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透明日記「洗濯物に生まれ変わるとしたら」 2024/08/22

夕方の風に洗濯物が揺れている。靴下は小刻みに揺れ、わちゃわちゃとして楽しそうだ。洗濯物に生まれ変わるとしたら、靴下がいい。

洗濯物のネットなんかは最悪だな。義務感で揺れている。バスタオルは大学生みたいに揺れるし、タコ足に仲良く回るタオルは小学生みたいだし。シャツやズボンは社会人。ズボンは責任感を持って揺れている。下着は揺れを楽しんでいないな、アレは。周りに合わせて揺れているけど、楽しくなさそうだ。シーツは政府だ。広々と場を占領して、どことなく行政くさい。団体で生まれ変わったら、ああなるのかな。

やっぱり、靴下やな。と、そう希望していても、生まれ変わったらズボンになっているのかもしれないな、案外。パーカーが乾くまで、一緒にいてやったりして。部下の残業に付き合う上司みたい。現実は厳しいな。

夕方、そんなことを考えていた。朝はアサラトをボンドで補修したり、映画を途中まで観たり、動物図鑑を眺めたり。

昨日は寝る前に動物図鑑をめくっていたけど、イメージが強烈で、ヤスデの拡大図などグロく感じるものもあった。動物図鑑は寝る前に見るものではない。

昼飯を食いに行った。今日は暑い。玄関のドアを開けると、殺人的な光線がマンションの廊下に散乱している。ドラキュラのリアクションで家に戻り、日焼け止めを塗った。

街では人々が陰を求めて彷徨っている。王将でラーメン、チャーハン、餃子のセットを食べたが、ラーメンが台所の醤油くさかったので、レバニラ炒めを食べた方がよかったなと思う。どこかで血を求めている。

明治以降の軍隊の成り立ちなどを読んだ。徴兵制に対する反発で、各地に暴動があったらしい。血税を求める的な宣伝をすると、農民は血を取られると思い、反発した。鳥取の村では、見慣れない人が村に来たのを見て、「血を搾られるぞ!」と誰かが叫んだのをきっかけに、数日間、暴動が続いたという。

夕方は日の入りごろの空を眺めながら過ごしていた。色がさまざまに変わる。入道雲は立ったと思うと、気づいたら崩れている。拳を突き上げたような、小さな雲のかたまりがあちこちで出ては消え、出ては消えして日が暮れる。締まりのない応援団みたい。

夜に少し散歩してみると、蒸し暑く、川辺で虫が鳴くのを聞いて、すぐに帰った。川の管理人になって、定時確認をしに行ったようなものだ。

家に帰ってベランダでタバコを吸う。風があまり出ないので、バスタオルもシャツもズボンも揺れないが、靴下だけは揺れている。夜にもずっと揺れているのかと思うと、靴下として干されるのも嫌だなと、思い直した。やっぱり、洗濯物に生まれ変わりたくない。

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