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『Dear Evan Hansen』NYブロードウェイ観劇記録レポート④

Dear Evan Hansen

観劇日:2020/2/29
会場:Music Box Theatre

この作品は2017年第71回トニー賞にてミュージカル作品賞を含む6部門受賞。
演出は、ミュージカル「RENT」などを手掛けているMichael Greif。
作詞作曲を手がけてたのは、 映画 「ラ·ラ·ランド」の音楽を担当した、Benj PasekとJustin Paulのコンビです。

作品の特徴

SNSで様々な人とコミュニケーションを取れる社会の中にある孤独8人という少人数でうまく表現している。

物語の主人公エヴァン・ハンセンは母子家庭育ち。
自分の居場所が見つけられない17歳の高校生です。
友達と呼べる存在が1人もいない対人恐怖症で恥ずかしがり屋の彼は、セラピスト(精神科医)からの宿題で自分自身への手紙を書きます。
”Dear Evan Hansen”このひとつの手紙からエヴァンの人生が変わっていきます。

こんなに心打たれる作品だと感じたのは久しぶりだ。シンプルなセットの中でしっかり役者の演技を観る事ができる。

音楽について

音楽も素晴らしい。生で作品として観ると何倍も楽曲の良さが増していた。
オーケストラはなんと2階にいます(笑)
下手の上に見える形で設置されています。
ステージ上にはキーボード、ギター、ベース、ドラム、ストリングスなど、少人数で現代的な楽器構成。
そこに、シーケンスと呼ばれる(コンピューターから流れる音楽)も使用している。
作詞作曲のふたりはインタビューで以下のように答えている。

“We use Ableton, which is a piece of software that plays loops and sound effects and things that can’t really be replicated by human beings,”

Ableton Liveというソフトを使用し、人間が実際に演奏するのではなく、あえて無機質なループや効果音などを使用している。

SNSを映像で表現する演出

何台もあるプロジェクターからの映像。様々な位置に設置された縦型のモニターテレビ。いろんなところでSNSの映像が開場中から流れている。セットは比較的シンプルだが、この映像の使い方が巧みで奥行き感を演出していた。例えばSNSの画面をただ表示するだけではなくて少しぼやけさせたり、奥と手前で違うものを流したり細かいこだわりを感じることができた。
テレビ電話のシーンでは実際にリアルタイムで映像がモニターに表示される。カメラが設置されており、役者はそのカメラに向かってセリフを話す。
現代的で今までにない演出を観ることができた。

キャストについて

様々な孤独をそれぞれがしっかりと向き合い演じているように感じた。その一人一人の表情がリアリティーがあって見入ってしまった。芝居心をすごい感じる事ができる作品。
エヴァン・ハンセン役のZachary Noah Piserは水曜日と土曜日を担当していた。
全員歌が上手い。当たり前なのかもしれないが、全員すごい。全員で歌うシーンは圧巻だ。

まとめ

SNSに囲まれた無機質な世界から一変して壮大な一面リンゴ園のシーンへと変わるところは涙が...。
床から沢山のリンゴが生えてきて、真っ黒だった背景が青空へと変わって行く。そこで待ち合わせをしていたエバンとゾイの会話も切ない。

今回、当日券で滑り込み観劇。若干金額が高くてもう少し安い席はないか尋ねると「この席しかもう空いてないの。だけど最高の席だし最高のショーだよ?!」と言っていた笑
観劇して、これはこの値段払っても観て良かったと心から思える作品だったし、今、日本で上演してほしい作品だなぁと感じた。

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2020.03.17
Sota

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