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Wikipediaの守備範囲

 先日、少し調べ物(という名のネットサーフィン)をしていた時に、Wikipediaで意外なものを見つけた。

 なんと「赤星式盗塁」のページができていたのだ。

赤星式盗塁って?

 「赤星式盗塁」とは、野球関係を主に取り扱うインターネット掲示板(いわゆる『なんJ』)で生まれた、野球で用いられる私的な指標である。
 "赤星"とは、阪神タイガースで活躍した元プロ野球選手・赤星憲広氏のことである。現役時代にはルーキーイヤー(2001年)から5年連続で盗塁王を獲得し、"球界最速"とまで称された赤星氏は、特に走塁面について独自でいて理にかなった野球理論を持っている。その一つが「盗塁死のリスク」だ。簡潔に述べれば「盗塁が多くても、盗塁死が多かったらチームへの貢献度は低い」という考え方で、これ自体は鈴木尚広氏やイチロー氏など、赤星氏同様に"スピードスター"と称された選手も提唱していた。
 赤星氏はそれに加え「いくら盗塁が多くても、それが盗塁死の倍と等しいなら価値はゼロ、下回るなら価値はマイナスである」とより具体的な論を展開。この主張になんJ民が着目し、以下の数式に起こしたものが「赤星式盗塁」である。

計算式

赤星式盗塁=盗塁 - 盗塁死×2

 見ての通り、盗塁数盗塁死数、そして「掛け算・割り算は足し算・引き算よりも先に計算する」という四則演算の法則さえ知っていれば誰でも容易く計算できる。

本指標の特長

 この指標最大の特長は「シンプルさ」「合理性」だろう。
 計算式はもちろんのこと、「盗塁数と盗塁成功率を両立させている選手は高い数値になる」という点や「指標がプラスなら良い、マイナスなら悪い」という点も明快でわかりやすい。
 また、盗塁死を2倍するという点も、盗塁死が「走者の滅失」「アウトカウントの増加」という2つのデメリットを有することを鑑みれば理にかなっているといえる。

Wikipediaの守備範囲

 ちなみに、Wikipediaには他にもこんなページがあった。

 また、「334」のページには2005年の日本シリーズ(千葉ロッテマリーンズ 対 阪神タイガース)のことも記されていた。

 プロ野球、それも阪神関連(なんJ関連とも言える)のネタ多いなアンタ。

 編集者になんJ民がいるのかと思えてきた。
アライバや英智に匹敵する守備範囲である。


余談の中の余談

 現代野球における盗塁の最強格に君臨する赤星氏だが、浅尾拓也・谷繁元信バッテリーの時がいちばん難しいと著書や解説で述べていた。浅尾氏の牽制やクイックモーションなどの技術と谷繁氏の強肩をそれだけ高評価していたということで、中日ドラゴンズのファンとしては少し、いやかなり嬉しい。

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