桐矢ミキ

詩を書いています。 自然、ブラジル音楽、サンリオが好き。

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最近の記事

小鳥の歌

砂に書いた 水に書いた たった 今 砂に 刻んだ 水に 映った 美しかった 今 無から 無へ 旅する 運命 泡から 泡へ 森から 森へ ほんとうは 夢から 生まれて 夢に 帰る  のだって 小鳥たちは 知っていた

    • 棲む処

      棲む処 澄む処 どんな処 静かな処 坂のない 穏やかな 深い緑の道を 青い流れに沿って どこへ ゆくのにも ゆっくりと 歩いて のんびり 汗かいて 暮らす処 夢見る処 静かな処 どんな処 心がしんとする処 無いものを 啄む 野鳥のように 思われながら 木のように 其処となる

      • 木に宿り 草に宿り 目醒めの景色に 音に匂いに 姿を変えて 常に感じているもうひとりの 憶いは 永劫に 漂う

        • 草の海

          砂が零れる音がして 草の海 繊細な ひとすじ ひとすじが (交換しあう息) ねむらせる 草とともに 生きたい 紙の上で 生きたい 草稿の草が ねむらせる 草とともに ねむる 紙の上で ねむる 零れ落ちる 詩片

          舟を漕ぐ

          いばらの森へ 隠れ家へ 奥の間へ 雑踏の中で 図書館で 電車の中で 木陰のベンチで  舟を漕ぐ       舟を漕ぐ   魚がはねる 母さんの羽毛の下へ 鰭の下へ 大樹の葉裏へ 広大な葦原の真ん中へ 「帰りたい」 のは だれのきもち   魚がはねる

          或る眠り

          ゴロ―が調合した 『或る眠り』という香り 草いきれのような これは夏の朝の夢 この香りで 深く眠る まだ明るいうちに 眠る カ―テンが ふくらむ 窓が 開いている 外が這入ってくる 内が出ていってしまう カ―テンが ふくらむ 窓が 開いている カ―テンを 押し返す 素足 ゴロ―の香りで・・・

          くちなし坂

          呪いのように繰り返す 往路復路 刺股状の道 獣道 地上絵の一部を なぞらされているような 炎天下の裏庭 植物たちが 息を呑むような絵を創り出す ゆらゆらと揺らめきながら 薄汚い作業者が 立って昼飯を食らう処 サイレン塔 地蔵堂 身重の蝶が 赤ん坊の食草を探している いつだって はじめての日々 くちなし坂を登りながら くちなし谷を見おろす 遠くなる 工場の匂い

          くちなし坂

          ・・・ぴちゅ ぴちょ 原初から 響くもの 朝まだき 耳となって 眠る 水の声に 混じる 雀

          睡郷 (美術館)

          真っ暗な踊り場で 眠る 階段室の 八つの窓の ひとつは 鏡 渾て 空洞 真の闇である ・・・今は

          睡郷 (美術館)

          睡郷 (水底)

          水の底で 眠る どこかに居る 魚のみじろぎが 夢の行き先を 変える

          睡郷 (水底)

          干潟

          (踏ンデヨイ処ガ無イ) 春の日の 細波となって 可愛い 可愛い と 撫で続けたい

          うつわ

          ながい ながい あいだ 空を 湛えていた 底の模様は 砂色の渦巻き 冷たい 夢 温かい うつつ ぐるぐると なにも無い が ある ながい ながい あいだ 竹林の音を 聴いていた 冷たい うつつ 温かい 夢 ぐるぐると ぐるぐると 葛湯を 頂いた

          睡郷 (水輪)

          水に浮いて 眠る 水輪 連なる 遠く 遠くへ 朝の国へ 辿り着く迄

          睡郷 (水輪)

          睡郷 (霧の森)

          やわらかな繊維に包まれて 眠る 肌でいつくしむ物語

          睡郷 (霧の森)

          初夏

          木は影も綺麗 石の壁に映っていた 水のゆらぎ かすかな物影が通り過ぎる

          無数に眠るいつかの種たち

          だれもいない午後 無い筈の草を 掻き分けて 猫が帰ってくる

          無数に眠るいつかの種たち