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『王様戦隊キングオージャー』 第36話「ヒメノのお見合い大作戦」 感想


概要

放送局:テレビ朝日系列
放送日時:2023年11月12日(日曜日) 9時30分~10時00分

脚本:高野 水登
監督:加藤 弘之
アクション監督:渡辺 淳
特撮監督:佛田 洋 (特撮研究所)

番組公式サイト リンク

感想

身を汚せど、魂は輝く。
力を奪えど、心は煌めく。
"美"とは"生き様"。

 唐突に始まった「ヒメノ・ランの花婿を決めるお見合い大会」とかいう、作品を間違えたと錯覚するレベルのトンチキ展開。まさかそこから「"ヒメノ様の美しさ"における真髄」を再認識することになるとは思いませんでした。ついでにこのためだけに彼女と別れたゴローゲのクズっぷりも。

 「こんなことしている場合じゃないだろ」と至極まっとうに苦言を呈すギラくんに対し、ヤンマ総長はなんか乗り気。ヤンマ総長がヒメノ様に片思いしているという最初期の設定、覚えていたんですね。彼らもこんな終盤でこのことを蒸し返され…否、再活用されるとは思っていなかったでしょう。ついでにジェラミーの「2000年生きているけれど、中身は小学生男子」という部分も。

 そこに現れた謎のイケメン。「ヒメノ様と結婚を約束した」と語る彼の名はロマーネ・ディアーボーン(演:美波)。その美貌の表現(道を通るだけで老若男女が気絶する)といい、それ故の過去(自身の美貌を呪っていたところをヒメノに救われた)といい、出る作品を間違えていませんかね…あなた?
 それはそれとして、その過去のヒメノ様はものすごくかっこいい。個人的に「あなたが捨てようとしているその命、私に預けてみない?」みたいなパターン(漫画『賭博覇王伝 零』とか)は好きなので、改めて惚れ直しました。

 …勘のいい方ならお気づきかもしれませんが、この「お見合い大会」は(ヒメノ様に擬態した)カメジムの策略。
 
本物の彼女は地下牢の中。典型的な「擬態能力を持つ敵に成り代わられ、味方が危険な状態」と言うシチュエーションです。とはいえ、(セバスチャンに擬態した)カメジムと対峙した時の「病人を劣悪な環境に閉じ込める執事が許せなかっただけ」「(相手が本物のセバスじゃないから)安心して執刀できる」という台詞や、自分も毒に冒されているのを顧みず病人の治療に勤しむ姿には、第3話同様彼女の民を思う美しい心が表れています。さらにもう一発惚れ直しましたよこいつぁ…。
 ギラ達はそんなことは露知らず、お見合い大会に臨みます。…が、ギラとヤンマは散々。ギラは「そもそも大会に乗り気じゃない」、ヤンマは「惚れた相手を前にして緊張している」「そんな彼をジェラミーが(二重の意味で)いじっている」という仕方のない理由はありますが…。一方、リタ様が社交ダンスをそつなくこなせるのは意外でした。ロマーネに横取りされてプチ絶叫したけど。彼女もギラ、ヤンマ同様そういうものには縁がなさそうな印象でしたが…、「嗜む」というよりは「調査で必要になり得るから習得した」もしくは「ヒメノと仲良くなりたくて始めた」といったところでしょうか(個人的願望をいえば、後者であってほしいです)。
 あわやカメジムの毒針が王様たちを…というところで現れたのはヒメノ様(本物)とロマーネ。困惑するヒメノ(カメジム)に彼女が放った言葉は「そちらのヒメノ様は、自分の側近の素顔をご存じなかった?」。ロマーネの正体、まさかのセバスチャンでした(むしろ逆か?)。たしかに「実年齢25歳」と言っていたけれど。「この顔はヒメノの要望による特殊メイク」と言っていたけれど。その時点で「素顔はかなりの美男子なんじゃないか」と言う予想はあがっていたけれど。誰がそこまで色々と凄いイケメンだと思ったでしょうか。そして第27話ではあの甘いマスクごと太っていたのか…。本人的にはオールオッケーなんでしょうけれど。
 先述の過去も紛うことなき本物だったわけですが、あの時苦しむセバスチャンにヒメノ様がかけた言葉にも続きが。「身分を偽り、姿形を変えようと、"あなたの心"が"あなた"を"あなた"たらしめる」「『人を想う心』それがあなたの持つ最も美しいもので、あたしがただ一つ欲しいもの」。ここまで言われて忠義の限りを尽くさないものがいましょうか(いや、いない)。何度でも惚れ直してしまいます。でもカメジムに「騙されることには慣れていないのかしらw」と100点満点の煽りをしたヒメノ様と同一人物です。

 かくしてカメジムからイシャバーナを取り戻したヒメノ様。
 束の間の平和の中でセバスチャンに問いかけた「『ロマーネ・ディアーボーンに戻りたい』って思ったりしない?」という言葉、そしてセバスさんの「素顔を隠してこそ、私は私のままでいられる。今は"執事セバスチャン"こそが私なのです」と言う返しに対する「ありがとう」という一言も、彼女の"思いやり"や双方の"信頼"の表れと感じました。彼を救うためとはいえ、半ば強引に自分のわがままに付き合わせた(=別人として生きるようにした)ことに対してはそれなりに思うところがあるんでしょうね、ヒメノ様も。

 次回はトウフ奪還。どうやらグローディ(演:天野浩成)の能力で先代王殿・イロキ(演:雛形あきこ)が蘇っているようです。まさかの夫婦共演。彼がトウフを支配することにしたのは(主にメタ的な意味で)これが狙いか…?

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