や心拍への影響が少ないようならば、もう少し、本人の心身が成長し、色々判断できるようになるまで、待ってもいいのではないか?とアドバイスをいただきました。

術式については、プレートを使うNAS式がメインのようでした。
最大何歳まで小児外科で手術をしたことがあるのかなどお聞きできました。

でも、正直を言うと、セカンドオピニオンをいただいた結果、すぐ手術した方がいいのか、待った方がいいのか、しない方がいいのか完全にわからなくなってしまいました。

ラッキーなことに冬休みを利用して2つの医療機関を受診することができましたが、私の脳は、重すぎる判断にキャパオーバー。通院後はぐったりしてしまうのは、何年経っても変わりません。


5)患者の先輩

患者家族のお仲間に相談をしてみることにしました。今は色々と自分の生活でいっぱいいっぱいのため、おやすみさせていただいていますが、患者会でスタッフをしていた時のご縁です。

ピアカウンセリングというのは勧められがちですが、同じ病気だからといって、同じ症状や環境とは限らないので、共感より差異が目立つこともあり、かえって苦しいこともあることを身をもって知りました。

でも、今回は、年も互いの成長を見守りつつ、仲良くしていただいている信頼できる方でもあり、思い切って相談をしました。

詳細はここでは伏せますが、マルファン症候群の胸郭の歪みの特性、2つの医療機関での術式の現実について、最も納得のいくお話を聞くことができました。

やはり骨の過形成によって行きどころのなくなった肋骨が内側や外側に突出するようです。

ということは骨が伸びる成長期は手術をしても戻りがあるという課題、マルファン症候群の人は、手術をしても戻りやすいと先生がおっしゃった意味がわかります。

だとしたら最適期はいつなのか。
ポイントが絞れてきました。

■今の結論

1)問題点

私の不安は次の内容でした。待っていいのか、すぐの方がいいのか。
・胸郭の歪みをそのままにすることで側弯が進まないか(側弯の手術をすると体幹の可動域が狭くなり、どのような予後があるか、自分が仕事でよく見ているため、なるべく避けたい気がしています)
・本人が容姿についてどれくらい気にしているか
・公立中学に通っているので、高校受験を考えると、なるべく中3は手術を避けたい
・自宅療養期間や運動制限のある期間をどうサポートするか

2)胸壁外科の先生への相談


直近で手術をするならば、中2の夏休みがベスト。
年度はじめに申し込みが必要でした。
ギリギリまで悩み、先生にご相談しました。

先生もお忙しいので、なかなかすぐにやり取りできず、その間、さまざまな不安が募りました。

結果、やはり成長期は戻りやすいとのこと。本人が見た目を気にして困っているならすぐ、待てるなら先で…という方針を導き出せました。

3)本人の意思


息子とは折に触れて話し合ってはいましたが、怖いなー決められないなーと言っていました。そりゃそうだよねーと私も言うしかなく。

最終的には

『骨曲がってるね』言われてションボリするメンタルじゃないから大丈夫ー!せっかく手術してもまた戻るのも嫌だから高校生になってからにするわ。ママ色々調べてくれてありがとー!

とあっさりでした!
ハートの強さにホッとしました。



よかったけれど、どっと疲れました。

この夏に手術をするのならばと、仕事を調整したり、ラグビーをしている娘の合宿や大会参加のサポートをお願いしたり、段取りをしていました。

2年後は、子どもたちも進学して環境が変わっているし、私もどうなっているか未知数すぎて、また一から段取りし直すのかあ・・・と。

と言うわけで、それからしばらーく燃え尽きております。
色々なことに向き合いつつ、労いつつ。
その話はいずれまた。

とりあえず、息子は思ったよりもタフで、お友達にも恵まれ、容姿でいじめられることもなく、なんとか思春期を乗り切れそうなのはホッとしました。