見出し画像

透明日記「枝豆から串カツまで」 2024/06/16

朝は九時半ごろに起きたが、誰も起きていない。リビングはクーラーが効いて涼しいので、リビングに足を広げて寝転ぶ。

なにかお腹に入れたくなって、枝豆を食べる。近くに殻入れがないので、枝豆の皮はテーブルの上に積んでいく。空腹だと枝豆は機械的に処理され、全部食べてしまいそうになるが、ひとりで全部食べるのはやらしい。

だから次でやめようと思って三粒のを一つ食べるが、まだ少し欲しい。二粒のものにも手をかける。まだ欲しい。うっすらと罪の意識が頭を覆うが、これは一粒だからと、一粒のを二つ食べて枝豆をストップした。

枝豆の皮はきれいな山になって、崩すのが惜しいので、テーブルに飾っておいた。

ベランダでタバコを吸いながら、昨日の日記をnoteに上げ、空を見る。

日記はなんとなく書いてるので、更新のタイミングについて何も考えていなかったが、昨日書いたものを朝に上げるのは、理に適っている。

その日に上げるとなると、夜のことが書けない。日記に不備がある。常に不備はあるが、ごっそり夜が抜けるのはおかしい。だから、その日に大体書いて、翌朝に書ききれなかった夜を書くと、一日が収まる。今後はそうしようかと思うが、本当にそうするかは分からない。無職だから信用がない。

朝の空には、幼稚くさい一塊りの雲がポツポツと出ていて、明るく笑っていた。空が昼の幼稚園のように騒がしい。雲には日差しが嬉しいようだが、ぼくにはうるさくて暑い。ベランダの影に身を縮めてタバコを吸っている。

タバコを吸いに出ていたあいだに母と妹が起き、リビングでウロウロしていた。茶を飲んだり、荷物の整理をしていたりする。

枝豆で腹が起きたのか、ご飯を食べたくなった。冷蔵庫に昨日の梅しそご飯があったと思って、冷蔵庫を開けるが見当たらない。昨日の混ぜご飯はどこかと聞くと、朝六時に食べたと妹が言う。

驚いた。朝六時に起きて、混ぜご飯の残りを全部食べ、また寝たらしい。まあまあ残っていたような気がするだけに、恐ろしい。

枝豆を残していたのが少しアホらしくなった。梅しそご飯は好物だと公言しているだけに、少し悔やまれるが、ないものは仕方ない。人を責めて出てくるものでもない。豚汁を温めて、白ごはんを食べた。

母が卵焼くかと聞いてくる。要らないと言っても、いるやろと言う。だから、要らないと念を押す。それでも、焼くと言ってきかない。なぜ焼いた卵を食べさせたいのか分からない。白ごはんが食べ終わる頃に、紅生姜とネギを混ぜて焼いた卵が出てきた。出てきたので、白ごはんを追加して、食べた。

それからしばらく本を読んで過ごすうちに、妹が買い物に出かけ、母は洗濯などをして家をうろつく。夜は叔母とご飯を食べる約束がある。

家にいるとテレビの音が気になってきたので、シャワーを浴び、散歩を兼ねて近くのカフェで本を読むことにする。夜は六時の約束なのでまだ暇がある。

昼の道はぬるい風で、めちゃくちゃ暑いというわけではない。長袖のシャツの袖をまくって、出掛けた。

1日のうちに1回は、ふらりとひとり、外に出ないと気が済まない。何にも干渉されない時間は、何かする当てがなくても、なければどこか頭が窮屈になるように思う。外に出れば、外で動いているものを見る。すると、感覚がそれなりに整っていく。

カフェの喫煙席が増えていた。隙間のあるところに増設したわけだが、席の間隔が横になって慎重に通り抜ける感じの狭さで、部分的に窮屈になったところもある。

このカフェの喫煙席は人気で、席でタバコが吸えるし値段も手頃なので、周辺の喫煙者が辿り着く最後のオアシスのようになっている。

近所に別のカフェもあったが、席で吸えたのが喫煙ブースとなり、つい最近そのカフェ自体が潰れた。

ライバルがいなくなり、席で吸えるカフェは満席で賑わうときもある。それで増設は、利用者に配慮してのことだが、配置が窮屈で、誰も座っていなくても、見苦しい。満席になったときのことを思うと、詰め込まれる喫煙者はなんとも哀れで、嫌煙の世の流れの澱みのように想像される。まあ、仕方ない。

カフェで本を読み、家に帰る。妹は買い物から帰ってきていた。家で三十分ぐらい過ごし、叔母との会食に向かう。

兄も誘われていて、店の前で落ち合う。叔母を待っている間、妹がダイソーに行くというので付いていく。妹は探していたという掃除道具を見つけ、歓声を上げていた。

ぼくは店内を回り、粟おこしを見つけたので買っておいた。家の近所のスギ薬局で粟おこしを売らなくなって久しい。久しぶりに粟おこしを見た気がする。家の近くにもダイソーはあるがそこで売っているとも限らない。二袋買っておいた。

そうするうちに叔母が現れた。昔買った12万のブラウスで行くという謎の連絡があったが、遠目では黒地に金の豹柄みたいな模様でケバケバしい。ギラギラのラッパーに転身したようなファッションだった。

叔母は高いからいいという信念を持ちすぎる。叔母の姿を見て、面食らった。近くに来ると、12万と言いながら、その場でくるっと回った。

それから、店に入って串カツを食べた。いろんな串カツが出てきたが、こんにゃくと穴子が特に好きだった。

コースの後にこんにゃくの串をお代わりすると、こんにゃくをお代わりするのは珍しいのか、店の人は驚いた感じで笑っていた。兄がエビとホタテを注文した後でもあったから、ぼくが悩んだ末にこんにゃくと、気の抜けたようなことを言うのがおかしかったのだろう。

こんにゃくの串は食感が楽しかった。こんにゃくと言っても、こんにゃくだけを揚げたものではない。薄いこんにゃくをまんまるく丸め、その中にそぼろ的な見た目の白っぽい肉片と何か青物を混ぜたものが詰められている。それを二個刺して、見た目はうずらの串みたいになる。こんにゃくの中身はよく分からない。肉か魚かも分からない。でもうまい。というより、楽しい。

串カツを食べた帰りに、家の近くのミスドでドーナツを買い、帰宅した。妹はアメリカに帰る準備を始める。茶を飲みながらそれを眺めて寝る時間になった。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?