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『どうする家康』 第39回「太閤、くたばる」 感想


概要

放送局:NHK 総合テレビ、NHK BSプレミアム、NHK BS4K
放送日時:2023年10月15日(日曜日) 18時00分~18時45分(BSP、BS4K)
     2023年10月15日(日曜日) 20時00分~20時45分(総合)

脚本:古沢 良太
音楽:稲本 響
語り:寺島 しのぶ

番組公式サイト リンク

感想

頂点に立つ者は常にひとり

 今回は、"政のあり方""一人の男の生き様"の両方から、そのことをひしひしと感じる回でした。

 まずは、家康と三成のやり取り。三成の「一人に権力を集中させるのではなく、複数人が知恵を出し合い話し合って政を決める」というビジョンには舌を巻きました。同時に去年の大河ドラマを思い出して「なるほど完璧な作戦っスねーっ 不可能だという点に目をつぶればよぉ~」ともなりましたが。悲しいなぁ。三成もまた、家康同様"戦なき世"を目指しているという点が個人的に嬉しい一方、大河ドラマの持ち味である「人の数だけ"信念"がある」の裏返しである「立場が変われば"正義"も変わる」を予見させる運びでやや不安になります。また、三成の案に対して家康が「"願う"ばかりではなく"行動"に移してみろ」と発破をかけるシーンに殿の成長を感じて少しウルっとしました(殿をもっと間近で見てきた忠次や忠勝もそんな気持ちなんでしょうか?)。

 そして、サブタイトルの通り、ついに秀吉が亡くなります。そりゃそうだ。
 その往生際は実に無様。自分の尻拭いなど知らぬ存ぜぬ(結果、家康はキレた)な一方、茶々には暗に用済み宣告される始末。信長然り、人を信じてこなかった者は、人から見放されて生を終える。ということでしょうか。
 信長も秀吉も人を信じられなくなる事情はあったんですけどね。それでも、自分が他者を信用せず、その代償として心からの人望を得られなかった分、自分は弱くても人を信じ、相手にも心から信じてもらえる家康が羨ましかった。というのはあると思います。だとしてもその"憧れ"が屈折しすぎだとは思いますが…。「憧れは理解から最も遠い感情」とはよく言ったものです。

 一方、忠次や秀吉などから色々エール(?)を送られた家康の心には一つの志が。それは「自身が天下人になる」ことです。
 三成の案は「実現できれば」良いのですが、その道筋が見えない。案に協力的な武将よりも、自分が取って代わって天下を治めたい武将の方が多いでしょうからね。そういう血気盛んな者たちの手綱を握るには、(厳しい言い方になりますが)三成では人心掌握術然り経験然り足りないところが多い。
 それよりは、ひとまず(…で済むのでしょうか)自分が天下人として世を治め、着々と"戦なき世"を作っていく方が確実。そう考えてのことだと推察しています。
 着実にたぬき親父・家康が出来上がっていますね…。

三成カワイソス(´;ω;`)

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