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中二心をくすぐる名作漫画 "HELLSING"



我らは己らに問う
汝ら何ぞや!!


「我らは熱心党(イスカリオテ)
熱心党(イスカリオテ)の
ユダなり!!」

ならばイスカリオテよ
汝らに問う
汝らの右手に持つ物は何ぞや!!


「短刀と毒薬なり!!」

ならばイスカリオテよ汝らに問う
汝らの左手に持つ物は何ぞや!!


「銀貨三十と荒縄なり!!」

ならば!!
ならばイスカリオテよ
汝ら何ぞや!!


我ら使徒にして使徒にあらず
信徒にして信徒にあらず
教徒にして教徒にあらず
逆徒にして逆徒にあらず!!


我ら死徒なり
死徒の群れなり
ただ伏して御主に許しを請い
ただ伏して御主の敵を打ち倒す者なり
闇夜で短刀を振るい
夕餉に毒を盛る者なり
我ら刺客なり
イスカリオテのユダなり!!
時至らば我ら銀貨三十神所に投げ込み
荒縄をもって己の素っ首吊り下げるなり


「さらば我ら徒党を組んで地獄へと下り
隊伍を組みて布陣を布き
七百四十万五千九百二十六の地獄の
悪鬼と合戦所望するなり」


黙示の日まで!!






どうも






ロリカードです





の本体です



中二病って知ってますか?



右手が疼くとか隠された能力とかそんなやつじゃなくて
現実的なところで言うと
日本の音楽を否定して洋楽至上主義になったり
急にブラックコーヒー飲み出したり
哲学みたいな小難しいやつを語り出したり
アートに興味を持ち出したり

人と違うことをしだす奴は大抵中二病です

そんで僕の学生時代の話なんですが

中二病でした

もちろん洋楽しか聴いてませんでしたし
急にアートに興味を持ちだしたり
馬鹿みたいに政治の勉強しだしたり
ブラックしか飲めねえわ(笑)
とか言い出したり


ハードラックとダンスっちまったりするような
タイプの中二病では無かったのでまだマシな方ですが






それで、例えばなんですけど

この絵は僕の好きな画家の1人
エドガー・ドガの作品です
この絵から感じられる事はありますか?
何かを感じとった貴方は中二病です

この絵には華麗に踊るバレリーナと共に黒服の男が描かれています
当時バレリーナというのは身分が低く、一説によると娼婦と同程度の存在だったと言われています

そしてこの黒服の男は彼女のパトロンです
このパトロンに媚びを売ることでお金を貰ったり裕福な暮らしが出来るようになります
彼女はパトロンに認めてもらうために踊ってるというわけです
そんな華麗な世界に渦巻く社会の闇をドガは1枚の絵に残しました

これが考察というか正解なんですけど
今の僕がこの絵を見ても「へー、絵うまっ」くらいにしか思わないと思います

それは僕の中二病が治ってしまった事が原因です
もし僕が中二病を極めし者なら考察に考察を重ね最終的に宇宙創造、つまりビッグバンまで帰着していたと思います


つまり中二病を極めし者が芸術的な感性を持つようになるって事ですね
だから中二病=恥ずかしい物じゃないんです

なんか必死に言い訳してますけど

重度の中二病患者の例
完治後の様子



話が逸れました


今回はそんな中二病にとっての聖書であり、辞書であり哲学でもある

HELLSINGという漫画を紹介します


20世紀末のイギリスが舞台で、吸血鬼「アーカード」が主人公の漫画です

イギリス国内で急増する吸血鬼と、その裏で暗躍する組織とのイギリスの命運をかけたダークファンタジーです
設定的にはジョジョっぽい感じですね


この作品には主に3つの組織が登場します

大英帝国王立国教騎士団 通称"ヘルシング機関"

ローマ教皇庁特務局第13課イスカリオテ機関

ミレニアム

この3つです

あまり詳しく解説するとネタバレになってしまうので、名前だけ覚えてください


次に主要メンバーを簡単に紹介します


アーカード

ラスボス主人公です
ヘルシング家(ヘルシング機関)に仕える吸血鬼で、その力は作中最強
戦い自体を好み、相手を小馬鹿にしたりいたぶるように殺したりする主人公です
相手にどんな事情があろうと敵対する人間は平気で殺す主人公です
数百万の命を持ち、数百万回殺さないと死なない主人公です
基本誰相手だろうと相手を軽視しているが人間という存在そのものをを侮辱してる訳ではなく
むしろ人間に対し強い執着心を持っている
自分を殺すのは人間だと思っており、後述する宿敵アンデルセンとは作中最大のライバルとして何度も戦う事になる

主人公です


銃は私が構えよう
照準も私が定めよう
弾を弾装に入れ遊底を引き
安全装置も私が外そう

だが殺すのはおまえの殺意だ


さあどうした?
まだ足がちぎれただけだぞ
かかってこい!
使い魔達を出せ!!
体を変化させろ!!
足を再構築して立ち上がれ!!
銃をひろって反撃しろ!!

さあ夜はこれからだ!!
お楽しみはこれからだ!!
ハリー!
ハリーハリー!
ハリーハリーハリー!


俺を
お前の
俺たちの闘争を
彼岸の彼方へ追いやるつもりか
俺の様な化け物は
人間でいる事にいられなかった弱い化け物は
人間に倒されなければならないんだ!!


セラス・ヴィクトリア

本作唯一のまとも枠
元警察官
物語冒頭で吸血鬼に襲われるが間一髪の所でアーカードに撃たれる
その後アーカードから問われ、自らの意思で吸血鬼になる事を選びヘルシング機関の一員になる
当初は人間だった頃の意識が強く、吸血鬼や異能の戦闘に巻き込まれる役回りだったが
後半になると【削除済】

虫といったな
この人を
虫けらといったな!!
許さない
許さない!!
許さない!!

征きます
ベルナドット隊長
征きます
征きます!

いっしょに征きます!!
いっしょにあいつらを
あいつらをやっつけます!!


インテグラル・ファルブルケ・ウィンゲーツ・ヘルシング

ヘルシング家当主でアーカードの主人
威圧的な性格で非常に冷静沈着
英国の守護を第一に考えており、それを邪魔するものは全て叩き潰すという信念を持っている
20代という若さで当主になった事もあってか未熟な面もあり、後述する少佐からは「戦争処女(アマチュア)」と揶揄されたりしたが
全ての最終決断は全て自らの意思で下した
セラスに鉄の女と呼ばれて怒ったり小じわを気にするなど女性的な一面もある

あきらめろ?
あきらめろだと
成程おまえ達らしいいいぐさだ

人間でいる事に耐えられなかった
おまえたちのな

人間をなめるなばけものめ
来い 闘ってやる

我が下僕吸血鬼アーカードよ!!
命令する!!
総滅せよ
彼らをこの島から生かして帰すな
白衣の軍には白銀の銃を以って朱に染めよ
黒衣の軍には黒鉄の銃を以って朱に染めよ
一木一草尽く
我らの敵を赤色に染め上げよ

見敵必殺!
見敵必殺!!



ウォルター・C・ドルネーズ

ヘルシング家に仕える執事
アーカード等の人外と渡り合える人類最強のジジイ
ワイヤーを操り対象物をバラバラに切り裂くという中二病全力投球の戦闘をする
極めて穏やかな物腰で紳士的な表の顔と
かつてヘルシング家に敵対する輩を容赦無く殺してきた裏の顔を持つ
のちにアーカードと【削除済】

対化物戦闘用13㎜拳銃
「ジャッカル」
今までの454カスール
改造弾使用ではなく
初の専用弾使用銃です
全長39㎝
重量16kg
装弾数6発
もはや人類では扱えない代物です

専用弾13㎜炸裂徹鋼弾

弾殻は?

純銀製マケドニウム加工弾殻

装薬は?

マーベルス化学薬筒NNA9

弾頭は?
炸薬式か?
水銀か?

法儀式済み水銀弾頭でございます

パーフェクトだ ウォルター

感謝の極み


ふん……「老い」すら楽しむものさ 
我々英国人(ジョンブル)は


私は何者にも命を受けずに
ここに立っている
私は私として立っている
ウォルター・C・ドルネーズとして
ここに立っている


小便はすませたか?
神様にお祈りは?
部屋のスミでガタガタふるえて
命ごいをする心の準備はOK?

これ一番好き


この台詞、元は敵がインテグラ達に向けて言った言葉で
それをウォルターが言い放った本人にそのまま返すという激渋シーン
自分が優位に立っていると信じて言った言葉をそのまま返されるという屈辱を与え
何よりも英国紳士のウォルターが言うことによって、チンピラの汚い言葉が品のあるセリフに変貌するのがもうマジで

この後死にます


エンリコ・マクスウェル

ローマ教皇庁特務局第13課イスカリオテ機関の機関長
普段は落ち着いた口調で話すが、1度キレると口汚く荒っぽい口調になる
顔芸野郎
カトリックの教信者で作中1、2を争う頭おかしい人

その通り我らは
死の天使の代行人である!!
これより宗教裁判の判決を行う!!
被告!!  「英国」!!
被告!! 「化け物」!!
判決は死刑!!
死刑だ!!
死刑死刑死刑
死刑死刑死刑!!
おまえたちは哀れだ
だが許せぬ!!

実を結ばぬ烈花の様に死ね!!

蝶の様に舞い
蜂の様に死ね!!

おまえ達のクソ雑巾共が
2人死のうが2兆人死のうが
何人死のうが知ったことか
法皇猊下直々のご命令でなければ
うす汚い貴様らなどと話などするか
グダグダぬかさずに話を聞け
異端教徒のメス豚共

主人のインテグラルがメス豚と呼ばれた事に対するアーカードの返答


アレクサンド・アンデルセン

とにかく格好良い
ローマ・カトリック教会の神父であり、イスカリオテ機関の職員
普段は孤児院の子供たちに深い愛情を注ぎつつ、神の教えを説く心優しい神父
その正体はイスカリオテ職員で構成されたバチカン唯一の戦闘組織の部隊長でカトリック最強の戦士
人気キャラの1人であり、ヘルシングといえばアンデルセンという読者も多い
マジで格好いい


いいですか?
暴力を振るって良い相手は
悪魔共と異教徒共だけです


我らは神の代理人
神罰の地上代行者
我らが使命は
我が神に逆らう愚者を
その肉の最後の一片までも
絶滅すること――

Amen(エイメン)


倒すんだろ? 勝機はいくらだ 
千に一つか
万に一つか 
億か 
兆か
それとも京か

それがたとえ那由他の彼方でも 
俺には充分に過ぎる!!


それがどうした吸血鬼
まだ腕がちぎれただけじゃねえか
能書き垂れてねえで来いよ 
かかって来い 
ハリー! ハリー!!

これも見てください
我らが若本規夫さんのエグすぎるアンデルセンが観れます


少佐

本名不明
HELLSINGを知らなくてもこのキャラを知ってる人は多い

ナチス残党が結成した吸血鬼組織「最後の大隊(ラストバタリオン)」ことミレニアムのリーダー
独特の美学を持ち、戦争をこよなく愛する異常者
人間は意志の生き物であるという考えを持ち、他者の意思を吸収出来る吸血鬼に魅力を感じながらも吸血鬼になる事を拒否した
人間に倒される事を望んでいたアーカードを人間として倒す
事に強いこだわりをもっている

が実は【削除済】



誰にも止めさせるものか
いやもう誰にも止まるものか
戦争交響楽が聞こえる
あの懐かしい音が
阿鼻と叫喚の混声合唱が

諸君 私は戦争が好きだ
諸君 私は戦争が好きだ
諸君 私は戦争が大好きだ

殲滅戦が好きだ
電撃戦が好きだ
打撃戦が好きだ
防衛戦が好きだ
包囲戦が好きだ
突破戦が好きだ
退却戦が好きだ
掃討戦が好きだ
撤退戦が好きだ

平原で 街道で
塹壕で 草原で
凍土で 砂漠で
海上で 空中で
泥中で 湿原で

この地上で行われる
ありとあらゆる戦争行動が大好きだ

戦列をならべた砲兵の一斉発射が
轟音と共に
敵陣を吹き飛ばすのが好きだ
空中高く放り上げられた敵兵が
効力射でばらばらになった時など
心がおどる

戦車兵の操るティーゲルの88mmが
敵戦車を撃破するのが好きだ
悲鳴を上げて燃えさかる戦車から
飛び出してきた敵兵を
MGでなぎ倒した時など
胸がすくような気持ちだった

銃剣先をそろえた歩兵の横隊が
敵の戦列を蹂躙するのが好きだ
恐慌状態の新兵が
既に息絶えた敵兵を
何度も何度も刺突している様など
感動すら覚える

敗北主義の逃亡兵達を
街灯上に吊るし上げていく様などは
もうたまらない
泣き叫ぶ捕虜達が
私の振り下ろした手の平とともに
金切り声を上げるシュマイザーに
ばたばたと薙ぎ倒されるのも最高だ

哀れな抵抗者達が雑多な小火器で
健気にも立ち上がってきたのを
80cm列車砲の4.8t榴爆弾が
都市区画ごと
木端微塵に粉砕した時など
絶頂すら覚える

露助の機甲師団に
滅茶苦茶にされるのが好きだ
必死に守るはずだった
村々が蹂躙され
女子供が犯され殺されていく様は
とてもとても悲しいものだ

英米の物量に押し潰されて
殲滅されるのが好きだ
英米攻撃機に追いまわされ
害虫の様に地べたを這い回るのは
屈辱の極みだ

諸君 私は戦争を
地獄の様な戦争を望んでいる
諸君 私に付き従う大隊戦友諸君
君達は一体何を望んでいる?

更なる戦争を望むか?
情け容赦のない
糞の様な戦争を望むか?
鉄風雷火の限りを尽くし
三千世界の鴉を殺す
嵐の様な闘争を望むか?

『戦争(クリーク)! 
 戦争(クリーク)! 
 戦争(クリーク)!』

よろしい 
ならば戦争だ


諸君!!
第一目標はロンドン全域!!
テムズ西岸
議事堂!!ビックベン!!
首相官邸!!
内外務省省庁舎!!
国防総省舎!!
政官庁舎群!!
バッキンガム宮!!
セントジェームス宮!!
セントローソルー宮!!
ハロンプルトン別宮!!
ハムスウォース別宮!!
ホースガーズ!!
スコットランドヤード本庁!!
大蔵会議局!!
ウエストミンスター寺院!!
ピカデリー
ソーホーシティー
サザーク
全て燃やせ
中央政府院!!
ロンドン・キャベンディシィア
隊本部施設!!
セントポール大聖堂!!

「少佐殿!!
キャビネットウォールームスは?」

爆破しろ!!
当然だ
不愉快極まる欠片も残すな

「トラファルガー広場は
いかがしますか少佐殿!!」

燃やせ
ネルソン像は倒せ
ロンドン塔
大英博物館
大英図書館
全部破壊しろ
不愉快だ

「タワーブリッジは?」

落とせ
ロンドン橋もだ
歌の様に

「帝国戦争博どうしましょうか」

爆破しろ
かまうものか
目についた物は片端から壊し
目についた者は片端から喰らえ
存分に食い
存分に飲め
この人口800万の帝都は
今宵諸君らの晩飯と成り果てるのだ
さあ!! 諸君!!
殺したり殺されたり
死んだり死なせたりしよう

さあ乾杯をしよう
宴は遂に
今宵・此の時より開かれたのだ
乾杯!!


もう1つ、少佐の人間観が見えるめちゃくちゃ好きな名言があるのですが
めちゃくちゃネタバレになるので割愛します





他にもベルナドットハインケルシュレディンガー准尉など魅力的なキャラクターが多く登場します

この漫画は海外ではタブー扱いのハーケンクロイツを普通に出したり
ナチス残党が空中戦艦でロンドンを焼き払ったり
バチカンの宗教系の方々がそれに乗じてロンドンで虐殺しまくったりなど

国際問題になりかねない事を平気で描いた色々とヤベー漫画なのですが

中二病に極振りしたダークファンタジーバトル物かと思いきや

この作品の本質は人間賛歌にあります
吸血鬼で最強のアーカードが人間に憧れを持ち、人間に倒される事を望んでいたり
少佐が人間である事に拘り続けたり

「吸血鬼とか異能の存在とか色々出てくるけど、人間って...いいよね」って漫画です


私は私の意思がある限り
たとえガラス瓶の培養液の中に浮かぶ脳髄が私の全てだったとしても
きっと巨大な電算機の記憶回路が私の全てだったとしても

私は人間だ

人間は 魂の 心の
意志の生き物だ


HELLSINGは全10巻
アニメもありますが駄作なのでOVAを観た方がいいです

気になった方は是非読んでみて下さい


終わります

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