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空區地車の力学42.青は藍より出でて藍より青し

2022年、空區地車は大改修を終え、まぶしいほどキレイになった。本体は洗いにかけられ彫り物がはっきり、くっきり、スッキリ。空區若中でありながら「こんなに奥行きのある彫刻だったんだ」と改めて感心した次第。

マイ綱は藍色
地車の前後には曳き手用に長さ1m程の藍染めされた青い綱が幾本も取付けられている。
古代中国の”荀子”は、「青は藍より出でて藍より青し」という格言を残している。人は弱い存在として生まれるが、学問を修めることによって善へ向かい、立派な人間になれる。努力によって修養を高めることができるという意味がある。

旧の空區地車の綱は藍で染められていた

空區地車の綱は、何日間も藍という草の汁につけられて青色に染める。だから高価であり、気品がある。しかし、曳き手の手垢と共に藍色は薄れていくので、また染め直す。これを繰り返し、そのもとである藍よりもさらに青い綱となる。

この綱は、スペースの関係で棒鼻を持てない曳き手が、この藍染めの綱を持って曳くのだ。ところが、私のマイポジションである獏(バク)の彫り物があった辺りにはこの青の綱はついていない。

旧の空區地車の獏(バク)の彫り物辺りには綱がない

だから棒鼻に腕を巻き付けて曳くことになるのだが、それでは力が入らない上、体を自由に動かすこともままならない。そこで2m程の青の綱を勝手に棒鼻に取付ける。素材は全く同じ藍染めの綱なのだが、十年以上前のある祭りの日に初代子供会の綱担当「マイ師匠」の一二三さんから「マイ綱」を授与された。
普段は腰に巻いておき、いざという時に棒鼻に取付けて曳く。一二三さんはこれを「マイ綱」と呼んでいる。ちなみに、このマイ綱を持っているのは一二三さん三兄弟と私だけ。師匠を目標にする弟子は「だめでしー」とダメ出しをされつつもマイ綱を腰に巻き、今日に至っている。

私のマイ綱

今回の改修ではこの綱も一新された。まだ藍には染めていないので、今回の例大祭でのお披露目では白い綱のままなのだが、私のマイ綱は改修以前の綱なので青色。したがって改修後に、私や一二三さん三兄弟のマイ綱の出番はない。今つけると浮いてしまう。だから早く藍に染めてほしい。

試し曳きでの白いままの綱、早く藍に染めて!!!

「青は藍より出でて藍より青し」弟子の研鑽はこれからも続く。

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