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小鳥のあなたに伝えたいこと

実家で飼っている小鳥に伝えたいことを書いてみました。


小鳥のあなたへ


あなたと初めて会ったのは、秋の終わり。大きなホームセンターのペットコーナーの一角でしたね。
小鳥の雛を迎えるのはお世話の面で少し難しい時期でしたが、私の父がどうしても小鳥を飼いたいというので少しだけ動物に詳しい私も渋々ついて行ったのです。

あなたが他の雛たちと一緒によちよち動いているのを見て胸がときめいたのを今も覚えています。
そっとプラケース越しに指を見せると、他の雛たちは目もくれなかったのにあなただけは目を輝かせて動く指を追ってきましたね。
あの時の興味津々な顔、とても可愛かったです。

あなたをお家にお迎えしてからさし餌をあげたら、「もう私おとなだもん!」と言わんばかりに不満げな声混じりで食べていましたね。
結局その後一週間もしないうちに一人でご飯を食べられるようになりましたっけ。

それでもしばらくは雛の気分が抜けずに私の手のひらにお腹をつけて眠っていましたね。雛特有の温もりは何にも変え難いものがありました。

大人になるにつれて、だんだんあなたの噛む力が強くなって、噛み方も凶悪になっていきましたね。
一体どこであの技を習得したのでしょうか?最近それが疑問でなりません。

今でも変わらずあなたの機嫌が悪い時には噛まれますが、痛いのでできれば噛む以外の意思表示をしてくれたら嬉しいなと思います。
できるだけあなたの行動は見ていますから、教えてくれればだいたいはちゃんとわかりますよ。

あなたは運動も大の得意で旋回、ホバリング、長距離飛行もなんのそのですね。飛んでいる時のあなたの生き生きとした動きには思わず惚れ惚れしてしまいます。

また、生活音の音真似やよくかけられる言葉の真似などもとても上手で勉強熱心なのだなぁとよく感心します。
しかも、それらが場面に合ったものであるというのがさらにすばらしいと思っています。
最近では実家で電話をとると、電話の相手に「小鳥が『もしもしー!』って言ってるのが聞こえるよ」と苦笑されることもあるくらいです。
いつも私たちの声に耳を傾けていてくれているのだと思うと、なんだか背筋の伸びる気分です。

そうそう、私が実家に帰ってくるたびお出迎えありがとう。
いつもあなたに忘れられていないことが嬉しくてたまりません。
これからも気が向いた時だけでもいいからお出迎え続けてくれたらそれほど幸せなことはありません。

これからも、どうか元気に長生きしてください。
あなたの好きなゆで卵も、いちごも、粟穂も、遊ぶ時間も、一緒に過ごす時間も、なんだってあげますからできるだけ幸せに生きてください。

そして、最後に伝えておきたいことは、私はあなたを大好きだということです。
あなたがこの先どんな姿になっても、凶暴になっても、おしゃべりを忘れても、飛べなくなっても、私のことを忘れても、あなたがあなたである限り、私はあなたが大好きなのです。

だから、安心して毎日を過ごしてください。
中々一緒にいられなくてごめんなさい。
帰った時にはできるだけ一緒に遊びますから、許してね。

どうか今日もあなたが幸せに過ごせていますように。
そう願いこの文章を結びます。


あなたを世界で一番大好きな人間より