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読者賞候補作に採られていた話

 世の中に「賞」と名の付くものはごまんとありますが、言うまでもなく、どんな賞であれ、そう容易く受賞できるものではありません。

 昨年(2022年)、二年ぶりに毎日俳句大賞へ応募してみました。出した二句とも予選通過は果たしたものの、入賞も入選も成らず、まあ惨敗と言っていい結果でした。
 ただ、応募しなかった前回(2021年第25回)から《読者賞》なるものが新設されたようで、出した二句のうちの一つが、読者賞候補作71句に採られていたことを、昨日ある方から教えていただきました。
 正賞の選者の方々に採られることはなかったわけですが、そんな拙句も幾人かの読者の方々へは確かに届いたということでしょうか。そのことを素直に悦びたいと思います。

《読者賞》に投票し、選評を寄せてくださったみなさまへ、この場を借りて感謝申し上げるとともに、候補となった拙句およびその選評文をここに掲載させていただこうと思います。

標本の虫に番号原爆忌
             川村 胡桃

『俳句αデジタル特別版2023』初出

「原爆忌」という季語も、戦争経験者が減少している中、戦争を経験したことのない世代は本質を理解していないのかもしれない。
 ところで「現実」と「現実的」を考えてみると、例えば間近にみる「死」よりも、映画で見る「死」のほうが実はリアルに感じられることが多い。「現実的」に提示されるものが、実際の「現実」よりリアルに感じられるのは、我々の心によるところが多いのだろう。
 さて掲句、「標本の(虫に)番号」と表現したことで、原子爆弾被害の恐怖をよりリアルに提示してみせてくれた。
(『俳句αあるふぁDIGITAL』より転載/選評者不詳)

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