台北ビエンナーレ2020

 2020年台北ビエンナーレは、フランスの哲学者ブルーノ・ラトッール氏とキュレーターのマルティン・ギナール氏が共同でキュレーションを行い、エヴァ・リン氏がパブリックのキュレーターを務めた。
テーマとして掲げられていたのが「YOU AND I DON’T LIVE ON THE SAME PLANET(あなたと私は同じ星に住んでいない)」。
それに対し57名のアーティストが参加し、研究者とのコラボレーションも行われた。その中から気になった作品について感想述べてみたい。
➀フェルナンド・パルマ 

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フェルナンド・パルマによれば、ペルソナとは会話ができる人のこと、テーブルや椅子、風のような現象、山や空気の属性もペルソナだという。
彼の作品は脚立や椅子を用いたロボットのようなもので実際に動く。そして彼の考えでは、これらは生きており、作品を動かす電気は生命力であり人間とは異なる星に住む意思をもった生命体であるという。これはメキシコの先住民族であるからこその発想ではないだろうか、人々は長らく自然と人とを分離して考えてきた。しかし、そうではなかった、人間はこの地球環境に依存する生き物に過ぎないのだ。
②ヒチャム・ペラダ 汚染物質の可視化

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 写真で見ると一見綺麗なその水槽は、有毒な化学物質を水槽に流し込んだものだという。実際に大気中に含まれる有毒が化学物質が可視化されれば、そして水の中の汚染物質が可視化されたらどうなるだろうか。例えば、原発の汚染水を海に放出した際に、可視化されたら海はどのように見えるだろうか。
例えば、最近話題になるマイクロプラスチックはどうだろうか、私たちはプラスチックを食べているなんて考えもしないだろう、しかし、実際には体内に入っているかもしれない。
③セメレイ・タキパレット

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 描かれた奇妙な生き物は、人間の侵入により野生から解き放たれたウイルスやバクテリア。台湾南部に部族の若者が、彼らの伝統的な領土に入った後に謎の病気にかかった。テキストにはガイアが攻撃されれば、遡及的なループで反撃してくるかもしれないと書かれている。例えば、永久凍土が溶けると未知のウイルスがそこから解き放たれるのではないかと危惧されている。これも人の手により起きた気候変動からなるものだ。身近な話で例えれば、夏の日に草刈りをしている、すると葉の裏で休んでいた蚊が攻撃してくることに似ているかもしれない。

 これらはほんの一部に過ぎない、今、地球環境は危機に直面している。本来、人間は地球環境中の生命体の一つに過ぎない。しかし、文明を持った人間が、人間中心に考え活動した結果の環境汚染、地球温暖化、それに伴う気候変動と様々な問題が浮き彫りになってきている。地球環境の危機は、環境に依存し生活する生命体の存続危機につながる。
私たちは意識を変える必要があるだろう。ディープエコロジー、つまりは人間を生態系の一部であると捉え、自然と人間を二分する人間中心主義を否定し、新たな人間観を模索する必要があることを、これらの作品は教えてくれるであろう。


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