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「自傷的自己愛」の精神分析
斎藤環さんの新刊とのことで、読んでみました。引きこもりの専門家である著者が、引きこもりという行為の内側にある「自傷的自己愛」について語った本、といった感じだろうか。
自信は永続しない、書き手も自信があるわけではない、など書かれていて、自信とは別に永続的なものでなく揺らぐものなのか、と。一度自信がついたら、揺らぐ事はあまりなくどっしりした基礎になるのかと思っていたところがあったので、そうなのか、と。
優生思想についてわかりやすく解説しつつからの、安楽死の話、そこからの「自分自身も否定しないで」と来る流れが、なんともスムーズで説得力があった。この辺りの話はなんというかセンシティブな話でもあり、正論でドンっと出されることも多くある中で、ものすごくスムーズな流れて押しつけられる感じもなく良かった。
自己愛というと、自分大好きみたいな感じがしてしまうが、下記の引用のようなことで、好きとか嫌いとかどちらかに偏るものではないものみたいだ。
「自分自身でありたい」欲望こそが自己愛です。「自分自身でありたい」という欲望の中には、「自分が好き」も「自分が嫌い」も「自分がわからない」もすべて含まれています。
自己愛の歴史、どのようにしてうまれてきたのか、戦後の精神史なところから読み解き、今が承認の時代であること、その承認依存がどう作用するか解説していて、分かりやすかった。
そして健全な自己愛について語られ、その上で、どう対処していくかまで話が展開されていくので、当事者やその家族にとってはとても救いになる一冊だと思う。
自傷性の和らげ方であげられる、環境調整、対人関係(家族以外に親密な対人関係を持つこと)、損得勘定、「好きなこと」をする、身体のケア、は、健全に生きていく上でベースになるようなものだと思う。
まあいうは易し、なところはあるかもしれないが、これらを積み重ねていくことが、生きていく上でも自分を傷つけずにいられる方法であることは間違い無いと思う。
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