俳句連作留意事項
俳句の入門書は多いが、連作の作り方に関して書かれているものを読んだことがない。そして、教えてくれる人も私の周りにはいない。
そこでわたしが連作で俳句を並べる際に気にしていることを書いておきたい。俳句実作は好きな入門書を参考にされたい。
大事な順に列挙する。賞に応募することを前提として考えていく。
①季語を季節順に並べる。
これは春夏秋冬の順にするのは当然だが、例えば春でも、初春、仲春、晩春、三春と分類されており、その順番通りに並べるべきだ。三春に関しては春全体に通じる季語であるため、どこに配置してもよい。歳時記にここまで記載されていないケースもあるが、連作を作る場合は最低でも季寄せなどで確認したい。
②時間の流れの順にする。
具体的には朝、昼、夜の順だ。短い連作なら朝の次に夜がきてさらにまた朝に戻る場合もあるだろうが、夜の雰囲気が続く連作の流れに一句だけ朝の句が混ざっていたりしないようにしたい。
③同じ季語や言葉が並ばないようにする。
例えば二月の季語を使った俳句が二句以上並ぶと、読者目線では飽きてしまう。同じ連作で同じ季語は並ばないように、離れて使い、二つまでにしたい。や、かな、けりも並ばないように気を付けたい。上五がので終わる形が続くのも散見されるが、これも連作の内容ではなく視覚的にみて避けた方がいいだろう。
④切れ字を用いた句は全体の三割までにする。
切れ字は印象として強く残るため、あまりにも多用していると連作の中で効果が弱まってしまう。前述のように、使う場合はけりの句のあとにけりの句が続くなどしないようにしたい。
⑤現代仮名遣いと旧仮名遣いを混ぜない。
意図的に混ぜていても、ただの誤用だと思われてしまう。連作ならば旧仮名遣いか現代仮名遣いに統一したほうが良い。
⑥初めの三句ないし五句は一番気をつける。
一句目だけでなく、その後の雰囲気を決定づけるのが冒頭の五句だ。十句の連作なら冒頭三句だろう。①~⑤に加えて冒頭の句に関しては特に良いと思われる句を配置した方がいい。自信がありすぎる句は逆に避けた方が良い。自信がありすぎる句はたいてい滑っているからだ。句会で高得点だったとしても避けた方が良い。
⑦途中で休憩できる句を設ける。
長い連作になると、読む側も疲れてしまう。がちがちの気合十分な句ばかり並べるより、抑揚をつけた方がよい。
⑧自選は厳しくする。
例えば、三十句の連作で三十句しか詠まないのでは、高確率で失敗作がいくつも混ざってしまう。三十句の賞なら百句は用意しておきたい。その自選の後、三十句に絞り、そこからさらに推敲する。できることなら句会を経た句をそろえたい。
⑨句の流れは汲み取ってもらえない。
ここまで句の配置は流れを持たせるようにした方が良いと書いてきたが、実際には選者はそこは汲み取ってくれない場合が多い。良い句が何句あるか、失敗作がいくつあったかという審査の仕方をする方が多いように思う。しかし、安易な並べ方は良い句を失敗作に変えてしまう。句の流れは汲み取ってもらえなくとも、並べ方で輝いてくる句もあるので、選者が意識的に流れを読もうとしていなくても、選者の無意識的な読みへのアプローチはするべきだ。
⑩自分も好きな句で揃える。
当たり前かもしれないが、自分が納得していない句は入れるべきではない。句会でいくら褒められても、自分が好きになれなければ連作には入れないほうが良い。まず、俳句を好きでいてほしい。好きではないのに作り、応募するようになっては俳句から離れる原因になるだろう。選者にとっても、自分にとっても好きな句になれば、うれしいことだ。
思いつくまま書いたが、わたしが気を付けているのはだいたいこんなところだ。支援やサポートを頂ければ、また書くと思う。では、今からグリーンカレーを作る。
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