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2023冬アニメ感想 ぼざロスの悪魔

著しくアニメ視聴へのモチベが下がりつつあることを懸念して2022秋から始めたアニメ感想まとめ。しかしながら当初にかかげた、そのクールを1か月ごとに3分割して感想をなるべく早く語るという目標をまったく更新できなかったので、もう1クールひとまとめに雑に語っていくことにする。

アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』が終わって以降、マジでアニメに身が入らない状態なので全体的に評価にデバフがかかっていることが前提。

冬アニメで見たもの (未完走含む) はこちら。

『犬になったら好きな人に拾われた』
『ヴィンランド・サガ SEASON 2』
『お兄ちゃんはおしまい!』
『ジョジョの奇妙な冒険 6部』
『TRIGUN STAMPEDE』
『NieR:Automata Ver1.1a』

おまけ枠
『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(TVエディション)』
『機動戦士ガンダム サンダーボルト(TVエディション)』


〜感想のルール〜

  • 評価に応じた順位づけをする

  • 視聴中のモチベーションの多寡をタイトル横に捕捉する

  • 評価の順位とモチベの高低は必ずしもし一致しない。
    上位であっても視聴モチベが低いこともある。逆も然り。

  • 上記3項に則り下位作品ほど感想が多かったり、上位作品がさらっと済まされることもある。

※評価の基準
基本、映像重視で評価。作画より演出や画面設計が面白いかどうか。
ストーリーに関しては、シナリオの巧さよりキャラクターの動機に沿ったドラマが展開できているかどうかを重視。

〜モチベーションの内実〜

  • 特盛 (繰り返し集中して見た)

  • 大盛 (1回は集中してみた)

  • 並盛 (内容を覚える程度には見た)

  • 小盛 (だらっと流し見した)

  • 虚無盛 (ほぼ見てない)



6位『NieR:Automata Ver1.1a』モチベ:小盛


あのー2回も延期になったら流石に…。
ゲーム本編の方は大量に転がってる実況動画で知っているという現代人にありがちなゲーム体験で済ませている。1クールで収まる内容ではないことも承知しているが、オリジナル展開を見せるにしてもあんまり意外性がない。ゲーム内のサブストーリーとして消化できそうな内容だったので、わざわざアニメ一本作る必要があったのか疑問。

あとamazarashiはアニメのタイアップをそろそろやめて、社会問題にコミットするような大上段を振りかざすのもやめて、安易なノスタルジーや慰安旅行的な風景に回収されない「田舎の現在」をテーマにしたコンセプトアルバムを作ってくれ。




5位『犬になったら好きな人に拾われた』モチベ:大盛


なんでアニメ化したんだ2023筆頭。

マガジン系列のエロコメ打線の一角。
こういうのは5分アニメでいいんだって。15分もいらん。

あのですねぇ、このアニメの1番気に入らないところは原作の徹底した主観ショット主義 (POV)を放棄したところにあるんですよ。原作は常に主人公の1人称視点で他の登場人物の視点やモノローグも徹底排除して、犬視点の時はずーっとアイレベルを下に置いて広角気味の画面設計にこだわってんですよ。人間視点になるとヒロインより背が高くなるので今度は見下ろし気味の構図になる徹底ぶり。

こんなお下劣エロコメにストーリーなんてあってないようなもんだけども (最近なんか普通のラブコメしだして「?」となっている)、「欲望」にコミットするためのアイデア創出力を俺は高く買っていて、主人公が人間に戻ろうが犬に戻ろうがずーっと主観を維持して、並の漫画家なら発狂しそうな構図を常に描き抜く姿勢をずっと応援していた。

それがこのアニメ、当たり前のように他人称視点のカメラポジションをぶち込んでくる。
画に変化をもたせるためなんか、レイアウトすんのが難しいんかしらんけど、それをやっちゃったらこの作品の持ち味が消え失せるじゃん!こうなっちゃうからアニメ化するもんじゃねぇんだよ。

例えばこのシーンですよ。

主人公が犬になって初めて散歩に連れ出される回。
まぁパンチラ目的というのはもちろんお分かりですね?
でもそのカタルシスを支えているのはこの視点をずっと維持して没入感を高めているからこそ。

このページの大ゴマではモブ2人がこちら (主人公) を見下ろしている。
主人公は犬形態のときは誰かに抱きかかえられたりしない限り、基本的には見下ろされる位置にいて視点の「高さ」が合うことがない。
それなのにアニメでのこのシーンは

あーワンちゃんだ
かわいー♡
ここまではギリ許容範囲として
ここ違和感ありまくる

は?
首が伸びとんのか?

ここ笑っちまったよ。ここだけ一瞬キリンにでもなったんか?
明らかに首がにゅーーんって伸びてる。
作画でカメラワーク作ってるから、だんだん視点が高くなっていって違和感半端ない。

ここに限らず、今お前首伸びとんのか?カットが頻出する。

ヒロインの服にムカデが侵入するシーン。
わかりやすいようにアップにするコマはあれど、壁に張り付いてる子を見上げる視点 (ローポジ&ローアン) をずっと維持している。
んでこっから犬主人公も服んなかに侵入してムカデとったあと、ヒロインに巴投げを喰らう。

アホくさい。が、このどんな複雑な構図であっても主観で描き切るリビドーを評価している
1コマ目と2コマ目の大胆な視点移動でヒロインの向きが上下反転。
別位置の視点が介入したように錯覚してしまった

これが全編POV撮影の映画だった場合カットを割ることはないだろう。視点の「切り返し」によるモンタージュは起こり得ない。しかしこのページを見たとき、漫画におけるコマ割りは全編POV撮影では本来起こり得ない「切り返し」を起こしたように見せかけることができるのかと地味に驚いた。漫画と映像、両者の時間的/空間的連続性にコマを割る/カットを割るという意図の介入が起こす効果の違いについて考えさせられた。なぜこんなエロコメで…。

そういや『クローバーフィールド』(2008) では主人公が回すハンディカメラを通した視点が徹底されていたが、主人公がハンディカメラを落っことした瞬間「誰の視点でもない」状態が生まれていた。カメラを持った人物が撮影の主導権を手放したとき、その映像は「誰」が「何」を撮っているのか。

映画において映像の意図を担うのは言わずもがな監督だが、 「映像の意図」が放棄された状態を擬似的に発生させるためにハンディカメラを用いたPOVは最適なのかもしれない。もちろん「カメラを落とした状態」を意図したのは監督なので、映画の映像はどこまで行っても「意図」を免れることはできない。

スマホ、一眼レフ、TVカメラ、監視カメラ…なにかしらの用途と目的をもって映像は撮られる。完全に意図のない映像を「撮る (倒錯)」には、知らず知らずのうちにカメラを起動して、知らず知らずのうちにカメラをどこかに落っことして、そのカメラが何物の指図も受けずに撮った映像を回収するしかない (どうやって?)。

うーん…なんか言ってて訳分からなくなってきた、こういうの分かりやすく語ってる評論ないか?ストーリー評とかテーマ評 (或いは評者の思想開陳ショー、或いはプロパガンダ) は飽きるほどあるけど、映像演出 (構図、ショット、カット割、カメラワーク、美術、照明、etc) の観点に極力絞ってその効果そのものと、その効果が寄与する領域を語る評論or評論家で有名なのってあります?

記号論とかモチーフ分析からなるコンテクストの生成じゃなくて、映画だったらカメラと編集、アニメだったらレイアウトと動画による「映像そのもの」について語ってそうなやつが読みたいんだよ、多分、知らんけど。

この辺にヒントがありそう。
まあでも評論とか読むのめんどくせぇんだよなぁ…(ちゃぶ台返し)。

話を戻そう。
このムカデシーンがアニメだと

この時点で気に食わない
完全に第三者のカメラが介入している
首伸びとんのか
ここに至っては意味が分からない
主人公はまだ服んなか入ってねぇだろ!!
首伸びすぎぃ!!
誰の視点だこれはぁ!?

これになっててもう許せない。
なんなんだ!なんのための犬視点なんだ!!
思い出したように犬視点に戻るのが余計に映像の訴求力を損ない、振り切った原作と良くない対比になっている。
最終回までずーっとこんな感じ。なんでアニメ化したんだ。




4位『ジョジョの奇妙な冒険 6部』モチベ:並盛


さっさとプッチと戦ってほしかったので、プッチ中心に話が進み出して結構見応えがあった。

メイド・イン・ヘブンの下り、スタンド能力もそうだしプッチの言うてる「幸福論」も意味わからん。




3位『ヴィンランド・サガ SEASON 2』モチベ:並盛


1期がクソおもろかったので、どうにも下り坂感が否めない。

高校で世界史を選択していて、このあたりの北欧史めちゃくちゃ好きだった。当時の世界史教師がめちゃくちゃ優秀で、教科書の内容を詰め込むんじゃなくて、その国の文化的、風土的な側面から物語的に授業を展開してくれたので、食い入るように授業を受けていた記憶がある。
たまに他の教科が潰れて臨時で世界史が入ったときとかめちゃくちゃ喜んだ。

ヨーロッパ史、大陸史は見ていて飽きない。
国同士が潰し合い、大国化し、分裂し、それの繰り返し。多種多様な文化、登場人物、が錯綜し目まぐるしく状況が変わる。

特に北欧史におけるヴァイキング=ノルマン人のイレギュラー感はハンパなくて、こいつらの意味わからんフットワーク、残虐性にはかなり興味を惹かれた。あと出てくる単語がかっこいい「ノルマンコンクエスト」とか、「スカンディナヴィア半島」とか。

世界史好きとしてスケールの大きいドラマを展開していた1期はかなり見応えがあって、世界史勉強しててよかったなぁとしみじみ思っていたが、2期からなんか「自分探し」みたいな話が始まってしまった。はよ殺し合い始めてくれへんかとうずうずしていたが、どうやら主人公は不殺の誓いを立ててしまったので期待できそうもない。

原作で好きなコマはこれ。

ここの「とどめ欲しいやついるかー?」「とどめたのむ〜〜〜」のやりとりに不謹慎だが笑ってしまった。

当時の倫理観など推察するものでしかないが、こういう歴史物において、明らかに現代の価値観を内面化した登場人物が、現代人に共感を得やすい正論を振りかざしたりするシーンで「?」となるので、つまり不殺の誓いを立ててしまった主人公との折り合いがますます悪くなってくる。

まぁそんなこと言い出すとトールズの「敵などいない」発言からしてそうだけど。




2位『お兄ちゃんはおしまい!』モチベ:並盛りから虚無盛


ほんとうにおしまいだよ。
原作は同人版からずーっと追ってるので内容に一切の不満はないが、アニメ化したところで…という感じ。最初の方はええやん思いながら見てたけど、だんだん食ったことある味に飽きてて最終回まで見るのはやめた。

EDはヌルヌル動きすぎてて酔いました。




1位『TRIGUN STAMPEDE』モチベ:大盛


原作好き&『宝石の国』を手がけたオレンジのフルCGアニメーションということで見た。
キャラデザ変えまくり、設定変えまくり、アニオリ展開しまくりとはいえ、オレンジが繰り出す最高級アニメーション活劇にはやはり目を見張るものがあって飽きずに最後まで見ることができた。なんやかんやトンガリになったし。

ただ『TRIGUN』って終盤は殺伐としてくるけど、基本的に登場人物はみんな強かで貪欲で、あと頭のネジが外れてて、苦難にさらされてもしぶとく乗り越えるところ (と内藤泰弘のケレン味演出) が良かったから、やたらめったら悲劇性を強調するのは引っ掛かる。

あ、あと「ヴァッシュ・ザ・スタンピィィィド!!」って誰でもいいから言ってほしかった。ヴァッシュ・ザ・スタンピードの語感がめっちゃ好きなので。

続編が映画だったらめんどくさいなぁ。


おまけ枠『閃光のハサウェイ』&『サンダーボルト』


ガンダムは1stをところどころ摘み食いして見て、そのあとUC見て、逆シャア見たという一部原理主義の方々からすると噴飯ものの視聴履歴です。

どちらも本編視聴済みなので新規カットもなさそうなTVエディションを見る必要はなかったんだがなんだかんだ見てしまった。『ハサウェイ』は映画館で2回見たくらいには好きなのだが、やっぱ映画館の音響でフル尺見た時の感動には見劣りする。

『サンダーボルト』はなんか中途半端にシーズン2の内容に片足突っ込んだので、シーズン2も配信で見てみたけどなんか変な話になりそう…。

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