見出し画像

音楽のレシピ(その4) —空腹と音楽ー


京都市の西部、苔寺の近くにアパートを借りて貧しく住んでいた若い頃に、朝起きて、満たされぬ空腹を紛らわせるために曲を作ったことがある。丁度フェデリコ・フェリーニの訃報を知った直後だったので、仮タイトルを "チキンライス" と名付けた(何故? :笑)。

キーをEbに定め、V-Ⅰのドミナント進行、長三度上への転調、半音下への平行移動、Ⅱ-Ⅴ-Ⅰのコード進行など、その頃知っていた音楽知識に導かれつつ、トイ・ピアノを弾き、クラリネットを3パート重ねてテープに録音する。

……って、実際の手順を言葉で説明するとこんな感じだけど、これって何の実用価値もない言葉だよね、モノをつくる上では。でも、正直、巷間に溢れている料理のレシピって、この程度の説明に過ぎないのではないかな。

職場(厨房)で、後輩達によく言っていた言葉を思い出す。「美味しく作るこつ? さあ。オレも知らない。目の前の食材に訊いてみようぜ」(続)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?