100文字ドラマ／そのさよなら、代行します

#テレ東ドラマシナリオ

【もうひとつのオチ】のシナリオを追記しました。

テーマ

今回書かせていただいたテーマはこちらです。

「そのさよなら、代行します」。

あらすじ

父親が突然倒れた。宣告された余命は1か月。父親が倒れるなんて思ってもみなかった主人公は、父親の死を受け入れることができず、本人にも余命1か月だと知らせることができなかった。そんなとき、友達から「さよなら代行人」の存在を聞かされる。「さよなら代行人」とは、文字通り別れを代わりにしてくれる、謎の人物。父親の死期が近づいていくなか、いまだ現実を受け入れなれない主人公は、「さよなら代行人」にある依頼をする。主人公はどんな依頼をしたのか。その依頼は主人公の思わぬ方向へ進んでいく。

シナリオ

◯家
大きな物音。
「…？」
物音がした方に近づく。
父親が倒れている。
「親父？！」
父親のもとへ駆け寄る。
「おい、親父！親父！…救急車…！」

◯病院廊下
廊下の椅子に座って待つ。
緊急治療室から医者と看護師が出てくる。
立ち上がる。
看護師「◯◯さんのご家族ですか？」
「はい」
医者「お話があるので、いいですか？」
「…はい」

◯診察室
医者「お父様は一命は取り留めました。ただ、◯◯（病名）です」
「◯◯（病名）…？それって、治るんですか」
医者「お話しても、大丈夫ですか？」
「…はい」
医者「お父様は、余命１ヶ月です」
N）余命１ヶ月…？

親父のことは、たいして好きでもなかった。
でも、親父が倒れて、親父の知らない一面を見て、家族だったんだって、代わりのきかない人なんだって思ったんだ。

余命１ヶ月を父親に言えないでいる。
そこで、さよならを代行してくれる人を知る。

◯病院
病室に入る。
父親「…どなたかでしょうか」
「はじめまして。◯◯と申します」
父親「◯◯の友達かな？」
「そうですね。そんなところです」
父親「そうか…。あいつは最近来ないな。元気でやってるか？」
「はい、息子さんは元気ですよ」
父親「そうか…。あいつの代わりに来てくれたのか？」
「はい、息子さんから伝言を預かっています」
父親「伝言？」
「本当のことを言えなくてごめん」
父親「本当のこと？」
「今までありがとう。さよなら」
父親少し笑いながら。
父親「なんだそれは。まるで俺がいなくなっちゃうみたいじゃないか」
無言で微笑む。
父親「そんなこと言ってないで、たまには顔を見せろと伝えてくれ。次は君も一緒に来たらいいよ」
「はい」

◯病院以外のどこか
スマホが鳴る。表示は病院。
「はい」
看護師「◯◯さんですね？お父様の容態が急変しました。今からこちらに来られますか？」
「え…」
慌てて病院へ向かう。

◯病院
病室のドアを開ける。
父親のベッドは医師や看護師に囲まれている。
「親父」
父親のベッドへ駆け寄る。
「親父」
目をつむったまま反応しない父親。
「親父」
父親の体を揺する。
「親父」
医者「残念ですが、お父様は先ほど、息を引き取りました」
「親父」
泣き崩れる。
「親父…」

N）全部、自分で言えばよかった。
ごめんねも、ありがとうも。
そして、さよならも。

【もうひとつのオチシナリオ】

◯病院の待合室
N）親父が倒れてから、今日でちょうど1か月か。
テレビ「続いてのニュースです。今朝、新宿の◯◯交差点で大規模な玉突き事故が発生しました」
主人公、ふとテレビを見る。
テレビ「歩道に乗り上げたトラックに巻き込まれた歩行者もおり、病院へ搬送されましたが◯◯さん（代行人の名前）の死亡が確認されました」
「は…？」
テレビ「◯◯さんは、さよなら代行人としてSNSなどで話題になっており…」
N）◯◯さんが、死んだ…？
主人公、急いで立ち上がり、父親の病室へ。

◯病室
主人公、ドアを開ける。
父親「おう、◯◯。どうした？そんな顔して」
笑顔を見せる父親。
「親父…」
後から医者入室。
医者「◯◯さん。ちょうどお話したいことがあります」

◯診察室
医者「昨日、改めてお父様の検査をしたんです」
「はい」
医者「そしたら、腫瘍がきれいになくなっていて」
「え？それって、治ったってことですか…？」
医者「事実上、そういうことになります。ただ、私たちもなぜ急に腫瘍がなくなったのか分からず…」

（回想）
代行人「お父様とのさよならを代行すればよろしいですね？」

主人公、はっとする。
N）さよならの代行って…？！

ネタバレ

シナリオのラストは、主人公が最後まで父親に直接さよならを言えなかった。それをとても後悔する主人公。

別テーマですが「人生リハーサル」でその後悔を挽回しようと試みるという展開にもできそうだと思いました。

【もうひとつのオチ】
父親ではなく、代行人が不慮の事故で死亡。
さよならの代行は、父親の死というさよならを代行人が引き受けたため。

代行人の死因は事故でなく、原因不明でも。
さよなら代行人は、レンタルなんもしない人みたいにSNSで話題になり、世間的に名前が知られている人物で、ニュースになり、主人公も代行人の死を知る。

もう少しちゃんと書きたかったのですが、時間がありませんでした。
まだまだ実力が足りないのだなぁと。