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透明日記「空が晴れてきやがった」 2024/06/28
昨日は何をしていたろうか。特に気に留めるようなことがないような日だった。曇りの日だ。今週は、月から金まで雲に覆われ、土曜のこの朝にも薄い雲がある。
今週、陽の光をくっきり見たのは33秒ぐらいだ。太陽が雲の切れ間でベロを出しているのが、ぼくの目には見えた。長期休暇なのか、ゴーグルと海パンを着用していた。太平洋に行く途中だろうか。太陽のプライベートに興味はないが、毎日曇りは気が滅入る。
昨日の夕方はキジバトがひとりで寂しい場所を歩いていた。草の刈られた土手の斜面の茶色くささくれ立った所だ。
キジバトは腰を降ろしたいような素振りで、ここは濡れているかしらと、慎重に腰を屈め、ひゃっ、濡れてる、と腰を上げていた。そんなことを繰り返しているところに、ぼくが来た。足を止めて見るぼくを不審がり、一足二足遠ざかる。ぼうっと見ていると、わっと飛んで逃げた。女が変態を見たように逃げた。ぼくの目がエロかったのかもしれない。
夕方は雨が降ったり止んだり。川辺には水の気が煙り、濡れた草々が湿っぽい息を吐いていた。水の気あふれるうすら白い川辺の空気は、少しく幽玄なものを孕み、個物の輪郭を曖昧にぼかしていて、確かにエロかった。五感が透明なもやに包まれるようで。
夜は家で誰かの文章を読んでいた。
あ、いらんこと書いてたら太陽が出てきた。
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