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『どうする家康』 第38回「唐入り」 感想


概要

放送局:NHK 総合テレビ、NHK BSプレミアム、NHK BS4K
放送日時:2023年10月8日(日曜日) 18時00分~18時45分(BSP、BS4K)
     2023年10月8日(日曜日) 20時00分~20時45分(総合)

脚本:古沢 良太
音楽:稲本 響
語り:寺島 しのぶ

番組公式サイト リンク

感想

中間管理録ミツナリ

 …「何度目だよこのネタ」と思うかもしれません。ただ、今回の三成は利根川先生なみに苦労苦心の連続です。

 朝鮮・明に攻め入ることを推し進める秀吉。「壮大な目標を掲げ、日本中の武士を一致団結させる」と言えば聞こえは…そこまでよくないですね。浅野長政(演:濱津隆之)も言った通り「悪い狐に取り憑かれている」としか思えないレベルの迷走です。その浅野殿にしても、家康が間を取り持たなかったら秀吉に斬られていたことからわかるように、今の秀吉はかなりの独裁状態。旧知の仲である家康でようやく「一旦話を聞いてもらえる」という段階に立てるというレベルです。
 そんな秀吉の(語弊のある表現ですが)耄碌に苦しむのは、家康や三成だけではありません。母・仲(大政所)や妻・寧々もまた苦悩の渦に。仲さんに至っては、病床でうわごとのように「息子が迷惑をかけてすまない」「本当に欲しかったのはなんだったのか」とうめく始末。
 ここまで多くのものを失ってでも、この世の全てが欲しいんでしょうか…秀吉は。

 三成はたしかに優秀なんですけどね。良くも悪くも豊臣の秀吉に忠実すぎる。頭脳明晰なのは伺えますが、やはり家康らと比べると"実戦経験"が足りない。何より、あくまで「秀吉のやりたいことを成し遂げる」という考えが大前提にあるというか、彼を疑うことを知らない。ゆえに、彼の立案に異を唱えられない。知識という点でも地頭という点でも頭はいいんですけどね(本日3度目)。"参謀"として最も大事な心構えが抜け落ちているのは否めません。

 ついでに足利義昭は出家した姿で再登場(名は昌山)。「自分が無下にできない身分なのをいいことに、各地で昔の自慢話ばかりする」という、運動部のウザいOBみたいなことになっていました。あの義昭から…順当な成長(?)ですね。
 …と思いきや、最後の最後でものすごく深いことを言ってくれました。「『天辺からは下々がよく見える』なんてのは思い上がり」「信用する者を間違えてはいけない」。"天辺"にいたものだからこそ、その"孤独"を知るものだからこそ出せる言葉ですね。
信長然り、秀吉然り、「天辺は孤独なもの」というのは織り込み済みではあると思うんですけどね。百聞は一見に如かずというか、やはり「知識として知っている」と「体験して知っている」では違うのでしょう。だからこそ、弱くとも人望厚い家康がどこか羨ましかった。

 茶々が秀頼を身ごもった報せで今回は幕引き。予告を見る限りでは特大の曇らせが来そうな予感がプンプンしますが…いかほどに。

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