4つの書類でOEMの品質は間違いなくあがります
中国でOEMするにあたり、
「工場から入荷した商品が不良品ばかりだった」
とか
「毎回品質が安定しない」
等、工場管理は皆さん悩まれる課題かと思います。
私自身中国のメーカーで長年勤務してきて、中国工場の管理改善業務も行っていましたのでその時に実施していた内容をお伝えさせて頂きます。
※前提として加工、検査、組立等が必要なオリジナルデザインのOEM製品を想定しています。
日本の大手メーカーであれば実施しているような内容(もっと細かい管理やってます)です。
個人レベルのOEMを実施されている方には完璧にはできないと思いますが、できる範囲で取り組んでいただけると自分の商品の品質改善に繋がると思います。
中国工場の管理するなら絶対抑えたい4つの紙資料
OEM商品の工場管理において重要な管理書類はこの4つで良いと思っています。
①図面
②QC工程表
③作業標準書
④検査基準書
この4つがとても重要であり、今までやってこなかった方はこのあたりを重点的に進めることをおすすめします。
製品の工程管理を行う必須の内容になってきますのでしっかりと理解された方が良いと思います。
具体的に各項目についてお伝えします
図面は設計図、全ての基本で超重要
作りたいと思う商品がイメージ出来たら図面化を行いましょう。
アマゾンOEMの場合、既存品のサンプルから着想することも多いかと思いますが、その際も基準を決めるのは全て図面となります。
図面上に必要な寸法と交差を書き込み、見積もり依頼・生産依頼する際も
「図面に書かれた基準の製品を作ってください。」
という形にすることで問題が起こったときに責任の所在がはっきりします。
サンプルと同じようなものという伝え方では基準になり得ませんので自社で図面を作図して工場に伝えるのが基本です。
【図面の書き方と方法】
図面は現場で確認しやすい平面図で書きましょう。
書き方は平面図、正面図、側面図を1枚で表す第三角法という書き方が基本で分かりやすいです。
図面を書くのはCAD等のソフトを使います。
自身で対応できない場合はクラウドサイト等で外注対応できる方を探すのが良いと思います。
図面は一度書いたら終わりというものではなく、何度も修正したり改善したりするので対応依頼する際はその時の事も事前に伝えて明確にしておく方が良いでしょう。
3D図面も形のイメージをつかみやすいので製品によっては作っておくのも良いと思います。また試作を3Dプリンタで作る場合には3D図面(STEP、STL等)は必須です。
QC工程表は工程内管理の指針
工程表とは製品を作る流れを順番に示した図表です。
工場に管理を品質管理を目的とした工程表はQC工程表となります。
https://www.sk-quality.com/qckoutei/qckou01_what.html
QC工程表は製品を作るにあたり、各工程での管理項目や基準が書かれており製造工程での要となる資料です。
管理寸法や検査基準、仕様設備や作業する人などの情報を書きます。
しっかりと作りこんでこの部分を管理できるようになると、製造時の品質コントロールが可能となります。
【QC工程表の書き方】
QC工程表は工場に製造工程を材料仕入れの段階から完成品出荷までの一連の流れを聞きながら作りこんでいきます。こちらが一方的に作って工場に渡すものではありません。
工程内管理の数値は厳しくすれば良いというものではない(当然厳しくするとその分コストアップになる)ので、現場の状況と作りたい製品の必要精度を合わせて確認しながら決定していく必要があります。
この部分は工場側で対応している人(品証部・技術部)がいればその人に聞くと出てくる可能性もあります。
工程管理をしっかりしている工場=品質レベル高い工場
という認識で間違いないと思いますのでこういう資料がすぐに出てくる工場は信頼度が高いと思います。
テンプレートは色々出てきますので使いやすそうなものを選べばOKです。
作業標準書は誰でも同じ製品を作るためのマニュアル
作業標準書を作ることで作業の標準化を行うことができます。
工場では作業員が変わったり、時間が経ったりすると作業の方法や基準が勝手に変わったりすることも多いので作業基準書を作ることで、全作業員が同じ基準で作業をすることができるようになる重要な資料です。
自社で依頼している製品の管理ポイントや重要な所はしっかりと作業標準書に落とし込んで依頼すると良いでしょう。
作業標準書には品質を安定させる目的と、作業を見直し改善することで効率化(コストダウン)の目的もあります。
【作業標準書の作り方】
特に決まったフォーマットは無いですが、現場の作業員が分かりやすいように図や写真を入れて作ってあげると親切です。
テンプレートは色々ありますのでそれらを使えばOKです。
検査基準書は水際対策の要
工場へ発注した際に工程内で品質を管理するというのが工場の基本とお伝えしましたが、どうしても工程内で管理できないものや、どうしても外してはいけないポイントについてチェックをするために検査基準書を使って検査確認していきましょう。
対応するのは工場の品証部です。
検査基準書は
・受入検査
・抜き取り検査(工程内)
・出荷検査
に大きく分けられます
受入検査は工場が購入している部品(例えばネジとか材料とか)に対しての受入検査です。ここで問題があれば受入NGと判断して工程内に問題がある部品が入ることを防ぐことができます。
抜き取り検査は工程内で決めた頻度で実施する検査です。工程内はQC工程表等で管理数値を決めて管理していきますが、その数値が正しいかどうかを確認するために抜き取り検査を実施します。
設備や検査器具の誤差等により、現場ではOKだと思っていても品証部で検査してみたらNGということもありますので工程内で品証部による検査を実施するのは重要です。
出荷検査は工場から客先(中国OEMの場合は代行会社のケースが多い)へ送る際に実施する検査です。
ここで最終確認を行い問題が無ければ工場としての品質保証が担保できているとして出荷されます。
【検査基準書の作り方】
3つの検査基準書はそれぞれ図面、QC工程表に合わせて品証部が作ります。
抜き取り検査数や合否基準については国際規格やJIS規格等を参照に決めていけば良いでしょう。
オリジナルOEM商品で外観の色味や傷等の基準については限度見本等を作って管理していくのが良いでしょう。
検査基準書のテンプレートは色々ありますのでそれらを使えばOKです。
まとめ
OEM商品の品質が安定しない方は一度工場側の工程管理改善を考えてみてください。
代行業者等の検品対応で不良品を選別しているのは工場側にとってもコストアップ(工場側の修正・廃棄コスト)になるので、長く続けるためには品質管理の本質である工程内管理を強化することが良いと思っています。
そのためには、図面、QC工程表、作業基準書、検査基準書をしっかりと作りこむことが大事です。
逆に言うとこの部分をしっかりと作り、工場側もその基準に沿って作業、確認を行っている製品は品質レベルも高いです。
中国にはたくさんの工場がありますが、管理レベルも様々なので良い工場と出会って良い製品を作ることができればOEMもうまくいきやすいと思います!
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