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【今週のよかったこと】20181026-28

プレミアムフライデーと言う名称が世に出て久しい今日この頃、特に会社から奨励されているわけでは全くないので毎月末の金曜日はごく平凡な金曜日ではあるのですが、「あたしがプレミアムだと思ったらプレミアムなんだよ」という精神のもと、たまに金曜日夜にぱーっと遊んでいます。

10月26日の金曜日は美術館に行ってきたのでそのお話をしますね。

今週のよかったこと
・金曜日の夜にピエール・ボナール展を観に行った。

国立新美術館は金曜日と土曜日の夜は、いつもなら18:00で閉館になるところ20:00まで開館しています。国立新美術館以外にもこういう取り組みを行ってる美術館って結構あるよね。
金曜夜の仕事終わりで、少し気が疲れてはいるんだけれど、静かで人の少ない夜の美術館で過ごす華金もよいものです。

さて、ピエールボナール展は現在国立新美術館で開催されているオルセー美術館特別企画と題した企画展です。

ピエール・ボナールは19~20世紀に活躍したナビ派の画家。開催趣旨には下記のように紹介されているので引用します。

19世紀末のフランスでナビ派の一員として出発した画家ピエール・ボナール(1867‐1947年)は、浮世絵の影響が顕著な装飾的画面により、「日本かぶれのナビ」の異名を取りました。20世紀に入ると、目にした光景の印象をいかに絵画化するかという「視神経の冒険」に身を投じ、鮮烈な色彩の絵画を多数生み出します。
ピエール・ボナール展開催趣旨より

平面構成的で装飾性のつよい絵が並ぶ序盤から、プロセニアム舞台の上に演出された舞台芸術チックな室内の風景画、明るいけれど少し居心地の悪さを感じる色彩の夏の絵、奇妙で可愛い挿絵や写真までボナールの幅広い作品が一同に会していてボナールと言う作家をじっくり見渡せるような展示だった。

序盤の「日本かぶれのナビ」で紹介されている絵はどこか、日本の叙情画家竹久夢二を連想させる構図だったり、夢二式美人の描き方だなあと感じることが多かった。ボナールと夢二の関係性や影響関係の研究があるのかどうかは知らないけれど、2人の絵のどこかに浮世絵を見ていると言う要素が共通してあるっていうのが大きい気がするな。根っこの部分で同じ水を吸った種類の異なる草木って感じ。

このめちゃくちゃに長い猫ちゃんとか、ちょっと夢二っぽくないですか?夢二の描いた猫でもいやに伸びてるやついるよね。

ところで、ピエール・ボナール展では一か所、鮮烈な印象を残すキャプションがあった。

うろ覚えなんだけどこんな感じの内容。

ボナールが彼の手帳に「芸術作品――時間の静止」と書くとき、
それは相性の一瞬の印象を切り取ることを言うのではなく、
画家が記憶とキャンバスの上の像を円環しながら重ねた絵の具の層であり、その間に宙づりにされた時間のことである

絵の具の層、記憶とキャンバスのはざまに宙づりにされた時間と言う表現をボナールの絵に当てはめた担当者のひと、きっとボナールのことが好きなんだと思う。これを読んだ瞬間、絵をぼんやりと眺めていたときよりも急激にボナールの事が好きになったもの。

絵の具の層って表現は「絵画」という芸術が一体なにでできているのかという実のところを暴いているような表現なんだけど、ボナールの絵で肝心なのは絵の具の層の間を何が繋いでいるのかと言うところで、上記のキャプションは絵の具の層の間に何があるのかを端的かつ詩的に言い当ててすごいんだと思う。こんなにキャプションの前で立ち尽くしてしまったのは初めてです。

プレミアムフライデーに美術館、とてもよいです。

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