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「汝、星の如く」

凪良ゆうさんの「汝、星の如く」、こちらもaudibleにて。2023年本屋大賞の受賞作らしい。この方の本、書店でよく見るので、この際と思い、聴いてみました。

 ヤングケアラーの話が最近流行っているのか、こちらもヤングケアラーの話でした。男女2人(かいと、あきみ)の主人公が、どうしようもない環境に奔走されて、自分の選択ができない、断念せざるを得ない中、必死に生き抜き、いろんなものを失いながらも、自分達なりの幸せを掴み取る話、みたいなあらすじです。この2人それぞれの語りで進んでいくのが面白いです。

 なんというか、普通に良かった。読み物として面白かった。きっとさらっと集中して読める本だと思う。

 2023年の本屋大賞作品で古い作品ではないのだが、地方の島での人間関係が、これはいつの時代の話だろう、と錯覚するほど保守的で閉鎖的。聞き逃したのかもしれないが、現代の話なのだろうか。

 手を差し伸べてくれる人もいたり、うまくその手を掴めず、振り払ってしまったり、またあるときはその手を自分から掴みに行ったりしながら、なんとか生き抜く主人公たちの成長の記録は心に沁みる。不器用ではあるが、前を向いてなんとか自分と家族を支えていく姿。

 個人的に最後に主人公のあきみと、北原先生の関係性が個人的に今考えているベストな関係性だな、と思った。詳細を語るとネタバレになってしまうので、詳しくは書きませんが、この本の中に出てくる表現だと「互助会」。
 この「互助会」の関係性が昔から私の望む家族の姿だったりもするので印象に残った。恋愛など関係のないが、お互いを大事に思う互助会の関係。お互いが好きなもの、目指すものに手を伸ばしながら、助け合えるところは助け合う関係。現実にこの関係は実現するのだろうか。ただの夢物語だろうか。

 この本を聴いて思ったのですが、私は紙や電子の本で読むものと、audibleで選ぶ本が全然違うな、と。
 紙や電子の本は、流行りや現代性みたいなものはあまり意識せず、読みたいものを選んでいる。
 audibleは流行りのもの、ベストセラー、本屋大賞など、話題になった今の時代にフィットしていそうな本を聞くことが多い。なので、作者しか知らない、とか、本のタイトルだけ知っている、みたいな本も多い。そして俄然小説を聴くことが多い。
 言葉は悪いかもしれないが、audibleは比較的分かりやすい本を聴くのが向いている気がしている。ペースが自分で調整できないので、意味がとりやすいものを無意識に選んでいる気がする。
 例えば「スピノザ 読む人の肖像」は、正直朗読ペースについていけず、やはり紙で粘るしかなさそうだった。

 audibleずっと加入し続けるかというと、なんとなくそんな事はなさそうで、ある時にまとめて気になったものを追っかけで聴く、みたいな使い方が私には良さそうな。

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