『下剋上球児』 第5話「新監督登場で波乱!?教師と球児をつなぐ絆」 感想
概要
放送局:TBS系列
放送日時:2023年11月12日(日曜日) 21時00分~21時54分
原案…菊地 高弘『下剋上球児』(カンゼン刊)
脚本…奥寺 佐渡子
音楽…jizue
主題歌…Superfly「Ashes」
プロデュース…新井 順子
演出…山室 大輔
編成…黎 景怡、広瀬 泰斗
製作…TBSスパークル、TBS
番組公式サイト リンク
感想
南雲先生が決意を固めて出頭した前回。当然ながら越山高校やその周囲は大荒れです。「人格者で知られたあの南雲先生が、実は教員免許を持たない"偽教師"だった」のだから当然ですが、それにしても手のひら返しが酷い。なにも過去まで否定することはないのでは…と思いますが、一部の"穢れ"に全てを押しつけて自分は知らぬ存ぜぬ、というのが人間のサガなんですかね。これまでが比較的ほのぼのしたシーンが多かっただけに、(「事実をもとにしたフィクション」とはいえ)ここまで露悪的な描写は少し意外でした。根室くんの姉である柚希さんが南雲先生を庇ってくれたのは救いです。
一方、野球部も"変革"を迫られます。樹生おじいちゃんが勝手に呼び寄せた新監督の塩尻(演:町田啓太)を軸に、新生・越山高校野球部は始動…なのですが、塩尻監督は端から既存メンバーに興味はなく、スカウト路線(有望新人の引き抜き)を決め込みます。スカウト路線だけなら「短期的な結果を出さなくてはならない」という主に樹生おじいちゃんからのプレッシャーあってのことと擁護できなくもないですが、越山高校に「強豪校からも注目されている有望新人を呼べるだけの魅力」があるかと言うと…抜本的な改革が必要…ですね。正直、スカウト路線は現実味がないと思います。
さらに言えば、既存メンバーへの配慮がなさ過ぎる。特に酷いと思ったのは「誰に聞かれるともわからない場所で公然と既存メンバーをディスる」点。"指導者として"以前に"人として"の配慮ができていないとしか言いようがないレベルの無配慮ぶり。案の定根室くんに聞かれ、彼を意気消沈させるとともにそのことを人伝手で聞いた野球部員を憤慨させることに。僕自身、塩尻監督のあんまりな言い様に憤りを感じると同時に「落合博満さんが絶対に『メディアを通しての選手批判』をしなかった理由ってこういうことを危惧してなんだろうな」と痛感させられました。
様々な思いが交錯した第5話ですが、心が痛むと同時に「"変革"を余儀なくされるほどの衝撃を受けた人間の動き」を俯瞰して見られたのがどこか面白かったです。「自分とは異なる状況や境遇を"疑似体験"するのがドラマや映画の醍醐味だよな」ということを再認識しました。