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今だから出来る理想のレコーディングの進め方。

現在の一般的なレコーディングのプロセスは作曲家がメロディーをまず作ります。次に編曲家がアレンジ行いオケ(バックトラック)のレコーディングが行われます。その音源を聴き作詞家が歌詞を作ります。そしてボーカルのレコーディングが行われ、その後ミックス、その後マスタリングが行われ完パケとなります。

スタジオで生楽器でレコーディングされていた時から、パソコンで自宅で作られるようになった現在もこのプロセスで行われるのがほとんどだと思います。。

僕はレコーディングのほとんどがパソコンで行われる現在、そのままで良いのか思っています。なぜならパソコン導入以前のレコーディングでは進んだ作業を前に戻るのはコストと手間がかかったのですが、今は作業のプロセスを前後させたり同時に進めたりなどが自由に出来るようになりました。それなのに、この進化したレコーディングの技術をクリエィテイブに反映していないのが残念に思っています。

僕が思う理想のレコーディングの進め方は、歌詞と曲、これは同時か詞先。少なくともタイトルだけででも決めておくと良いと思います。曲が先なら最低限のラフなスケッチだけのオケで作詞を進めてもらい、歌詞との兼ね合いが必要であればどちらか修正していき辻褄を合わせて行きます。

ベーシックなアレンジが出来たなら仮歌を入れます。この仮歌の質感やムード、そして歌詞のイメージによってアレンジやテンポのディテール検討します。例えば歌詞の季節が夏なのか冬なのかでアレンジは変わると思います。同じメロディーでも歌詞が「楽しい」と「寂しい」ならコードと音色は違うべきだと思います。歌詞や歌の質感によってスネアドラムの音を再考するというような生ドラムのレコーディングでは絶対に出来なかった事も今は簡単に出来ます。

アレンジが完成したら本番の歌入れをしてミックスの作業ですが、エンジニアにも歌詞を理解して欲しいんです。80年代の話ですが、ある有名なエンジニアにミックスしてもらった所、いつもの彼のサウンドではない気がして訪ねた所「歌詞の世界観に合わせてミックスした」と言われて目から鱗でした。

ナンバーガールのニューヨークでのレコーディングの際にエンジニア・プロデューサーであるデイブ・フリッドマンはレコーディングの時に歌詞を知りたがりました。コーディネータの人に翻訳してもらったのですが歌詞の意味が分からないまま作業するのは不安だったのでしょう(あのシュールな歌詞をどこまで理解したかは謎ですが)そしてレコーディングが進むにつれて彼は日本語の歌をかなり正確に口ずさむようになり、さすがグラミー・プロデューサー、耳が良いんだなと驚いた記憶があります。

これは一例なのですが音楽業界に限った事ではないと思いますが慣習に慣れてしまい、既存の仕事の進め方を盲信して思考停止している人に会うと凄くがっかりするんです。僕は当たり前と思う事にいつも「これで良いのかな?」と思うようにしてるんですが、いかがでしょうか。本日も御拝読ありがとうございました。



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