親父について

シンプルに眠れない。喉が痛い。加湿器とかあったほうが良いだろうか。ん?除湿機か?今の部屋の湿度は58%。眠る際に最適な部屋の湿度って一体どのくらいなんだろうか。思えば、適応障害を患って実家に戻る時、物を持ち帰るのが面倒くさすぎて、できるだけ捨てるようにした。フリマで金に変えるという手もあったが、そんなこと考える余裕もなかった。とにかく何も考えたくなかった。ただ、扇風機は捨てるべきではなかったかもしれない。クーラーのつけっぱなしは、なんとなく体調不良を引き起こしやすい気がする。どことなく、寒い。
親父の実家に戻ってみて感じたが、不動産管理の一環なのか、シンクをいちいちキレイにしている。風呂場もそうだ。寝る前に水を一杯だけ飲みたいという時、シンクがキレイになっていると使いづらい。そのせいで、母親の元にいたときよりも水不足に陥っている気がする。なんというか親父は、長らく共同生活というものから離れていたせいで、自分に都合の良いように住環境を最適化してしまっている感がある。食洗機は土日は使わない。そのくせに自分が即席麺を食ったあとは土日だろうか平日だろうが普通に食洗機を使う。もし俺がラーメンを食ったら、食洗機を使うときに許可が必要なのだろうか。それが嫌だから、俺が食いたい時はカップ麺で済ましている。洗い物が出ないからだ
親父について、一つ嫌な記憶がある。記憶というか、まだ両親が別居する前、ふと母親から聞いた話だ。家族でピクニックに行っていたとき、お弁当のおにぎりが転がり落ちてしまい、親父はそのおにぎりの汚れを十分払い落とさずに俺に食わせたらしい。そして案の定俺は体調を崩した、というものだ。当時の記憶はまったくないが、母親からそれを聞かされた時は、記憶に残っている親父像とかけ離れており、ショックを受けたのは覚えている。”そんな人だとは思わなかった”そういう心境が湧いたのだろう
翻って昨今、祖母の家事ボイコットにより、最近じゃ親父が飯を作ってくれているが、火加減が杜撰なことが多い。出てくるハンバーグの生焼け感の多いこと多いこと。カレーのじゃがいもの煮えてなさには唖然とした。”高性能のコンロが火加減を自動で調整してくれるんだ”と誇らしげに言っていたが、正直テクノロジーに全幅の信頼を寄せすぎだと思う。決して俺はアンチテクノロジーではないが、親父のそれは、ただの盲信なのではないかと思う。幼少期のショッキングな知らせと、最近の飯の出来がどうしても無関係には思えず、すごくモヤモヤする。そのくせ、味の違いには結構うるさい。やれスーパーのあれこれは食えたもんじゃないだの、これはうまいだの、正直親父の舌はあまり信用できない。よって、食いもんの話は絶対にしたくない。多分ものの数分で喧嘩になる
”お前はゲームばっかりしてるから手の皮が薄い”とか言ってきたこともあった。この人ほんとに大卒なんだろうか。自分の認知している事象だけで物事を説明しようとしているだけではないか。こういうの、俺まじで嫌いなんだよな。なんと言い返せば反省してくれるのだろうか。というか、多分母親は何度も交渉を試みたけど何も変わらなかったから諦めて出てったんだろう。母親も母親で交渉が下手なところはあるが。きっと親父は死ぬまで変わらないだろう。
毎年、カレンダーに子どもの誕生日のところにわざわざシールを貼っつけているのは微笑ましいと思っていたが、過大評価だったかもしれない

ふとした瞬間に、両親に対する不満が募っては、”いやそうは言ってもここまで育ててくれたのだから感謝すべきでは?”と思うこともある。だが、どうにもこうにも感謝の気持ちが湧いてこない。俺が薄情だから?思うに、俺が必要としているサポートを必要な時に提供してくれた、という記憶が無いからではないか。

自転車、どうやって乗れるようになったかというと、保育所で知り合った子の家に遊びに行って、その子と練習した
ソフトボール、どうやって上達したか、他人のお父さんと練習した
塾の宿題、分からない所をどうしたか、空欄で提出した

親父は一体いつ自分と関わってくれたのだろうか。困難に直面した時、どうやって乗り越えるか教えてくれたのだろうか。どこかレジャー施設に連れてってくれたことがあっただろうか。俺にとって親父は何者なのだろうか
感謝する以前に、まずあなたは自分の子供についてどう考えているのですか?

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