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自分の認知特性を考察してみた

まずは自分語り

人に情報を届けるのは難しい

講師という仕事をしていると、自分の話が受講生に伝わっているかがとても気になる。気になり始めたのは、大学の非常勤講師をしていた頃だ。

例えば、中間レポートの提出日。提出期限の1か月前から、目に訴えるためにスライドを使い、音として伝えるために口頭で説明をし、手元に記録として残るようにプリントを配布するのだが、期限当日に必ずひとりは「え?レポート課題が出てたんですか?」と言ってくる。いやいや、君、ずっと出席してたし、ちゃんと起きてたじゃん!と思うのだが、100%の学生に情報が伝わることはない。

レポートの提出だけでもこのようなありさまなので、講義内容を正しく理解してもらうのは至難の業だ。期末テストの解答を見ながらため息をつくことは、一度や二度ではなかった。

人の情報を受け取るのも難しい

といいつつ、私自身、「耳から入る情報」に関してすごく弱いという自覚がある。

あるワークショップでのこと。配布されたシートの記入方法について、口頭による説明があった。不明点があったので自分の理解を交えながら質問したが、講師の返答を聞くとどうやら理解が違うらしい。2度ほど質問を重ねたら、その講師はいらいらした口調で、私との対話を打ち切った。私は途方に暮れて、そのシートを完成することは出来なかった。

雑多に音が聞こえる環境での会話も、すごく苦手だ。ガチャガチャした雰囲気の居酒屋だと、ほぼ、会話が耳に入らない。隣の席の人の声までは微かに聞こえるが、テーブルを隔てた向こう側の人の会話はどんなに集中しても聞き取れない。すべての人の声がわっとのしかかってきて、聞き分けられないのだ。だから自分で幹事をする時には、落ち着いた雰囲気のお店を選択することになるが、こうした雰囲気の店は、ほぼ、こじゃれた店だ。だから、友達はみんな、私がおしゃれなお店が好きだと思っている。もちろん、おしゃれな店は好きだが、前提としては、話が聞き取れる環境が必要だからというのがある。

聞くことがすべて苦手かというと、そうでもない。音楽は得意科目のひとつだった。子供の頃は、ビートルズの『Let It Be』を耳コピしてピアノで弾くことが出来たし、オーケストラの音の中から好きな楽器・ホルンの音を聞き分けることも出来た。今、英語の発音教室を受講しているが、これもそれほど苦労はしていない。母音の発音の時には講師に「全部出来て悔しいなぁ」と言ってもらったこともある。

自分の認知特性を確認

LINEの認知特性テストでチェックする

情報を理解してもらうこと、理解することの難しさを痛感しているので、認知に関する話題への関心は高い。そんな私が最近出会ったのが、「LINE登録で認知特性チェック」というテストだ。そのテストは、本田式認知特性研究所のWebサイトにある。

このサイトにある「【コラム】認知特性とは?」によると「認知特性とは、見る・聞く・読むといったインプットと、それを理解・整理・記憶する処理、そしてそれらをもとに書いたり話したり表現するまでの、一連の方法と、人によって異なるその偏りのこと」とある。

そして、認知特性はまず、次の3つに大きく分けられる。

  • 視覚優位:目で見た情報を処理するのが得意なタイプ

  • 言語優位:読んだ情報を処理するのが得意なタイプ

  • 聴覚優位:耳で聞いた情報を処理するのが得意なタイプ

この3つを更にそれぞれ2つに分けた6タイプによって、テストの結果は表示される。

  • 視覚優位:カメラタイプ
    写真のように、2次元で捉え思考するタイプ

  • 視覚優位:3Dタイプ
    空間や時間軸を使って考えるタイプ

  • 言語優位:ファンタジータイプ
    読んだり聞いたりした内容を映像化して思考するタイプ

  • 言語優位:辞書タイプ
    読んだ文字や文章をそのまま言葉で思考するタイプ

  • 聴覚優位:ラジオタイプ
    文字や文章を「音」として耳から入れ情報処理するタイプ

  • 聴覚優位:サウンドタイプ
    音色や音階といった音楽的イメージを理解・処理できるタイプ

そして、私のチェックの結果は以下の通り。

本田40式認知特性チェック結果

突出した特性はないが、「タイプごとに凹凸の無い人は、バランスよく各特性を持っているので、どんなインプットでも柔軟に対応できる」とある。なるほど。そうかも。その中でもカメラタイプと辞書タイプが優位だが、記憶は2Dの映像としてよみがえり、読書も文字のまま理解していくので、その点は納得である。

耳からの情報は弱い。やっぱりね。でもね。

問題に感じるのは「サウンド」のスコアが極端に低いこと。「音色や音階といった音楽的イメージを理解・処理できるタイプ」が目立って弱いということになるが、私自身の感覚としては、「文字や文章を「音」として耳から入れ情報処理する」「ラジオタイプ」が非常に弱いと感じているので、結構、謎な感じではある。

謎なので、もう少し知りたいなと思い、Googleさんにお伺いしたら『医師のつくった「頭のよさ」テスト 認知特性から見た6つのパターン』という書籍があるよと教えてくれた。2012年発行の光文社新書である。後で気づいたが、著者は本田真美さん。本田式認知特性研究所の本田さんだった。ちなみに研究所の設立は2022年。書籍は設立10年前のものである。

この書籍を図書館で借りて、「ラジオタイプ」(この書籍では「聴覚言語タイプ」となっている)の項目を読んでみると、「ミュージカルを観たときに、セリフをそのまますぐに覚えられます。」とある。これこれ、これこそ、私が出来ないことだ。昔、劇団四季の「キャッツ」を見た帰り、一緒に行った友達数人が歌って踊ってセリフを言い合ってるのを見て、何故すぐに覚えられる?とむちゃくちゃ不思議に思った記憶がある。

また、「メモをとらずとも講演会の内容をしっかりと理解し、記憶できる」のもこのタイプとある。昔、取材で一緒にお仕事をしたライターさんがまさにこのタイプだった。取材中、ミリもメモを取らないので大丈夫なのかなと思っていたが、さくっとしっかり記事を書き上げてきたので、驚いた。何故細かいところまで覚えていられるのかが不思議だったし、今でも不思議だし、私には絶対真似の出来ないワザだ。

つまり、私にとって、「ラジオタイプ」は私の理解を超えた存在だ。そして先にも述べたように、私は音を音として処理することに苦労はないが、音声を言語として処理することにはストレスを感じることが多い。なので、「ラジオ」>「サウンド」のスコアはよくわからない。書籍の具体例を読んで、更に謎が深まった感じだ。

たぶん、きちんとしたカウンセリングを受ければ、その謎も解かれるとは思うが、視覚・言語優位が明確になっただけでOKなので、とりあえずこのままとしておく。いつかわかる日が来るかもね。

認知特性の活かし方を考える

自分の認知特性がわかったので、これを活かすことを考えよう。

例えば英語学習。ネット上には「これで私は成果を得た」という経験談が溢れているが、私の場合、聴覚から攻めるのは危険だ。何となくそうかもとは思ってたが、このテストを通して確信できたので、今後、聴覚優位者の話はスルーことに決めた。聴覚者優位かどうかは、その人のおすすめ学習法を見ればわかる。でも、語学が得意な人って、往々にして、聴覚優位な気はするけどね。

講師的立場に立った時は、本当は事前にその特性がわかると助かる。というか、私から学ぶ人は視覚または言語優位の人の方が理解しやすいのではと思う。講師自身が成果を上げた学習法を、人に薦めるのは常套だけど、講師とは違う認知特性の人には合わないかもしれない。私が英語学習で聴覚優位者の学習方法に疑問を感じるのと同じだ。教育の場において、共通の認知特性同士の組み合わせの方が、お互いに楽だと思う。でも、学校では無理なんだろなぁ。

ところで、話は全く違うが、この記事のトップ画像は、CanvaのText to Imageで作ったものだ。細かい描写をチェックすると「んん?」とは思うが、無料だし、簡単にnoteに貼れるし、なんとなーくこんな感じというレベルなら十分じゃないかと思う。やっぱり、素材やさんが消滅する日は近いかなぁ。

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