梶尾真治の短篇集『スカーレット・スターの輝奈(ヨーナ)』を読む

 梶尾真治の短篇集『スカーレット・スターの輝奈(ヨーナ)』(新潮文庫)を読了。収められた四短篇は表題作ならびに『 ドリーム・スターの亜眠(アミン)』、『 ホーンテッド・スターの玲乃(レノ)』、『 キュービック・スターの麻綾(マアヤ)』の四作。明らかに梶尾の代表作『美亜に送る真珠』の系列に連なるリリカルな作品が集められているように感じられます。
 しかしながら、『美亜に送る真珠』をバッドエンド的な意味で哀切な物語というなら、この作品集に収めれられ四作品は、表題作『スカーレット・スターの輝奈(ヨーナ)』こそ、その流れを踏襲しているだけで、残りの三作品は、むしろ逆にパッピーエンド的な救いがあって、更になお叙情的な秀作群だといえるでしょう。
 これ以上は、内容に触れざるを得ないのでネタバレを伴いますが、最後の『キュービック・スターの麻綾(マアヤ)』は、個人的には「キュービック」を「キューピッド」と書き換えたくなるほどの作品になっていると感じました。

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