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パン作りの奥深さ

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パン作りのプロから見たパンつくりの為の重要なポイントとは!
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パン作りの奥深さ Part6(最終結果がわかる緊張感編)

パン作りの最終工程に入る。パンを焼くという工程に入るが、仕込から始まり焼成までの作業一つ一つの結果が窯(オーブン)内で姿かたちとなって表れます。緊張感も期待感もある一瞬です。ハード系のパンであれば、窯入れ前、窯入れ後に蒸気を注入しますが、このタイミングや蒸気の注入量が極めて重要な作業となります。微妙なタイミングのずれや蒸気の多少によってカットしたクープの割れの部分に違いが生じてきます。クープの割れ方やその勢いによって後のパンの出来具合が大きく変わってくるのです。つまり、生地が

パン作りの奥深さPart5(データーを蓄積する)

さて、成型を終えた生地は、最終発酵に入ります。色んなタイプの配合によって発酵時間が違いますが、通常50~60分ぐらいです。ここでじっくりと発酵を待ちます。生地たちをじっくりと観察するとその後の出来具合がわかります。毎日同じように作っていても微妙に違っているのです。人間と同じく、今日は、なんとなく元気がないな~という感じです。元気な生地の表皮は、ピーンと張っている感じですが、そうでない表皮は、シワシワでやや黒ずんでいる感じです。人間と同じのような感じ方ですね・・・。そこで色々考

パン作りの奥深さ Part4(成型は職人の技の見せどころ編)

さて、分割を終えた生地をどうするのか。丸目作業に入ります(成型するときに生地表面が滑らかになり、焼き上がりがパリッと綺麗に仕上がる)。ここですぐに成型すると、弾力が強すぎて思うように生地を伸ばすことが出来ません。生地の表面が荒れたり、切れたりします。約15~20分、丸めた生地を休めます。さて、ここからです。食パンは、食パン型に生地をつめればいいし、菓子パンなどの成型は、そう難しいことではありません。ただ、バゲットやバタールの成型は手ごわい相手です。少しの生地の締め具合によって

パン作りの奥深さ Part3(生地分割の凄い技編)

最適な状態で発酵を終えた生地は、一定の重さに分割する工程に入ります。この時、注意することは、力を入れてスケッパー(生地分割時の道具)でブチブチ切らないことです。生地をやさしく持ち、出来れば目標生地量目を1~2回で分割することです。生地を傷めないことが美味しパンをつくるコツの一つです。パンを作る現場では、時間との戦いとなります。分割初めの生地と分割し終わった生地では状態が異なります。つまり、発酵が進んでいるのです。ですから、指先で生地の状況を感知し、出来るだけ素早く分割する必要

パン作りの奥深さ Part2(パン生地発酵見極め方編)

さて、捏ね上がった生地はどうなるのか?発酵器(ホイロ)に発酵に適した温度と湿度の環境にて発酵させます。通常では、60分~90分位(作ろうとするパンの配合によって異なる)です。発酵中はパン酵母が活躍します(ちなみに1gの生イーストの中に酵母が約100〜200億個存在しているそうです)。最適な温湿度下で炭酸ガスや芳香成分を発生させます。ここで難しいのは、パン生地の発酵状態の見極め方です。発酵時間だけにとらわれず、生地の発酵状態を見ることです。初めの生地の状態から、どのくらいに膨ら

パン作りの奥深さ Part1(生地づくり編)

サア― 今日もパンを作るぞ! と気合を入れる。粉(強力粉、中力粉、全粒粉)、作業道具類(めん棒、ボール、デジタル秤、デジタル時計、温度計その他)、記録用紙 等、必要とするものを確認する。作業開始。まず、粉の温度、室温・湿度を肌で感じながら次は仕込水温度を考える。過去のデータを頭の中から引き出し、記録用紙のデータも参考にしながら水温を決定する。仕込水温は、人差し指で感覚的にわかるけれども、ここは温度計を使って客観的な数値を見る方が正確だと思います。温度はパン作りにとって最重要課