作家志望の私と父と「同人女の感情」関連のあれやこれや

皆さんこんにちは。クソ腐女子のアンタレスです。

今回は、創作の話です。私は一次も二次もやっているので、両方に当てはまるように書いているつもりです。

まず、下の二つのリンクが、今回の話題に大きく関わってきます。

良かったらこのnoteを読む前に読んでみてください。

一つは、最近Twitterで話題の漫画、「同人女の感情」、もう一つは、「同人女の感情」のリプ欄に貼り付けられていた、「pixivvision」というサイトのコラムです。

そして、今回のnoteの登場人物もまとめておきましょう。といっても二人なのですが。

登場人物その①・私:アラサーに片足突っ込んでいる在宅ワーカー。持病と障害持ちの社会の底辺。夢女子で腐女子。一次創作も二次創作もやってはいる。底辺字書き。できればプロの作家になりたいけど道のりは遠い。

登場人物その②・父:60代。元公務員(定年退職済み)。私が創作活動してることを知ってる(一次も二次も)。口は悪いが頼りにはなる。


ここで一つ注釈を入れておきますと、私は(一応)プロの作家志望なので、作品の最終的なゴールは「人に読んでもらうこと」です。父ちゃんもそれを承知した上で私に意見を言っているので、読者の皆さんは、自分の創作スタンスと違っても石を投げないでください。お願いします。

さて、登場人物もまとめたので、早速本題に入っていこうと思います。

まず、「同人女の感情」という漫画について話していきましょう。

この漫画は、真田さん(@sanada_jp)という方がTwitter上で隔週連載していた作品で、神字書き「綾城」を取り巻く同人作家たちの心の動きを描いた作品です。

綾城に認知されたくて努力する人、綾城が去った後のジャンルでもがく人、綾城の本が欲しくて奔走する人、pixiv作品数0件のジャンルで奮闘する人、綾城に嫉妬して憎む人……そんな人々の苦悩、挫折、嫉妬、憎悪などが迫力のあるタッチで描かれています。

そして、今回記事に載せた話は、綾城の「アンチ」の話でした。綾城に嫉妬し、憎む女性の姿が描かれていました。自分が先に発表した解釈なのに、綾城が先駆者のように言われるわ、自分の小説を応援してくれていたはずの読者が綾城の信者になるわで、嫉妬心が芽生えた女性は綾城の関連ワードをミュートします。彼女は綾城を憎むあまり、せっかく会った友人の前で綾城の悪口を言って、場を白けさせてしまいます。しかし、女性は基本的に善性の人間で、自己嫌悪に陥ったりするし、綾城の実力は認めているし、綾城に嫌がらせもしないので、感情移入ができる絶妙なラインを捉えたキャラ造形でした。

最終的に彼女は、綾城への嫉妬心を昇華して執筆に勤しみ、綾城を「ムカつく」と感じながらも創作に向き合っていくという終わり方でした。

更新のたびにTwitter上で討論が起こるこの漫画ですが、リプ欄でも様々な意見が飛び交いました。

主役である「綾城のアンチ」に同情的な人、場を白けさせるような言動をする主役に厳しい目を向ける人、「誰も悪くない」と中立の立場に立つ人……まるで学級会のようなテンションで討論が行われる中、二番目に貼ったコラムが添付されたツイートが投下されました。「作品には作品で殴り返しましょう」というコメントと共に……。

私はそのコラムに興味を持ち、読んでみることにしました。ここからはコラムの説明です。

コラムは、二次創作をやっていく上でのお悩み相談室のような体で書かれていました。

お悩みの内容はこうです。「原作を無視した解釈の同人作品を見るのが辛い。そういう作品が評価されていると苦々しい気分になる」。

同人をやっている人間なら、だれでもぶち当たりそうなお悩みです。天然ほわほわキャラの腹黒サイコパス化とか、「原作にそんな描写ねーよ!」という解釈の二次創作は世の中に溢れかえっています。そういう解釈が受け入れられるならいいのですが、合わない解釈が流行ってしまって、界隈の常識になったりしたらもう地獄です。そういう現象を、皮肉を込めて「司馬○太郎(フルネームを出すのはさすがにまずいので伏字)」というという話も最近聞いたので、これはオタクの普遍的な悩みのようです。

さて、それでは、筆者はこれにどう答えたのかも見ていきましょう。

筆者の答えは、「創作は残酷」というものでした。

「原作と乖離した二次創作を見て腹が立つのは、『解釈違い』というのもあるのだろうが、『自分より原作を勉強していない奴が人気なのが気に入らない』という感情があるのではないか」と筆者は言います。

こちとら原作が好きで二次やってるのに、エアプ野郎(仮)の二次がちやほやされるのが許せない。耐えられない。

でも、創作の世界は残酷なのです。

どれだけ原作を読み込んだ底辺作者よりも、「なんか流行ってるので描きました☆」みたいな神の作品にいいねが集まる世界だと筆者は言います。

例えるなら、夜なべして勉強したのに赤点しか取れなかった人間と、全く勉強せずに100点を取った人間なら、後者の方が褒められる、ということです。これは秀逸な例えだと思います。そりゃ許せないわ。

ではどうすればいいか。そいつよりいい成績を取ればいいと筆者は言います。

どれだけ憎かろうと、「創作やめちまえ」と毒マロを送ったり荒らしたりすれば、自分が悪役になってしまいます。もし相手がそれで筆を折ったりしたら、今度は自分が攻撃されます。

だから、自分と相手を比較して憎むのではなく、相手よりいい作品を書くことだけに全力を注げば、いつか自分の解釈を気に入り、後に続く人が現れる。相手を攻撃するのではなく、自分を磨けばいい。

つまり、「創作には黙って創作で殴り返せ!」という回答で、コラムは締めくくられていました。同人作家の普遍的な悩みに答えた、興味深いコラムでした。


今回の「同人女の感情」と、このコラムに共通するのは、「気に入らない人物や解釈が界隈の常識になるのが辛い、耐えられないという感情」です。

かくいう私もこういう感情には覚えがあります。「推しCPの自分の中の解釈を整理してはこねくり回し、推しCPが映えるシチュエーションを研究し、ようやく書き上げた自信作」が、「ただ流行りに乗って書いただけの、キャラ愛も何もない小説」にブクマ数で負けた時は憎しみで心が支配されましたとも。

なんでこんな奴が評価されるんだ」「何をどう解釈したらこんな作品ができるんだ」「どういう神経してたらこんなもの公開できたんだ

こんなことばっかり考えて、友人とクソ字書きの悪口で盛り上がる日もありました。

特に私はアウトプットの速度が亀並みの底辺字書きなので、誰にも注目されません。承認欲求ばかりが肥大化して自分で苦しむということの繰り返しでした。

というわけで、両親に、コラムと漫画を読んだうえで、「結局は結果なんだろうか」ということを話しました。

創作についてよくわかっていない母親は首を傾げていましたが、父親は話を聞いてきっぱりと言いました。

そんなの、その作品に人を惹きつける魅力があるんだろうさ。その『魅力』を分析できないならお前は成功しない

……100点満点の正論でした。父はさらに続けます。

「『自分が努力して書いたものが、努力もせずに書いたもの以下なのが許せない』って言うけど、相手が努力してるかしてないかなんてわからないだろ

そういわれてハッとしました。リアルの知り合いならまだしも、ネットの向こうにいる人間の行動なんて、わかるわけがないのです。それなのに、「相手は作品を読み込み創作に向き合う努力をしてない」なんて断じるのは傲慢だ、と父は言いました。

相手は、もしかしたら周囲の流行り廃りにアンテナを立てて、どういう文章がウケるか研究しているかもしれない。事実、それは『人に読んでもらうため』には大事なことだ。自己満足だけで世間を全く意識せずに書いた作品が読まれるわけないだろ

なにもかも正論です。何も言い返せません。

例えば、芥川賞を取ったような作家が、その後鳴かず飛ばずで終わった例はたくさんある。その人たちは血のにじむような努力をしていただろう。でも流行らなかった。何でかって、今の時代、純文学は流行らないからだ。なのに、芥川も直木も取ってない伊坂幸太郎は、ベストセラーをポンポン生み出している。作家として成功したのは後者だ。多分、何がウケるかを研究しているんだろう

二次創作は、基本的に自己満足の世界です。私は、物語を作るのが好きな気持ちと、作品を愛する気持ちが脳内で融合して、二次創作を書いています。でも、私はその先へ行きたいと願ってしまいました。「芥川賞を取ったはいいがその後鳴かず飛ばず」の作家より、「伊坂幸太郎」になりたいのです。

何でもかんでも流行りに乗っかることがいいとは限らないが、全く社会に迎合しない作品は見向きもされないぞ。だから、お前も『人に読んでほしい』と思うなら、市場調査や、流行った作品のどこが人を惹きつけたか研究することも必要だよ

父に諭されて、私はその後、彼の言葉を反芻して、色々考えこみました。父の言っている言葉は、「読んでもらうこと」を目標にしている私にとっては何もかもが正論でした。


そして、私が出した答えは、「私はまだ努力が全然足りてない」でした。

私は今まで、自己満足だけで創作をしていました。気に入らない作品や作者は自分より格下だと勝手に思い込んで憎んでいました。

父の言った、流行る作品の研究、魅力的な作品の分析などは全くしていませんでした。

でも、それでは作家にはなれないとわかりました。

もっとストイックに努力しなきゃいけません。

執筆ペースを上げて作品を量産する力をつけること、文章力の底上げ、上記のような研究や分析……やることはたくさん見つかりました。

在宅ワークの傍ら執筆するのはきついのですが、夢のために頑張ろうと思います。

まずは、Twitterやサイトの更新速度を上げて、次は今いるジャンルで同人誌を出して腕試し。ここまでが今の目標です。

夢を叶えて、父に恩返しができるように、決意を新たにしたところで、今回のnoteは終わりにします。

なんか書きたいことが多すぎて迷走してる気がする……。

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