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こうしてはじまるのかもしれない

うちにはかわいーわんこがいる。
とても可愛くて、地域のアイドル的存在で、固定ファンもいたりして、
(親バカ炸裂ですけどホントなのです)
現在夫婦2人暮らしのあたし達にとっては孫のように愛おしい大切な存在である。

ある時、彼女がメインのSNSアカウントにDMが届いた。
2件。
どちらも書き出しは、あなたのわんこは可愛いですね、で
次に簡単な質問が添えられてた。
削除してしまったので、ひとつは忘れてしまったけれど、
片方は確か、なんていう犬種ですか?というのだった。

わんこを褒められるのは悪い気はしない。
飼い主さんならおしなべて皆そうだと思う。
それにあたしにとっては目に入れても痛くないと言われる
孫みたいな存在だもの。
DMを見て、そうでしょうそうでしょう、可愛いんです、うちの仔、と
口に出さずにひとりごちた。
で、ふとこの質問に返信してあげようかな、なんて思いが頭をよぎった。

普段知らない人からのDMなど返信するなんて
これっぽっちも思い及ばないけれど
褒めてくれたし、「犬好き」 カテだし、と
その時は心に少し隙間というか、余白のようなものができたのだろうな。
(今思えばそれは余白というより油断というシロモノに思えるけれど)
ほんの一瞬、そんなことを思ったけれど、いや待てよ、と我に返った。
割と瞬時に。

そのDMの差出人の氏名は明らかに日本人のものだった。
けれど、日本語が少し不自然…
まるで自動翻訳したみたいな印象。
今世界的に人気がある和犬を犬好きカテの人が知らない?
そもそもいまどきちょこちょこっと手元で検索したら
大体なんでもすぐにわかりそうじゃない?
と、ぐるぐるといろんな考えが目まぐるしく巡り、
可愛いと言われ喜んでいたのが一気にどこかに吹き飛んでいき、
代わりに暗雲がサーーーーとまたたく間に広がっていく…

そこで思いとどまり、
そのDM2件を、粛々と、速攻削除させていただいた。
ちょっと心臓バクバク。

で、その後落ち着いてから考えた。

あたしがあれあれ?と感じたちょっとした違和感は、
どれもないことではないかもしれないって。
日本国籍でも日本名でも日本語が不得手な人がいたっておかしくないし、
大体アカウント名なんだから本名じゃない可能性だってある。
犬好きだけど種類に詳しくない人だっているかもしれない。
スマホやタブレット持ってないのかもしれない。
検索が得意じゃないかもしれない。
どれもありえないことではない。

でも、ありえないことではない、であって、ありえない、ではないのだ。

あのまま返事してたりしたらやり取りが始まっていたのかもと推測する。
多分当たらずとも遠からず。
カワイイですね、そうでしょう、なんて犬種ですか?柴犬っていうんです、
なんて名前ですか?男の子?とかね。
もしかしてそれは害のないものだったかもしれない。
でも、そうじゃなかったら…?

はっ!
ロマンス詐欺の類はこうやって始まるのかもしれない…!

深掘りしていったら、そんな考えに行き着いてしまった。
なんか流れがちょっと似通ってな〜い?ってね。

もちろんただ単に我が仔を可愛いと思ってくれて
思わずDMしちゃった、という可能性は否めないし、
被害に遭ったわけでもないので、本当のところはわからない。
せっかく褒めてくれたのに袖にしちゃった…という
罪悪感みたいなことものもちょこっと、ほんのちょっぴりは、ある。

ただこれから中高年の高年の方を迎える我が身としては
これくらいの用心深さって必要ではなかろうか。
とても、とてもタメになる出来事だった。
こうしてはじまるのかもしれない、といつも心に留めて生きていこう。



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