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透明日記「浴衣でアサラト」 2024/08/08

快晴。朝、晴れわたる空にポツポツと、若々しい雲が浮かぶ。空が青くて淡い。紫陽花みたいな色で染まる。雲はさわさわと流れていた。流れながら、ゆるくほころび、薄いところが溶けていく。ぽかんと眺め、うらうらとする。うらうらぽかん。

アルコールが少し残っている。顔面のヒフの下の組織がところどころ、ゼラチン状になっているような気がする。朝起きたときはなんとなく、顔の腫れた怪人をイメージしていたが、鏡を見ると、怪人になっていなかった。普段と変わらないような顔。顔の感覚と顔の見た目が合っていない。

昨日買った浴衣を試着する。畳まれた浴衣を、ひと折りひと折り、確かめながら開いていく。ここがああで、それからこうで。浴衣を解剖しながら、畳み方を覚えた。

浴衣を羽織って帯を結ぶ。できたーと思って寝転ぶと、夏の気分に満たされた。着ていると気持ちが少し涼しい。ベランダの暑さも受け入れられる。というか、浴衣でしゃがむと、ベランダがよく似合う。

浴衣を着て、用もなく、アサラトという民族楽器を振りはじめる。カチカチシャカシャカ、二の腕が疲れる。動きを意識すると、チグハグになる。流れに任せると少し良くなる。カチカチシャカシャカ。昼が過ぎていく。

なんか痒い気がしたので、浴衣を脱ぎ、遅めの昼にそばを食う。「コーヒー&シガレッツ」を途中まで観た。色んな場面のカフェの会話劇。会話の流れがおかしくて笑える。音楽と医学を融合させたようなことをやっている、というセリフがよかった。ノリで手術とかされそうだ。

夕方、外に出る。風が吹いて涼しい。外を歩くと、夕涼みだと思えた。カフェで日記を付けたり、本を読んだりする。

飲みに行こうかと思ったが、夜は風がなく、夜の方が暑い。疲れも少し残るので、コンビニで親子丼を買い、家でゆっくり過ごすことにした。帰り道、雲のない夜の空に、ノの字の月が光っていた。

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