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『「静かな人」の戦略書───騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』 感想

概要

著者:ジル・チャン
訳者:神崎 朗子

初版発行:2022年
デジタル版発行:2022年
発行所:ダイヤモンド社

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発行者による作品情報

聞く力、気配り、謙虚、冷静、観察眼……「静かで控えめ」は賢者の戦略。外向型が優位な世界で、内向型がその魅力を最大限に発揮する方法とは?全米200万部ベストセラー著者、スーザン・ケイン絶賛!「現代の静かな闘士たちが絶対に読むべき書」。世界的ベストセラー、ついに日本上陸!
Apple Books|ジル・チャン&神崎朗子『「静かな人」の戦略書───騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』

感想

 本書では、著者の経験をもとに、内向型の方々が(昔よりはマシになったとはいえ)「外向性至上主義」的な風潮がまずまず残っているこの社会を「自分らしさ」を保ったまま渡り歩くための具体策が記されています。
 内向型は外向型と比べて「優劣」があるわけではなく、「違う」だけ。だから、内向型ならではの「持ち味」(例えば、じっくりと考えられる思慮深さや記憶力、相手の話から的確な答えを導き出せる傾聴力 など)を活かせば、ちゃんと社会で渡り合えるし、魅力的な人・信頼できる人にも映る。

 僕自身かなり内向的な性格なので、こういった本の存在は役立つと同時に嬉しいです。また、著者らのエピソード(=内向型人間が直面するシチュエーションの"具体例")をもとにアドバイスを記すというスタイルなので、読みやすかったですし、「こういう著書を書く方も、こういう(時として"僕と同じような")苦労があったんだな」と思えてきました。
 外向型をディスるような文がなかった(それどころか、外向型と良いコンビネーションを築く方法が記されていた)ことも、読みやすかった要因の一つです。

 個人的に最も感銘を受けたのは、次の一文です。

 「私が○○なのは、内向型だから」とか「私は内向型だから××できない」などと、内向型をひと括りにして決めつける発言は、危険なだけでなく、みずからの成長の可能性を著しく狭めてしまうことになる。
デジタル版121-122頁|PART1 静かな人の「仕事」の戦略 冷静沈着に「戦略的思考」を生かす|CHAPTER4 独特の「脳の特徴」を武器にする|使い方次第で生きる「スーパーパワー」

 内向型に限らず、多くの人は彼我をある属性にカテゴライズすると同時に、その属性という"枠"や"限界"を定めてしまう。それは視野を狭めるだけでなく、(自分に定めた場合)向上心を削減してしまう危険な行為だと著者は述べています。
 この文を読んだ時、目から鱗が落ちるような感覚になりました。「そういう"決めつけ"は慎もう」と心がけてはいても、ついやってしまう場面は少なくないので、今後は(自身の長所短所は把握しつつも)そのような"諦め"はしないよう心がけていきたいです。

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