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空區地車の力学55.マンホールはヤバいよ

空區地車のコマ(=車輪)には木製のコマの周りに鉄のワッカが装着されています。これにより木製のコマを痛めることなく、かつ推進力を落とさないのです。

木製の車輪の周りには鉄製のワッカが付いている

道路には鉄製のマンホールがあちらこちらにあります。
当然のことながら地車の鉄製のワッカが、鉄製のマンホールの上に乗ると滑ります。モーレツに滑る!!怖いほど滑ります!!!

❶どういう時に曳き手は滑りやすいのか?
それは、踏ん張る時です。
例えば張りながら一気に旋回する時。ハンドルにない地車を強引に方向転換転させるので、足が滑る。また路面状況で地車が引っ掛かりつっかえる時に足が付いていかず転倒ということも。

「張れ」による旋回は地車にある程度のスピードが必要なので
スピードについて行けず、足がもつれての転倒の危険性は高い

❷マンホールには乗らない!
通常の旋回「肩を入れる」では、地車の前を持ち上げて後輪のみで回ります。後輪だけなので力のかけ具合で予想とは反して回ったり回らなかったり。すると曳き手の足がついてこず転倒する。
さらに運悪く足がマンホールに掛かっていたらスリップの危険度はさらに増します。この「運悪く」を無くすためには絶対にマンホールに乗らないことです。

通常の旋回「回せ」でも、足がもつれる曳き手はいる。
肩を入れる前に回る方向を確認しておけば危険度はグンと下がる。
マンホールにも要注意!

ちなみにマンホールの上で地車のコマが乗った状態では旋回はNG。
四隅責任者もその辺りは熟知しており、マンホールにコマが乗った状態では旋回の指示は出さないのですが、そううまくいかないのが世の常です。
マンホールを見たら注意1秒、ケガ一生と心しましょう。

❸「飛ばせ」時は全集中!
スッテンコロリが最も起こりやすいのは、地車が全速力で走る「飛ばせ」の時です。
激走時に四輪ある内の一輪でもコマがマンホールの上に乗るとスリップして微妙に振られます。少しでも振られると曳き手は、在らん限りのチカラを地車にかけているので、地車が振られると足がついていかず転ぶ可能性が高くなります。
曳き手も全速力で駆けているので、そもそもつまずいたり、足がもつれたりの可能性が高い上に、そんな時に運悪くマンホールがあれば・・・99%滑って転んで、最悪、重さ4トンの地車の下敷きになってしまいます。

「飛ばせ」はスッテンコロリの危険性大!大!!大!!!

❹雨はヤバいよ!
雨が降ってマンホールが濡れると、さらにスリップ率は高くなります。ハイドロプレーニング現象は自動車教習所で必ず学ぶ強化ですが、雨は小雨でも厄介で、雨上がりもヤバいのです。

雨はマンホールや横断歩道の白線などにたまり溜まりやすい

乾いた道路では起こらないスリップが、濡れた横断歩道や止まれの文字、白線では起こってしまいます。
ゆっくりと地車を進めている時(道中のお囃子が鳴っている時)でも、溝の上に敷かれている「グレーチング」と呼ばれる金属製のフタが濡れているとスッテンコロリ。

道路の端は曳き手の通り道になるのでグレーチングは要注意!
四角のマンホールは特に滑りやすい

❺いつでもどこでも滑る!
天候に関わらず「滑らない道はない!」と言っても過言ではありません。
したがって、万一滑っても地車にブラ下がられるれるように、棒鼻に腕を巻きつけるなどの対策を身につけておかねばなりません。
また、地車に取付けられた綱を曳く者は、地車の進行方向から極力離れて曳かねばならなりません。

「飛ばせ」の時は棒鼻にぶら下がれるよう指を絡ませ腕を巻き付けておく!

人間、集中すると兎にも角にも周りが見えなくなる。
「飛ばせ」の時に足元を見て走る曳き手は少ないものです。狂喜乱舞の精神状態で足元に気をつけろという方が無茶なのかもしれません。
そして経験の浅い曳き手ほど周りを見る余裕はないので、危険度はベテランに比べて格段に増し増しに。

あまり公にはされていませんが、滑って転んでヒヤリとする体験談は枚挙に暇がありません。
地車にはブレーキがない。よって急には止まれない。したがって、転べばその上を地車が通過することになる。
四隅責任者は経験上、滑る可能性を事前に排除しながら地車を進め、随時適切な指示を出します。
曳き手の最低限の心得としては、四隅責任者の指示を守ること。そして何故そんな指示が出されたかを考えて、想像することです。
想像力の低い曳き手ほど、危険度は増します。
地車は楽しい。しかし、日本のどこかの祭りで毎年事故は起きている。そしてその事故のいくつかは防げた可能が高いのです。
くれぐれも、ご安全に。

いつも笑顔でいられるように!


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