発見当日の話②


前回の続き。




アパート近くのパーキングに車を止めた。
ここからのやりとりは、うろ覚えなところもあるけど、覚えている限りのことを書きます。



アパートの前に、警察官の男性が一人立っていた。「○△号室ですか?」と聞くと「そうです。彼女さんですか?」
…不動産屋が合鍵を持ってくるまで、そこから真夏の外で、色々聞かれた。夕方だったが、とにかく暑かった…。

覚えている限りでは、
自分と相手の名前、生年月日、住所、職業、間柄、今日警察を呼ぶまでの流れ、最近の彼の様子等々、たくさん答えた。
事情聴取ってやつかな?でも、すごい物腰の柔らかい人で、緊張しつつも冷静に話せた。

不動産屋が来るまでひたすら外で待っていた。合鍵を持って来はったら、私と警察官と、不動産屋の人で中に入る予定だった。
一通り話した後、警官と少し離れたところで数十分待っていると、”あれ?警官がいない…”。

すると、アパートから警官が出てきた。”いつの間に?”と思っていたら、他の住人の方が帰ってきた際に入れてもらったらしい。

私の顔を見るなり、首を横に振る警官。

「残念ながら…。ここからは、事故現場になるから立ち入れないので、待ってて」と言われた。絶句した。呆然とした。警官の人はどこかに電話をしていた。

この時点で、不動産屋はまだ到着してなかった。そう、部屋の鍵が開いていたのだ。「鍵が開いてたんだけど、彼は戸締りしない人?」と聞かれたけど、彼は人一倍戸締りする人だったので、おかしいなと思った。なぜ開いていたのか、いまだに謎のまま…。早く見つけて欲しかったのかな?

それから、あれよあれよと複数の人がアパートを出たり入ったり。私はただ、玄関前でそれを呆然と眺めていた。警察官、救急隊員、鑑識のような人、いろんな人が立ち入ってたと思う。その間も、いろんな人にいろいろ聞かれた。この辺はあまり覚えていない…。”検索履歴に自殺サイトがあった。現場の状況からしても、自殺だろう”みたいなことを言われた気がする。

…私は何も聞けなかった。

だいぶ時間が経ち、”もうしばらく時間がかかるから、車の中で待っててください”と言われて、一旦車に戻った。この段階で、涙は出るが、いろんな人とやりとりしていたので、号泣とまではいかず、すすり泣きしていた。

この間にも電話履歴、LINEのやりとりなどの画面をカメラで写真に撮られたりした。日が落ちるまで捜査が終わるのを待った。
数時間経って、捜査が終わったのか、”母親がこちらに向っているみたいですが、近くの警察署に移動して待ちますか?”と言われたので移動した。
駐車場代は”調査に協力してもらったのでこちらで出します”ということだったので、支払ってもらった。

警察署で一時間ほど待ってたけど、「母親がまだ準備をしていて、到着が遅くなるみたいだけど、帰る?待ってる?」と聞かれて、朝から行動していて疲れていたため、家に帰ることに。

待ってる最中に「お顔、見れるけどどうしますか?無理に見なくていいし、綺麗にしてもらってからの方がいいかも」と聞かれて、「帰れなくなりそうなので、やめておきます」と断わった。


「無理しないで、休憩しながら、ゆっくり、気をつけて帰ってください」そう言われて、お礼を言って、警察署を出た。

外に出て、声を上げて泣いた。子どもみたいに泣きじゃくった。わんわん泣いた。大人になって、こんなに泣くとは思わなかった。人見知りの私が、今日一日冷静に話せてたことにびっくり。ずっと人前にいたから泣くまい!と我慢してたのがプッツン切れた。

帰りは、なんとか家まで帰れた。ずーっと泣きながら運転していた。家に着いてから、どうしたか、いつ眠りについたか、覚えていない。翌日、目が覚めたら人生で初めて目が腫れていた。





事故現場って言葉を使うのは嫌なんやけど、あのまま警察官と一緒に彼の部屋に入って、現場を見ずに済んだことが今となってはせめてもの良かったと思えることかな。絶対、そんな現場を目にしたらトラウマになって鬱にでもなってた。想像しただけでも胸が苦しくて涙が出るのに…。



最近、芸能界でも自殺する人が多くて、<首を吊っているのを家族が発見>とかニュースで聞くけど、そんなん見たら正気でいられる自信ないよ。。

自殺した人は、辛さや苦悩を抱えたまま生きるより死んだ方が楽になる、そんなことを思って命の選択をするのかなと思う。亡くなった人は、それで楽になったかもしれないし、いまだに苦しんでるのかもしれない。それは、誰にも分からないけど…

遺された遺族は、後悔や悲しみ、一生消えない傷を背負ったまま生きなければならない。本当に、毎日が辛い。生きることが辛い。後追い自殺って言葉が生まれた理由がよく分かる。”彼のいない世界なんていらない!彼がいないなら生きてても意味が無い!そばに行きたい!”…自分も死のう。大切な人の死って簡単に受け入れられるものじゃないし、そんな事を考えるくらい苦しい。

でも、”それは彼は望んでいない”って分かってるから私は、もがきながらも”今”を生きてる。

ただ、言いたいことは、

生きててほしかった。


永遠に続くと思っていたのに、一緒に過ごした毎日は、当たり前じゃなかったんだね。ずっと変わらないと思ってたのに。もっと、もっと、一日一日を大事にすればよかった。あの日、あの時が最期だとわかっていたら、私はもっと一生懸命に生きていた。

”死”は、命あるもの皆平等に突然来るものだから、大切な人と、後悔のない一日を過ごしてください。会えなくなってからじゃなにも伝えられないし、取り返しもつかずどうしようもないから。


私は、いまだに毎日後悔しています。




自殺を少しでも考えている人、生きて!生きてたらいつかいいことがあるよ!

…これは辛い思いをしている人に言っても綺麗事に聞こえるやろうし大きな声では言えないけど、自殺の仕方によっては損害賠償の問題もある。家族や友達、周りの人は一生悲しむから、思い止まって欲しい。。自分は自分しかいないから周りと比べなくていい。人生一度きり。相談できる人には相談しよう。





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