灯る

瞬間、はじけて。

『不思議』/星野源


配信解禁日に夜更かしして、0:00から心して聴いたんですけど、一聴して出た言葉は「いや、あの、ちょっっっ、えー!!!!」だけでした(語彙力破壊されがち)。

なんだろう、まるで一本映画を観たかのような、長編小説一冊読み終えたような、それくらい長い物語に触れた気がしたんです。聴き終えて。 

感じたものをあえて言葉にするなら、ただ側にある温もりで、安心で、帰る場所。多分そんな感じなんですけど、説明するには言葉が足りないくらい映像で入ってきたので、もう言語化するには一本物語を書くしかないレベルなんですよ。

浮かんだ景色も、二本並んだ歯ブラシとか、キーラックにかかった二本の鍵とか、指輪二つ分の隙間が空いたアクセサリー置き場とか、食器が全部二つずつあるとか、そういう感じだったんだよ。背伸びしない、家族になる過程のような。

穏やかでまるくて、ほんのちょっと擽ったい、アルバムを開いて写真を見返している時の気持ちのような。

世界の変遷を、物語を、言葉だけじゃなく音でもとても丁寧に紡がれている曲だった。

感情って、明確にひとつの具体的な正解を持って表現することは未来永劫敵わない概念だと思うんだけど、その中でも殊更「愛」という概念は個人によって見ている形が違いすぎるものだから、表現できるわけがないと思っていて。だから人間たちは、どうにかその輪郭を浮かび上がらせるために手を尽くす。ある人は言葉を紡ぎ、ある人は音を奏でて、ある人は色に、筆に乗せて、キャンバスへと描き出すように。

そうやって各人が「どうにかこれなら具体的な形にできること」を繋げて紡いで、やっと表現者が浮かび上がらせた「愛」を、受け取る側は想像するんだけれど、それも想像でしかないから、表現者の思う形で受け取れるとは限らなくて。

この曲も、ほんとのところは受け取った側には何も分かるわけはないんだけど、それでも確かにここには「愛情」があると、そう感じた。恋愛とか、情愛とか、愛を表す色々な言葉を超越したところにある、心にほんのり滲む温もりのような、明かりの灯る家に帰るときの安心のような、そっと心に灯される希望のような、あえて言葉にするならそれは「愛情」なのだろうけど、言葉にすると野暮ったくなってしまう、あの純粋で美しい感情が。

予告しておきますが、MV出たら予定調和で死にます。

CDリリース楽しみだなあー!!!!!!!!!!!(クソデカボイス)



スキを押すと何かが出ます。サポートを押しても何かが出ます。あとわたしが大変喜びます。