『どうする家康』 第27回「安土城の決闘」 感想
概要
放送局:NHK 総合テレビ、NHK BSプレミアム、NHK BS4K
放送日時:2023年7月16日(日曜日) 18時00分~18時45分(BSP、BS4K)
2023年7月16日(日曜日) 20時00分~20時45分(総合)
脚本:古沢 良太
音楽:稲本 響
語り:寺島 しのぶ
番組公式サイト リンク
感想
中間管理録アケチ
前半、明智光秀が心身ともにフルボッコにされます。それはもう可哀想なくらい。いやまあ、光秀の自業自得な部分もあるんですよ?家康に向かって遠回しに「育ちが悪くて、旨い物を食べたことがないからだ」と言ったりっていうのはありますよ?だとしてもですよ。そのうえ家康には(形ばかりですが)同情される始末。光秀の魂はボロボロです(「信長が討たれた余波で、家康が危機に瀕する」という展開への上手い理由付けだな、とも思いましたが)。
その裏で、茶屋四郎次郎(演:中村勘九郎)の助けもあって信長討伐の計画は絶賛進行中。実に見事な"タヌキ親父"です。
腹黒でいえば、羽柴秀吉もなかなか。表ではあんなひょうきんに振る舞っておきながら、弟・秀長(演:佐藤隆太)と二人の場所では「信長、消えてくれないかなー」とぼやきます。それでいて、自分が直接手を下すようには見えない。彼の中では「誰かしらが信長を討つ→自分がその"誰か"を討ち、『信長の敵を取った者』として美味しいところをゴッソリいただく」というシナリオが描かれているのでしょう。「サルとタヌキの騙し合い」を予感させる、それぞれ恐ろしいやり取りです。
その一方で、織田信長の内なる孤独も明かされました。幼い頃より「信じられるのは己のみ」と厳しく育てられ、大名になってからも戦の絶えない日々。そして、下剋上が珍しくない戦国時代ゆえか、はたまた桶狭間でそれを「下剋上する側として」経験したからか、内心では暗殺されることを恐れ、誰にも「心からの信」を置けない。個人的には、彼の孤独は宿命半分・環境半分(具体的に言えば、「時代と生まれがゆえに、どうあがいても孤独にならざるを得ない部分はある」と同時に「周囲の環境や育て方次第では、孤独を和らげることもできたのではないか」)と感じました。「戦国大名の嫡男」という"生まれ"を考えれば、厳しい教育方針について理解できる部分もあります。特に「信じられるのは己のみ」という点については、個人的に現代においても一理(どころか五~六理くらいは)ある正論と思います。ましてやそういう"時代""生まれ"であれば尚更。
一方で、他者に疑いの目を向けるからこそ、家康の内なる計画にも気づいた信長。瀬名と信康を死に追いやったことを家康から責められた時の「俺は数えきれないほどこの手で人を殺めた。それをいちいち悔いていられない」という言葉は、彼なりの"覚悟"が感じられました。多大な犠牲を払ったからこそ、志半ばで倒れればそれが無駄になる。ましてや断念など言語道断。そういった、色に例えると"漆黒"のような覚悟が信長にはある、そう思いました。
そして、信長に「お前に俺の代わりが務まるのか」と問われた家康。「自分のやり方で天下を治めてみせる」と答えたその眼には一切、恐れや迷いがありませんでした。家康の成長が伺える一幕です。
そして京都中に伝わる「織田信長、本能寺で暗殺」の報せ。下手人は家康なのか。それとも光秀なのか。はたまた別の誰かなのか。真相解明は次回にお預けです。
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