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『ブラックペアン シーズン2』 第4話「天才医師VS医療AI」 感想


概要

放送局:TBS系列
放送日時:2024年7月28日(日曜日) 21時00分~21時54分

原作:海堂 尊『ブレイズメス1990』『スリジエセンター1991』(講談社文庫)

脚本:守口 悠介
音楽:木村 秀彬
主題歌:小田 和正「その先にあるもの」(ソニー・ミュージックレーベルズ)
監修:山岸 俊介(イムス東京葛飾総合病院)
プロデュース:伊與田 英徳、武藤 淳、佐久間 晃嗣
演出:伊東 祥宏
製作著作:TBS

番組公式サイト リンク

感想

 東城大(というか天城先生)に順風満帆な風向きで、菅井教授にとっては面白くない展開。医療訴訟に強い戸島和子弁護士(演:花總まり)と結託して天城先生を排除しにかかりました。
 しかし、戸島先生は心臓に病気を抱えており、それは今すぐに手術するならダイレクトアナストモーシス手術が必要な代物。それでも「"医療の正義"を冒涜している)天城先生の手術は受けない」とした戸島先生には信念の強さを感じ、(かつて法曹界を志した)自分にとって尊敬できるものでした。ただ、家族(花房さん)からしたら「"正義"って、"自分"を犠牲にしてでも重んじなければならないのか」と感じるのもごもっとも。
 ここでも天城先生は戸島先生や(バイパス手術をできなかった)世良先生に猛口撃しますが、その言葉は正鵠を射ていると思います。本作の感想では幾度か書きましたが、医者として至上の職務は「患者を治療すること」であり、「患者を治せる医者」だけが「良い医者」である。逆に言えば、どれだけ患者に寄り添った物言いでも「治せなかった」以上、天城先生の言う通り「患者を治す方法を自分ができなかった」ということ。世良先生にも研鑽の余地ありですね。

 一方、維新大も様子見だけではなく攻め手にかかります。患者のカルテを読み込ませることで、世界中の医療データベースを元に最適な処置方法を導き出す医療AI"エルカノ"(声:三石琴乃)を用いて戸島先生を治療するという手に出ました。個人的には、「医療にAIのサポートを添えることで、凡百の医師でも最適解を遂行できる」という手法は敵ながら見事と思いました。
 ただ、戸島先生の公開手術に際して誤っていたのは「判断を全てAIに委ね、自分で考えなかったこと」でしょう。これはAI関係の全てに言えることですが、AIはあくまで「自身に入れ込まれたデータベースの中から最適解を導き出している」のであって、どれだけAIが優れていようと最終的に判断を下し、責任を負うのは人間です。そして人間が判断を下すにあたっては、データベースの中の最適解以外にも個々人の経験則や直観・直感も重要なファクターとなります。医療行為は"経験則"や"直観""直感"に基づく考察・判断が特に重要視される職務(だと個人的には考えています)。「AIによって自分の診断を補足する」ならまだしも、「AIの診断結果を鵜呑みにし、それ以外の可能性を視野から外す」というのは医者として本末転倒と言わざるをえないでしょう。

 一方、この状況下で助けに入るそぶりさえ見せない、それどころか戸島先生が亡くなってしまったらそれはそれで自分のために利用しようとする菅井教授や高階先生には「医者としての"底"」が知れてしまったような感覚です。前回も述べたように、彼らの方が天城先生よりもよっぽど「医療に対して不誠実」ではないでしょうか。

 公開手術はあわや大惨事となりましたが、観衆の中にいた世良先生が助太刀に入り一件落着…とは行かず、依然ピンチは続いたまま。花房さんも天城先生との賭けには負けてしまい、八方塞がり。これまでの手術が一話完結だっただけにむず痒い終わり方ですが、同時にどうやって天城先生が参戦するのか、戸島先生を助けるのか予想がつかなくて(不謹慎かもしれませんが)次回が楽しみです。
 次回、どうする。

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