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17歳が鳴り止まな

17才の私が鳴り止まない

高校生の頃の私は友達が一人もいなくて、(今はいます。)
彼氏なんかもちろんいなくて、(今は何度かお付き合いというものをさせて頂きました。)
昼休みになったら補習をサボって、中庭で母親が作った可愛いお弁当を一人で広げて、神聖かまってちゃんってバンドを聴きながら、食べてるようなクソガキでした。
そんな鬱屈とした高校生の私が一年で一番うれしくて幸せできらきらしてたのが、夏の魔物っていうなぜか青森のスキー場でやってたフェス。17歳の私、宇宙柄のセーラー服を着て、電車を乗り継いで見に行きましたとさ、神聖かまってちゃんを。
17歳の私、ライブもフェスも行ったことない。なんと楽しみ方が分からない。あんなに楽しみにしてた生で見る神聖かまってちゃん、一曲目は当時の最新アルバムの一曲目「きっと良くなるさ」、どうしよ!大好きな曲だけど全然良くならない。前にいるみんなが盛り上がってる中、私はどうしていいかわからなくて、前でも後ろでもない場所で焼きそばを持って突っ立っていた。で、二曲目が始まる。焼きそばが無くなっていく。周りみたいに拳上げたい、大好きなかまってちゃん見ながら大好きな焼きそば食べたら楽しいかなって思ったけど、ライブに集中するために焼きそば先に食べとくんだったな……んで四曲目、「ロックンロールは鳴り止まないっ」のイントロが流れ出した瞬間に、はっとした。これだって思った。バンドメンバーも、観客も、私も、スキー場の空さえも、変わった。私は焼きそばをその辺に投げ捨てて、なにがなんだかわからないまま、最前まで突っ込んで行った。必死に左手を振り上げて叫ぶ。中学生の時、夕暮れのTSUTAYAさんで、CDをレンタルして神聖かまってちゃんを聴いた、勝手に売り物のCDを擦り切らすまで聴いた。そして、高校の時は英語の授業が嫌すぎてテストを全部路上にぶちまけながら田んぼに叫んでいた。教室の机に倒されていた花瓶、25点のテスト、0点の小テスト、やたら長く感じた、廊下でサボってた体育の時間、灰色の青春が一瞬で全部、色付いて甦ってきた。宇宙柄のセーラー服を着ていた私は、本当は制服なんか着たくなかったんだなってその時初めて思ったけど、の子もセーラー服着てたから笑っちゃった。勝手に決めつけてごめんけど、ここに居た私たちは同じ青春を背負ってて、同じ思いをぶつけてた。授業中に挙手なんかしたことも無い左手をステージに振り上げて、人生で出したこともないような大声を張り上げた。私の覚えてる、いちばんの青春の記憶はこれ。夏の魔物。

上京して、夜の井の頭線に揺られていると、あの頃をうっかり忘れそうになる。好きなバンドをいくらでも見に行けるような金も環境もあるくせに、なんにも満たされていないような心地になる。私ってどんな大人になりたかったんだっけ?17歳に向かって生きてたから、そこで止まってる気がして。さいあくじゃん。東京に夢見て、夢見たまま、止まってて、電車だけ進んでくじゃん……
幽霊東京を聴いて、ちゃんと「ああ……」ってなる感性がまだある。なんか泣きそうになりそうだけど、別にそこまでは行かんやつ。失うことに慣れたっても思わない。失いすぎたのかもしれない。いや、なにも失ってないのかもしれない。や、失って悲しいものもないかもしれない!←そんな悲しいことはゆうな!
でも、この前青森から東京に戻る新幹線の切符を発券してる時、正しい街を聴いてなんだか本当に泣きそうになってしまった。
私ってあと何年東京に居て、何年青森に居るんだろうな。
特定の地に身を固めるよりフラフラしているような生き方を選ぶような人間なので、数年後は訳の分からないところにいるかもしれない。その時、東京や上京をテーマにした音楽を聴いて何を思うんだろうか。
そういえば音楽だけは、ずっと好きなものが変わらないな。だから変わらないのかも、日本の季節が無くなったように。何も。何もかも。本当に。

路上飲みしてた頃、コンビニで酒を買って、ぬるくなったやつはアイスボックスにぶちこんで、無理やり冷やしておいし〜って言って飲んで。駐車場ではしゃいでた頃と、ピクニックとかバーベキューとかって、かかってるお金がちょっと違うだけで、私の中の幸福度は一緒だ。上京して出来た友達と楽しく酒飲んで、音楽流して嬉しい、みたいな。その嬉しい音楽って、教室やTSUTAYAのレンタルコーナー、登下校中に一人で聴いてたようなものばっかで。いろんな友達がいるから、それぞれ違った青春背負ってるけど、これ良いよねって思うものが一緒だと嬉しくなって酒が減る。桜が散る。また。青森ではこれから桜が咲く。カルチャーも季節も遅れてるから。たまーに天才が爆誕する地。大嫌いな地。家族以外どうでもいいとこ、青森。
春は不安定、気持ちも気温も。なのに春夏秋冬の始めを背負って、さも俺がリーダーですよ!って顔してるけど、やめてほしーって私は思っている。だからといって他に適任がいる訳ではない。夏は暑すぎるし、秋は無いし、てか四季ってなくなりましたし。
もう終わりやーーー!ってなって。
桜の季節とか、
夏の魔物とか、
全部17歳の思い出 に、なってくんだなって……

でも、大丈夫だよ!
神聖かまってちゃんのファンも、
ラニーノーズのファンも、
私も、
17歳の頃の泣きながら最前に突っ込んで行った私も。

って、最近フェスでリーガルリリーの17って曲を聴いて思いました。
17歳の頃、弘前公園の花筏に落ちて死んだことがあります。

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